伊藤まさこさんと 長野陽一さんから。 Styling & Photography

今回の「イセキアヤコさんのブローチのお店」は、
スタイリングを伊藤まさこさんに、
写真を長野陽一さんにお願いしました。

まずは、伊藤まさこさん。

料理、器、雑貨など、
暮らしまわりのスタイリングを手がける
伊藤まさこさんと「ほぼ日」は、
いままでたくさんのコンテンツでご一緒しています。

そんな伊藤まさこさんは、
イセキアヤコさんと、大の仲良し。
「ブローチを探すイセキアヤコ」のプロローグでは、
すてきな紹介文を寄せてくださいました。

今回のスタイリングの、ご感想は?


今回スタイリングするにあたって、
もう一度、連載の原稿を読み返しましたが、
読めば読むほど、
大切に集めてきた思い入れのあるものなんだな
ということを感じました。
だからこそ、スタイリングもその思いに応えなくては!
と思ったのですが、
あくまでも主役はブローチ。
スタイリングのやりすぎは禁物です。
どんな風にしたら、
さりげなくイセキさんの世界を伝えられるかなと
いろいろ考えて、
漠然とですが、
ひとりの女性をイメージしてみました。
この人だったらブローチを
こんな風につけるだろうな、とか、
部屋にはこんな風に置くだろうな‥‥なんて、
考えながらスタイリングしたのです。
小物は最小限に控えて、
質感の合うものをえらびました。
それに加えて、
どんな光で撮ろうかとか、
季節感を伝えるのはどうしたらよいかなどと、
長野さんと相談しながら撮影を進めるのは、
とても楽しくやりがいのあるお仕事でした。

そうやって作ったイメージは、
「アンティークとヴィンテージ編」での
12種類のスタイリングで見ていただくとしまして。

今回、彼女の監修で作った
「リプロダクション編」の新しいブローチは、
アンティークやヴィンテージの雰囲気を持ちながらも、
どこかきりりとした佇まいがある。
一見かわいらしいのですが、
それだけで終わっていない。
大人の女性のためのブローチだなと感じました。
スタイリングしてみて気づいたのですが、
レースのブラウスや
少し懐かしい雰囲気のコートなどとの相性はもちろん。
意外にもデザインされた
(カッティングの凝ったパターンの服など)
コートやワンピースなどとも合うのです。
朱や黒、ネイビーなど、
はっきりとした色合いのものも受け止めてくれる、
なんとも懐の深いブローチでもあるのです。
それよりなにより、
ちょこんとつけるだけで、
はっとするほどコーディネートのイメージが変わる。
ブローチって、
こんなにも存在感のあるものなのだと思いました。

─── 伊藤まさこ

 

そして、長野陽一さん

ストーリーを感じる写真を撮り続ける長野さんと、
「ほぼ日」がご一緒する機会は意外にも今回が初めてでした。

日本の島々に住む10代の若者たちを撮影した
『シマノホホエミ』など、
多くのポートレイト作品を発表してきた長野陽一さん。
最近は『ku:nel』をはじめとした雑誌で撮影してきた
「料理写真」を集めた一冊、
『長野陽一の美味しいポートレイト』を刊行されました。

そんな長野さんもやはり、イセキさんとはお友だちの間柄。
「ブローチを探すイセキアヤコ」の
ある日の日記の第1回目にご登場されています。

ブローチというちいさな世界に挑んだ、
長野さんのご感想は?


「自分が撮った写真が気に入らないので
 きちんと撮り直してほしい」
というのが、イセキさんからのオーダーでした。
ほぼ日さんに毎月連載していた
アンティークやヴィンテージのブローチの写真に、
イセキさんは自信がないとおっしゃる。
伊藤まさこさんとも、
「そんなことないのに、
 とてもきれいな写真なのにね」
と話しながら、でも、
イセキさんのたってのお願いだったので、
引き受けさせていただくことにしました。
引き受けたからには、いいものを撮りたい。

ところが、このちいさな世界を撮るのは
想像以上にむずかしいものでした。
やっぱり、イセキさんの写真が、いいんです。
愛情の込められかたが、すごい。
そして光がいい。
ヨーロッパの光って、なぜかいいんですよね。
ぼくは「ロンドンの光」との戦いですよ。
これは、けっこうプレッシャーでした(笑)。

35点のブローチひとつひとつと、
レンズを通して真剣に向き合っていると、
ロンドンのイセキさんの苦労が
手に取るようにわかるんです。
「ああ、このブローチは周囲が写り込む。
 だからイセキさんはこう撮ったのか。
 よく考えてるなぁ、
 うまい角度から光をあててるなぁ。
 イセキさんはそうやったんだね。
 じゃあぼくは、こういきますよ」って。
ブローチを通してイセキさんと対話をしたような、
それはちょっと興味深い体験でした。

「リプロダクション編」のブローチは、
イセキさんが撮った写真がないので、
いつものようにのびのびと、プレッシャーなく。
伊藤まさこさんが次々に、
「これはどうかしら」「あ、これもかわいい」
「こういうのもおもしろーい」
とスタイリングするものを、
テンポよく撮れたと思います。

今回は、これまでの「たいへんだった撮影」の、
ベストテンに入る現場だったかもしれません(笑)。
こんなにちいさいものは初めてでしたし。
でも、たのしかった。
そして勉強になりました。
あとは、イセキさんと、
このページを見る人がよろこんでくれますように。

─── 長野陽一

 

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