表紙
乗りますとも。

脱ぎ捨てたままの服には、
乗る!
人肌の残る服には、
乗る!
ソファに落ちてるような人間にも、
乗る!
うとうとしている人間にも、
乗る!  乗って犬も寝る!
それがルールだ。
<『犬の生きる術(未刊)』より>
1月
よりぽんぽこりんな。

よりぽんぽこりんな写真を、
おとうさんが見つけてしまいました。
もう一度、言っておきますけれど、
犬のおなかに見えるぽんぽこは、
おなかじゃなくて、胸ですからね。
誤解されたくない感じです。
<『ブイヨンの気持ち(蜜柑)』より>
2月
横向き。

横向きに歩いてるすがたは、
ちょっとめずらしいんですよね。
誰かがリードを持って、
もうひとりが写真を撮る。
しかも、犬は前を向いて歩いている。
そういう設定でないと、
ありえないんですから。
<『ブイヨンの気持ち(未刊)』より>
3月
作家の休息。

ブイヨン先生は、
創作活動に疲れたのか、
お休みになってしまいました。
おそらく夢のなかで、次の作品の
構想を練ってるというようなことは、
まずは、ありません。
そこが先生のいいところです。
<『ブイ先生と共に(未刊)』より>
4月
ぷーどる。

ぷーどるっていうこに会った。
まだ1歳なんだって。
犬は、なめられないようにした。
でも、ぷーどるは、ちょっと
なめてるみたいだったので、
別れ際に、ひとつ吠えてやった。
<『ブイヨンの気持ち(蜜柑)』より>
5月
雲よ。

空と雲の写真を探していて、
こんなのに目がとまりました。
いろんな日のことを、
ちゃんと思い出すものですね。
<『新・東京物語』(未刊)より>
5月
あくしゅ(肩を組むの続き)。

「肩を組む」に飽きた
人間のおかあさんは、こんどは、
「あくしゅ、あくしゅ」です。
そんなことして、なんになるのか。
犬にはわかりませんが、協力します。
おとうさん、いってらっしゃーい。
<『ブイヨンの気持ち(蜜柑)』より>
5月
すいませんね。

人間のおかあさんが、
寝る前にあっためておいたベッドに、
もぐって寝ていました。
それはやがて見つかることになり、
追い出されたのですが、
なかなか気持ちよかったです。
<『ブイヨンの気持ち(未刊)』より>
6月
征服。

人間と地球は、征服した。
ふっふっふ。
犬には、もう怖いものなどない。
どうだ、すっごいだろう。
「ブイちゃん、歯と歯茎の間に
 なんかはさまってるの?」
はい。そうです。
<『ブイヨンの気持ち(蜜柑)』より>
7月
素顔のままで。

ほんとはもう東京に戻ってるんです。
でも、もうちょっと
京都のメモリーを続けることにします。
これは、犬の「素顔」です。
<『ブイヨンの気持ち(未刊)』より>
8月
たなだ。

ブイちゃん、げんきですか。
おとうさんたちは、朝から
棚田のほうのカフェに行ってきました。
道中、たくさんの犬を見ました。
海もいいけど、山もいいよねー。
8月
うつらうつらそしてうつら。

飛ぶ虫がやってきたり、
たまに鳥が近づいたりします。
でも、それより他には、
なーんもこない午後の縁側です。
まぶたが重くなってきました。
<『ブイヨンの気持ち(未刊)』より>
8月
ちいさい犬が。

あさりのみそ汁のなかに、
ちいさいカニが入っているように、
みどりの空き地のなかに、
ちいさい犬が入っていたら、
うれしいですか、そうでもないですか。
ちいさい犬は、うれしいんですけど。
<『ブイヨンの気持ち(未刊)』より>
9月
みつかっちった。

ひなたぼっこをして、
おとうさんの寝床にもどりました。
これは梱包芸術ではなく、
「単なるもぐりました」です。
よろしくお願いいたします。
<『ブイヨンの気持ち(蜜柑)』より>
10月
もみじちゃん。

季節を感じるために、
ちょっとアクセサリーを
つけてもらったのでした。
ほんとは、自分から希望した
わけじゃないですけどさ。
<『ブイヨンの気持ち(未刊)』より>
11月
怒濤の気まぐれ(その8)

去年も買ったよ、代白柿。
すぐ食べられるやわらかいのと、
少し日をおいて食べるかためのと、
ぜんぶで6個も買いました。
おとうさんは、
観光旅行のおばさんたちに、
「おいしいから買ってきなさい」と、
さかんにすすめておりました。
(つづく)
11月
だから、じぶんでもぐりましたってば。

まさか、これは‥‥じぶんで
もぐったんじゃないでしょう?
と、思われるかもしれませんが、
こういう芸術的なかたちも、
じぶんでもぐってつくるのです。
ちょっと自慢です。
<『ブイヨンの気持ち(未刊)』より>
11月
また、ひっそり。

では、また、ひっそり。
だれが歩くわけでもなく、
だれが見るでもない場所に、
ちいさな声で合唱している
どんぐりなどがありました。
12月
だるだるソング。

だるだる〜 だるだる〜
だるめしあんじゃねぇぜ〜
山の道さんぽして〜 くたびれた〜
だれだれ〜 だらだら〜
ごはんを食べて〜 横になる
Yes, We can!  Yes, We can!
だるめしあんはぶちだぜ〜
<『犬ロックNo.ワン(不明)』より>
12月
まだ、ひっぱるのか!

『不思議な国のアリス』にでてくる
きのこみたいにも見えない?
「ねずみさん」から、さらに、
「きのこさん」に移りました。
「からかさおばけ」でもあるか‥‥。
いろいろ楽しめたなぁ。
<『ブイ父夢想(未刊)』より>
12月
さらに、おげんき。

犬は、夜になってから、
さらにおげんきになりました。
ごはんも食べましたし、
テレビの動物に吠えたりもしました。
おとうさんのほうが、
疲れちゃったみたいですよ。
<『ブイヨンの気持ち(未刊)』より>
裏表紙
寒い寒い。

人間のおかあさんが
東京から帰ってきました。
犬の、うんとしっをするため、
庭に出してもらいました。
ボール投げもちょっとしましたが、
雨は冷たいし寒いので、
すぐにやめました。
<『ブイヨンの気持ち(未刊)』より>