次は、私が考えた
いちごのトーストを焼かせてください。
軽くトーストしてから、
クロテッドクリームとスライスしたいちごをのせます。
ケーキっぽくしたいから、
あまりカリッと焼かないほうがいいかもです。

軽い焼き目がいいなら、
トーストモードで２分にしてみましょうか。

おいしそう。

開発時、私も好きな吉祥寺のパン屋さん
「ダンディゾン」が
協力なさっていたんですね。

はい、そうなんです。
うちの開発陣が15人ほど
「ダンディゾン」さんにうかがって、
そもそもパンをどうやって焼くのか、と
見せていただいたんです。
ガス窯や石窯で焼いているのかと思っていたのですが、
電気とスチームで焼いていらっしゃいました。
これもすごい発見でした。

パンは電気でおいしく焼けるんだ、
蒸気という考え方もまちがっていなかったんだ、と。
パン生地そのものを焼くのと
いちど完成したパンを
再度焼くのとでは話が違うと思うんですが、
熱源としての電気をもっと見なおしていいんだな、
と思いました。

BALMUDA The Toasterに入れる水の量、
いつも一定ですよね。
続けてトーストするときって、
水を入れたとたんジュワっと蒸発するから、
水が足りるのかな、と不安になるんですけど。

２回目も同じ量で大丈夫です。
実は水をたくさん入れても、
おいしさには関係ないんです。
ですから、量はそんなにシビアにしなくていいですよ。

付属のコップ内側の線ギリギリになるように
注意して水を入れてました（笑）。

そこまで気にしなくてもいいです。
５ccなので、付属のコップのかわりに
「小さじ」を使ってもいいんです。

なるほど。
ものすごくテキトーでもなんとかなる。

開発のときに、たとえば夏だったなら、
冬になると気温も変わります。
気温の差に苦労しませんでしたか？

そこもたいへん怖いポイントでした。
おっしゃるとおりで、冬はやっぱり
トースターがあたたまりにくいんです。
何度も試して、最後のしあげに、
思い切って実験をすることにしました。
すごく寒い朝、最終形のトースターを持って外に出て、
ガタガタ震えながら焼いて食べたら
おいしかったです。それで、大丈夫かなと。

いちごトースト、できました。

うぅ、ケーキみたいでおいしい！
（もぐもぐ）続けてまた、焼きたいです！

では、チーズトーストを焼きましょう。
ヤマザキのロイヤルブレッドと、
明治北海道十勝のとろけるチーズを用意します。
チーズはシートタイプではなく
シュレッドタイプのものがおすすめです。

ロイヤルブレッドも十勝のチーズも
スーパーなどで手に入りやすい食材ですね。

はい。チーズトーストですと、
カチョカバロをのせて焼くと
絶対おいしいんですけれども、
本日は買いやすいものを持ってきました。

これをパンにのせて、
チーズトーストモードで４分焼きます。

最後の2～30秒でチーズがぐつぐついいます。
それまで、外見上は
なにも起こらないように見えます。

チーズトーストモードは上火が強めなんですが、
チーズの水分を飛ばしすぎると硬くなっちゃうんで、
チーズの水分を残したまま
カリッと焼き上げるようにしています。

あ、チーズがとろけて踊り出しました！
いい感じ。ぶくぶく。うう、目が離せない。

パンに具材をのせて焼くなら、
チーズトーストモードがいいです。
クリームチーズもいいですよ。
パンにクリームチーズをぬって、
りんごを生のままのせて焼く。
上火が強いので、りんごにも火が通ります。
焼きあがったら、
メープルシロップをかけます。おいしいです。
また、たまねぎスライス、ハム、
粗挽きの粒マスタードをのせた
トーストもおいしいです。
チーズトーストモードであれば
たまねぎスライスにもちゃんと火が通ります。

おいしそぅ～。

クロックムッシュとかも、よさそう。

ああ、そうなんです。
パン屋さんでBALMUDA The Toasterを
使ってくださってるところは、
クロックムッシュ用になさっているところも多いです。

庫内の熱線の光がきれいで、
トースターの窓からパンがおいしそうに見えますね。
本体のデザインはどなたがされたんですか？

社内に担当デザイナーが４人いまして、
みんなでスケッチを2000枚以上描きました。
最初の頃はほんとうに決まらなかったんです。
なんかプリンターみたいな（笑）、
カッコよすぎるものばっかり出てきまして。
でも、この「庫内を覗く窓のデザイン」が
全体的なデザインコンセプトの突破口になったんです。

そうなんです。窓部分を小さくしたのが、
デザインのターニングポイントでした。
ふつうは庫内がよく見えるように
トースターの正面の扉の窓をなるべく大きくします。
しかし、窓を小さくすれば、
庫内の温度を保ちやすくなります。
さらに、人の気持ちとして
「できあがりを覗きこみたくなる」
「窯っぽくて楽しい」
ということがあるのではないかな、と思いまして。

そういえば、パン屋さんにあるオーブンの窯って、
窓はけっこう細いですよね。

そうなんです。
そのほうが、やはりオーブンとしては機能的なんです。
映画の『魔女の宅急便』のような
パイを焼くかまどをイメージして、
あたたかい感じの窓にしよう、という
アイデアも出てきました。

チーズトーストモードのほかにも、
フランスパンモードや
クロワッサンモードがありますね。

フランスパンを焼くときって、
表面をアルミホイルで覆って
こげないように焼いたりするんですが、
このトースターだと、その必要もないんでしょうか。

はい。
アルミホイルをかぶせると、
時間をかけないとあたたまらなくなるので、
逆に水分が出ちゃっておいしくないんです。
なるべく短い時間でサッと焼いたほうが、
なんでもおいしくなります。

私、バルミューダのトースターで焼いて
もっとも驚いたのは、バターロールなんです。
コンビニで買った、バターロール。
ふっくらあたたかくなって、かおりがぷーんとたって、
しかも、こげなかった。

フランスパンモードだと、こげないんですよ。

コンビニのバターロールは
バターが多めかもしれないから、
それがいいのかもしれないですね。

はい、たぶんそうです。
ふわぁといいかおりになるんですよ。
お餅も、焼けますか？

私、あとで大福が焼きたいです。

プレーンなお餅は、網にアルミホイルをしいて、
クラシックモードの1300ワットで５～７分、
焼いてください。
クラシックモードのワット数は
300、600、1300の３段階があります。
開発中、お餅の色つきがなかなかうまくいかなくて、
お餅のためにわざわざ「焼き」を強くしたんです。

餅は1300、と。グラタンなどをあたためるときは？

グラタンは、できたてだったら1300ワットで
５、６分焼き目をつける感じにしてください。
遅く帰宅したお父さんが冷めたグラタンを
あたためなおすのなら600ワットで
ちょっと長めに加熱するといいですよ。

ジャンボさんの大福は、
焼き目をちゃんとつけたいですから、
あとで試しにトーストモードで焼いてみましょう。

フランスパンとクロワッサンモードは
なにが違うんですか？

クロワッサンモードは、
最後の20秒ぐらいで加熱をし、
カリッと焼きあげます。
フランスパンモードは最後に強く焼くことはしません。
いちばん高温で焼きつづけるのは
チーズトーストモードです。

最終的な焼きあげで最も温度を上げるのは、
トーストモードです。
トーストは、こげる寸前までいかないと、
バリッという歯ざわりが生まれません。
その１点でまったくおいしさが変わる‥‥
それも、5000枚のトースト実験でわかりました。

４つのモードで
それぞれしあがりが違うから、
自分の好みを試すのもいいですね。

はい。上下しっかり焼きたいときは
トーストモードです。
フランスパンでも、ブルスケッタのように
カリッと焼きたい場合はトーストモードだし、
イングリッシュマフィンでもベーグルでも
ガリガリと焼きたいときはトーストモード。
チーズトーストモードは
上になにかをのせて、しっかり焼きたいときに。

道具ですから、
なかよくなることが大事ですよね。
うん、たのしい道具だなぁ。

はい、みなさん。
チーズトースト、焼けました。

ホントにおいしい。

ふつうの、コンビニで買えるパンなのに。

喫茶店のメニューみたいな感じがする。

朝からこんなチーズトーストを食べられたら、
すごくしあわせ。

チーズの甘みも抜けずに焼けます。
やっぱりスチームの力って、すごいんです。

うーん、すごいトースターだ。

私たちみんなで、開発が終わったとき、
「これは、ザ・トースターだ」
ということになって
名前を「バルミューダ　ザ　トースター」にしました。
それほど、自分たちでも感動して作った
トースターなんです。
それでは、ジャンボさんの大福を焼いてみましょうか。
アルミホイルを敷いて‥‥。

このあと、みんなは思い思いの食材を持ち寄って
バルミューダのおふたりに相談し、
レシピを完成させました。
糸井重里考案のものを含め、その12個のメニューは
ほぼ日ストアならびにTOBICHIで
BALMUDA The Toasterを
ご購入いただいたみなさまに特典でおつけする
「くいしんぼうのパンレシピブックレット」に
掲載されています。

2016-01-13