みなさん、こんにちは!
日に日にあたたかくなってきて、
季節も気分も「Tシャツ」なこの頃です。
“+LOVET”の生産も、
6月下旬
からの発送(出荷)開始に向けて、
急ピッチですすんでいますよ!
さて、それはそれとして、
お申し込みいただいた“+LOVET”が、
実際どんなふうにつくられているのか、
気になる方も多いんじゃないでしょうか。
そこでこの方の登場です。
Tシャツのパターン(型紙)作りをはじめ、
“+LOVET”製作の司令塔として、
陣頭指揮をふるってくれている、
パタンナーの金子さんです。
金子さん金子さん、“+LOVET”の生産、
いま、どんな感じですすんでますか?
「あ、どうも!
ちょうどぼく、中国の縫製工場へ
ボディの仕上がりを
チェックしにいくところなんです。
いっしょに行きましょうか!」
うわ、あわただしいなあ。
いきなり中国ですか。
どうやら金子さん、
かなりお忙しいみたいですね。
わかりました。
お話を聞きがてら、行っちゃいましょう!
題して、「〜追いかけて、+LOVET〜 ツアー」!!
われわれが向かったのは、
中国・上海からさらに飛行機を1時間ほど
乗り継いだところに位置する
南昌という内陸の都市。
そこに“+LOVET”の縫製工場があるのです。
金子さん、今回の“+LOVET”の製作で、
むずかしいこととか、ありますか?
「(きびしい表情で)そうっスね‥‥。
正直、お申し込みの数を聞いたときは、
びっくりして、『どうしよう?』と思いましたね。
いまどき、大きなアパレルメーカーでも、
いちどにこれだけたくさんの同じTシャツを、
つくったりはしないんですよ」
ははあ、数が多いのは、やっぱりたいへん?
「ええ。実は、“+LOVET”は、
ひとつの工場だけで、
つくられるわけじゃないんですよ。
生地を裁断し、縫製するのは
中国
、
でき上がったボディに、色を染めるのは
神奈川
、
染め上がったボディに、プリントするのは
秋田
と
群馬
、
そして、できあがったTシャツにプレスをかけ、
パッケージにセットするのは
千葉
なんです。
各工場でうまく連携をとれるよう、
綿密にスケジュールを組まないと、
とてもこの数はつくれませんね‥‥」
おお、そんなにいろんなところで!
工場から工場へ、
プロの手からプロの手へと渡され、
たくさんの旅をしながら、
“+LOVET”はつくられていくんですね。
それは知らなかったなあ!
「今回はとくに、できあがってきた生地を
重点的にチェックします。
Tシャツの品質の決め手となる、
だいじな部分ですからね。
入念にやらないと‥‥‥(窓から遠くをみる)」
金子さんとわれわれ取材班は
成田から約3時間のフライトをへて
中国の上海浦東国際空港に到着しました。
空港からの道すがらには、
有名な外灘(バンド)地区が。
ライトアップされた欧米建築が、
なんとも幻想的!
さて、上海到着の翌日。
さっそく、われわれは
南昌の縫製工場へ向かいました。
この工場では、
新彊綿100%で織り上げた生地を裁断し、
Tシャツのかたちに縫製していきます。
つまりここは、“+LOVET”のベースとなる
ボディをつくりあげるところなのです。
工場へ到着するやいなや、
さっきまでソフトでダンディだった金子さんが、
突如として、ハードボイルドな
Tシャツづくりの鬼に豹変!
おもむろに生地やボディの仕上がりに
鋭い目を光らせはじめました。
「ん。生地の状態は? ん。ここはできてる。ん。
ここは? ん。よし、オッケー!」
織り上がった生地を入念にチェックし‥‥、
「ん。生地のクオリティには問題ないが‥‥。
ん? リブの幅が‥‥。ん。1ミリ、太いね」
メジャーでボディをこまかく採寸します。
っていうか、金子さん、サングラスかけたままですよ!
「そんなもの、はずしているヒマはありません。
やることはいっぱいあるんです!」
おお、こわ。
その他にも、裁断前の生地の
端の部分と真ん中あたりの部分を見くらべ、
織りにムラが出ていないかをチェックするなど
ボディや生地の確認作業は、
えんえん2時間以上も続きました。
(※ちなみに、ほんとうは、サングラスをかけていたのは、
写真を撮るときだけです)
「ギムレットにはまだ早すぎるな‥‥。
実際に職人さんたちが作業している現場も、
チェックしていきましょう!」
金子さん、じつにアクティブです。
金子さん、これは?
「織り上がった生地は、裁断・縫製するまえに
この機械で検品します。
生地に穴があいていないか、あるいは
飛び込み(ちがう色の糸が混じり込むこと)がないか、
裁断の前に厳しいチェックが必要なんです」
ほうほう、こちらは?
電動のこぎりみたいですね、これ。
「生地を裁断する工程ですね。
ああして、生地を何十枚も重ねて、
一気にボディのかたちに裁断しています。
これには、高度な熟練を要します。
一朝一夕では身につけられないでしょうね」
そして最後に、縫製の工程。
何人もの縫製のプロが、
Tシャツの前身ごろと後ろ身ごろを
つぎつぎと縫い合わせていきます。
「ん。‥‥なるほど。
このフロアーでは、
“+LOVET”に使用する
新彊綿100%の生地だけを扱っている‥‥。
つまり、商品ごとに縫製する場所を分けて、
生地の間違いが起きないよう、
きちんと管理しているわけだな‥‥」
こうして、厳しいチェックと様々な工程を経て、
完成したボディがこちらです。
国内の染め工場で、染色したときの縮み率を調べるため、
金子さんは、このうち数枚を持ち帰りました。
いやあ、金子さん、
こんなに多くの工程を経て、
こんなにたくさんのプロたちに支えられて、
“+LOVET”は、つくられていくんですね!
今回の縫製工場見学、
ほんとうに勉強になりました!
「いや、まだ終っていませんよ!」
え? どういうことですか?
「郷に入れば郷にしたがえ。
上海といえば小龍包でしょう。
さあ、行きましょう!」
え? あ、ちょっと、金子さん!
「ん。ん? ん! んんん、ウマい‥‥」
‥‥えーと、これからどうしますか?
「つぎは、『染め』の工程ですね。
“+LOVET”は、なんといっても、
発色のよさがウリですからね。
染め工場での仕上がり具合が
製品の印象を大きく左右します。
だから、よりいっそうの
気合いを入れて臨みましょう。
目指すは神奈川です!」
みなさん、いかがでしたか?
生地の織り上げから裁断、
そしてボディの縫製にいたるプロセスが、
細心の注意を払い、
厳しいチェックを繰り返しつつも、
いかに大きなスケールで展開されているか、
なんとなーくでも、
おわかり頂けたらうれしいです。
さて、次回は、日本にもどり、
神奈川県にある染め工場を訪問し、
染色の工程をレポートします。
ナビゲーターはもちろん、金子さん!
どうぞ、お楽しみに!
今回の移動距離:約5200km
これまでの移動距離:約5200km
2006-06-09-FRI
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