みなさん、おひさしぶりですメェ〜。

座右の銘は、「カシミア道に近道なし」。
カシミア研究家のカシミール博士です。

さっそくですが、みなさんのところの
「カシミアのTシャツ」、元気にしていますか?

この寒さですから、
着ていただく機会も多いんじゃないでしょうか。

それだけに、たぶんそろそろ、
お手入れのことが気になるころかも‥‥。
そう思って、わたし、きょうは筆をとりました。

わたしが想像するに、

「カシミアは、デリケートな素材だから、
 取り扱いが、むずかしい」

みなさん、そんなふうに、お考えじゃありませんか?

じつは、そんなことはないんです。

カシミアだからといって、
そんなに特別あつかいする必要はありません。
ふつうに、きがるにたのしんでもらってOK。
ただ、そこにちょっとだけ、愛情を注いでもらえたら、
より長く、ご愛用いただけるんですメェ〜。

じゃ、どんなふうに「きがる」で、
どんな「ちょっぴりの愛情」が必要なのか、
具体的にお伝えしていきましょう。
 
こんなことを書くと、
びっくりする人もいるかもしれませんメェ。

「カシミアのTシャツ」についても、
「お洗濯の際にはクリーニングに出してください」と、
お伝えしてきました。

じつはこれ、「間違いのないように」という意味で、
そのようにお伝えしたのです。
でも、正しい方法を守っていただければ、
ご家庭でも、じゅうぶんにお洗濯が可能なんですよ。

むしろ、お洗濯をすることによって、
繊維にカシミア独特の「ヌメリ感」が出て、
「柔らかさ」が増してくるんです。

これは、お洗濯によって、カシミアの繊維に
ちいさなちいさな「毛羽」が立ってきて、
その「こまかな毛羽立ち」が
触れたときのやわらかさを増したり、
肌ざわりをさらによくしたりしてくれるから。

で、かんじんのお洗濯のしかたですが‥‥
ご家庭の洗濯機で洗っても、かまわないんです!

・洗濯ネットに入れて、
 かならず「手洗いモード」で単品洗いすること。

・ウール・おしゃれ着用の中性洗剤を
 使っていただくこと。

・洗濯ネットは、サイズの合ったものをえらび、
 「カシミアのTシャツ」を
 きれいにたたんで入れていただくこと。


これさえ気をつければ、OKなんですよ。

えっ、手洗いのほうが、
よりカシミアにやさしいんじゃないかって?

メェメェ、それはたしかにそうです。

カシミアの製品が縮んでしまう理由は、
繊維どうしがこすれ、
表面の「うろこ」が、おたがいに引っかかって、
からまってしまうこと。
これが、いわゆる「フェルト化」で、
カシミアというのは、こうして縮んでしまうんです。

よくいわれる
「ウールのセーターを水で洗うと縮む」というのは
このような理由によるもの。
つまり、水につけたら必ず縮む、
というわけではないんですメェ〜。

ですから、手洗いするときには、
やさしく「押し洗い」する必要があるんです。

でも、そこにあまり気を使うよりは、
洗濯機の「手洗いモード」におまかせしちゃったほうが、
かんたんですよメェ?
 
洗い終わったら乾かすんですが、そのとき、
乾燥機にかけては、ぜったいにダメェ〜!

いくら正しい方法でお洗濯しても、
それだけで、ぎゅーっと縮んでしまうのです。

カシミアにとっては、摩擦と同じくらい
「高温」や「熱」が大敵なんですメェ。

ですから、乾かすときには
まず、タオルにくるんで水気をあらくとり、
そのあと、別のタオルの上に「平置き」して
かたちを整えて「陰干し」しましょう。

ハンガーにかけてしまうと
かたちが崩れてしまいますから、要注意ですよ。

乾いたあと、タンスなどにしまうときには、
きれいにたたんで、湿気がこもらないよいように
なるべく衣類の上のほうに、保管してくださいね。

もちろん、防虫剤・防湿剤もわすれずに。

知らないうちに「虫食い」や「カビ」で
せっかくの「カシミアのTシャツ」が
だいなしになってしまったら‥‥
わたしも悲しいですからメェ。
 
ここまでお伝えした、ご自宅でのお洗濯の方法は、
目に見える汚れをとるというよりは、
どちらかというと「日常的なケア」の意味合いが
大きいと思います。

ですから、シーズンが終わったら、
「汚れをしっかり落として、きれいにする」ため、
クリーニングに出してもらえると、より万全です。

あ、そうそう、ニット製品の特性上、
着ているうちに毛玉なども出てくるかもしれませんメェ。

でも、アクリルのセーターなどとちがって
カシミア100%の場合には、
それほど大きな毛玉ができることは、ないはずです。

どうしても毛玉が気になってしまったら、
指先でつまんで、すっと引き抜いてください。

ボディをまちがって切ってしまうこともないので、
ハサミを使うより、このほうが安全なんですよ。
 
カシミアのみならず、
天然繊維は「生きている」と、よく表現されます。

毎日毎日、つづけて着てしまうと、
やっぱり「疲れて」しまうんですメェ〜。

ですから、「Tシャツ感覚」といえども、
できたら、定期的にお休みをあげてもらえると、
わたしとしても、うれしいです。

そして「ちょっと疲れちゃったかな?」と思ったら、
このお手紙でお伝えした、「お洗濯ケア」で、
「カシミアのTシャツ」を
ゆっくり、リラックスさせてあげてくださいね。

みなさんの「カシミアのTシャツ」が
いつまでも元気でいられるよう、
ときどき、
ちょっぴりでいいので、
愛情を注いであげてくださいね!

それでは、みなさん。
またいつか、お会いできるといいですメェ。

「人生いたるところにカシミアあり」
カシミール博士でした。

それでは、ごきげんよう!
2007-12-27-THU
 
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN
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