ほぼ日 |
有田さんが、
布のデザインを始められたのは
いつ頃からなんですか。 |
有田 |
実際に自分のブランドとして展開しはじめたのは、
2001年の春からですね。
ただ、僕は、もともと興味のひとつに建築があって、
10代の頃からいろいろな建築家の写真集に
触れていました。
その中でも、
布のグラフィックパターンのようなものに、
インパクトを感じていて、
知らず知らずのうちに、いろんな形で、
自分なりのパターンを描いていたように思います。
また、写真集の中の世界にとどまらず、
山に行ったときの木漏れ日のまぶしさや
街角でふと目に入る情景など、
自然や日常から感じる
さまざまな情景が溶け合っていったその経験が、
僕のいまの表現の源になっているように思います。 |
ほぼ日 |
たとえば、いろんなものを見ながら
ご自身の頭に浮かんできたものを、
書き留めていたりするのですか? |
有田 |
スケッチしておくことが多いですね。
キーワードがふっと思い浮かんだり、
フォルムや着想が思い浮かんだりすると、
よく書き留めています。
そのときに整理しないことがポイントです。
ですから、頭の中は、いろんなもので、
けっこう散らかっています(笑)。 |
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ほぼ日 |
その頭の中に蓄積していったものを
布に表現されるわけですね。 |
有田 |
僕にとっては、
1枚の絵を描いてフレームにして美術館に飾られるより、
布のパターンとして絵をおこし、
その布を使った
洋服やインテリア、雑貨やステーショナリーといった
いろんな商品をとおして、
人々の生活に馴染んでいくことの方が
うれしいことなんです。
あと、布は感情や触感といったことにも
影響を与えるでしょう?
ある年代の布の柄を見て、その頃のご自身の情景を
なつかしく思い出される方もいれば、
人によっては、その布をレトロと感じたり、
反対に新しいと感じたり、
その布の醸し出す雰囲気は、
人それぞれにいろんなイメージを想起させてくれます。 |
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ほぼ日 |
布には、感情を想起させる力があるということですが、
有田さんの布を見ていると、
北欧デザインの雰囲気が漂っていたり、
見方によっては、和のデザインの雰囲気が漂っていたりと、
国籍のない、まさしく
有田さんのブランド名「New Esperanto Label」にもあるように、
(エスペラント=世界共通語)
万国に通じる感性があると思います。 |
有田 |
僕の製作コンセプトのひとつに、
老若男女に親しまれたいということがあります。
みんなに親しまれやすいとか、かわいいとか、
そういった割とみんなが共通に感じるものを
つくっていきたいと思っています。
色についても、
より多くの人が好感を持てる色を使いたいと思っていて、
たとえば、派手な色でも、
安定感や落ち着きを感じさせる組み合わせを
心がけていますね。 |
ほぼ日 |
たしかに、老若男女問わずと言いますか、
有田さんの布は、使う人や場所を限定せず、
その場に馴染む力がありますよね。 |
有田 |
僕は、布のパターンをおこすとき、
ある程度、普遍性のあるデザインをめざしているのですが、
布の使い方は、それぞれ使う人の手にゆだねています。
たとえば、ひとつの柄を
横に見立てるか、縦に見立てるかは、
使う人の見立てにゆだねています。
僕自身、僕の布がその人によって、
どういうふうに変化するのか、
楽しんでいるところがあります。
自分の予想もしない展開が起こることが、
面白いんです。
そして、世の中の人が、
僕の布を使った商品に触れたときに、
それぞれの生活の中で、
イメージを楽しみながら使いこなしていってほしいです。 |
ほぼ日 |
どのアイテムにも合うような布のパターンをおこすために、
とくに意識されていることはあるのでしょうか。 |
有田 |
僕が作る布のパターンの世界は、平面です。
その平面のパターンが、
立体になるときに、その人の技術とセンスで
仕立ててもらいたいという気持ちがあります。
そして、きちんと仕立てられたものが
さまざまなジャンルでいろんな形になって、
使っていただくわけです。
そのおおもとにあたる布のパターンを作るのが
僕の仕事です。
ですから、僕は、まず僕の布を使って商品を作る方々の、
創作意欲を高められたらいいなという思いを、
つねに持っています。 |