横尾香央留さんにはじめてお会いしたのは、
2010年10月のことでした。
場所は、吉祥寺の「ギャラリーフェブ」
「ほぼ日ハラマキ展」の準備をしている会場に、
横尾さんはやってきました。

「突然、吉祥寺テキスト中継祭り!」
というコンテンツに、そのときの写真が残っています。

▲まさに「はじめまして」のごあいさつ中。

横尾さんは、
ずいぶん長いこと「ほぼ日ハラマキ」を
ご愛用くださっていたとか。
そんな横尾さんが、この展示会のために
刺しゅうを入れたハラマキを
何枚か持ってきてくださったのでした。

その中のひとつが、こちらです。

驚きました。

「手裏剣格子」というほぼ日ハラマキに、
ウサギの顔の刺しゅうが、ぽつんと。
このワンポイントで、
ハラマキが横尾香央留さんの作品になっていたのです。

さらにこの日、驚いたことがもうひとつ。

このかわいい刺しゅうを見て、
みんなが「わあー!」っとなった途端に、
なんと横尾さん‥‥逃げたのです。
その場から、いなくなろうとしたのです。

▲逃げた瞬間を撮っていました。

第一印象でシャイなかたとは思いましたが、
まさか、逃げるとは。
ほんとにびっくりしました。

あわてて引き止め、
「作品を置き逃げしようとするなんて!」
とみんなで笑いながら、
あらためてきちんとお礼をしたのでした。

手作業のクオリティはもちろんのこと、
そんな出会い方も含めて、
横尾香央留さん、
とても、とっても、印象深い女性でした。

ちなみにそのとき横尾さんが刺しゅうをしたハラマキは
「ほぼ日ハラマキ展」の期間中、
展示会場にほど近いお茶とお菓子のお店、
「横尾」に展示していました。

▲「横尾」は、香央留さんのお母さんのお店です。

さて、
そんな驚きの出会いから1年7カ月ほどの時が経った、
ことしの5月のとある木曜日、
開店前の「横尾」にお邪魔しています。

完成したばかりのハラマキ、
「千鳥うさぎ」を横尾さんにお届けするために。

左がオリジナル、右が新作の「千鳥うさぎ」です。

「とてもきれいに、刺しゅうが再現されています」
と横尾さん。

オリジナルにはなかった「鳥」の刺しゅうも2羽、
模様の中に隠れています。

横尾さんの確認が済んで、
「千鳥うさぎ」が誕生しました。

1年7カ月前、
初対面の横尾さんが、
まるでご自分の名刺のように、
「私はこういうことをする者です」
と差し出してくれた刺しゅう入りのハラマキ。

それを再現したのが、「千鳥うさぎ」です。

われわれが驚いたあのハラマキを、
今度はみなさんにお渡しできることになりました。

手仕事からうまれた、ひそやかにかわいいハラマキです。
よろしければ、お使いください。