イラストレーターであり、
グラフィックデザイナーでもある
はらだゆきこさん。
「ほぼ日」では、『虫博士たち。』のイラストや
「だれでもつくれる永田野菜」のDVDセット
ボックスのイラストでもおなじみです。
はらださんのイラストやデザインは、
どこかなつかしさのようなものが感じられて、
ほっとするような気持ちになります。
今回の「冬のほぼ日エアライン」の
はらださんデザインのハラマキとブランケット、
「おめでとうありがとう」「みまもっているよ」も、
デザインや色づかいがとてもやわらかくて、
やさしくあたためてくれそうです。
 
   
本日は、はらだゆきこさんご本人に、
「おめでとうありがとう」「みまもっているよ」を
どんな気持ちを込めて作ってくださったのか
お聞きしました。

はらだゆきこさん
-- まず、今回、
ハラマキとブランケットのデザインをするにあたって、
どのようなことをイメージされましたか?
はらださん いままで、Tシャツなどのグッズを
デザインした経験はありましたが、
ハラマキのように、一周りするアイテムのデザインは
はじめてだったので、
「ぐるっと一周するっ!」っていう特徴を活かせる
デザインにしたいなと思いました。
それで、手をつなぐ小人たちと山々の景色の2つを
考えました。
あと、ハラマキは「身体をあたためる」ものなので、
基本的にやさしいアイテムですよね。
なので、やさしさでお腹を包み込むような雰囲気を出せたらいいな、
と思っていました。
-- たしかに「おめでとうありがとう」は、
小人たちがお腹を守ってくれそうな
あたたかみのあるデザインですよね。
はらださん 子供の頃に、折り重ねた紙を切って広げると、
手をつないだ人がたくさんできる切り絵を
作った記憶があるのですが、
それでできた小人たちが、
ぐる〜っと囲んでお腹を守る姿を、
とにかく見てみたかったんです。
なので、いきおいよく、一気に楽しく作りました。
ワーッと何パターンも作ってみて、その中で、
一番ぐっときた形のものを選んで
ハラマキのデザインにしました。
この小人は、男の子と女の子なのですが、
むかしの、きちんとしたお出かけ着を着ている、
クラシックな子どものイメージです。
-- なぜ、切り絵で表現しようと思ったのですか?
はらださん 私は、「自分のかわいらしさに気づいていない子ども」
のかわいさに、魅力を感じてしまうんです。
ハラマキでも、そういう計算のないかわいらしさが
表現できたらいいなと思いまして、
だったら「切り絵」がいいかな、と。
イラストレーターとして仕事をする前は、
ゲームのように、紙を適当な形に切ってから、
それを何かに見立てて絵にしていくっていう
遊びをよくしていて、
そのときに、切り絵の線って手書きと違う魅力があるんだな、
と気がつきました。
そういうコントロールしすぎないで、生まれたものの
味が出ればいいなと思ったんです。
ハラマキ自体も編み物なので、
線がまっすぐではなくて、ちょっとギザギザしているので、
ハラマキの形になったときに、
またいい味が出ていますよね。
-- 真ん中の「HARAMAKI BLESS YOU」も、
あたたかみのある言葉で、いいなあと思いました。
はらださん

まず、ハラマキに、何か言葉を入れたかったんです。
だって、お守りにも、
真ん中に「お守り」ってどんっと書いてあるでしょう?
そうやって言葉が入ることで、
ほんとうに守ってくれそうだなって思えてきますよね。
なので、ハラマキも、「これが君を守ってくれるよ!」
という「太鼓判」のような感じを出したかったんです。
その昔、英語の授業で
“くしゃみをすると、まわりの人が、「BLESS YOU!」と言う”
と習って、何となく、それはすてきな習慣だなぁと、
ずっと心に残っていました。
それで、ハラマキのデザインをしていて、
このデザインには、言葉を入れたいなと考えたときに、
浮かんだのがこの「BLESS YOU!」でした。
今回はハラマキなので、前にHARAMAKIも付け加えて
「HARAMAKI BLESS YOU!」となりました。

-- 「お腹を守る」といえば、ピンクの色合いも、
やさしくお腹を守ってくれそうですね。
はらださん この、地の色になっているピンクは、私が一番好きな色です。
このちょっとオレンジがかったピンク…
わたしは「ばら色」と勝手に呼んでいますが、
ふだんのイラストにも、よく使っている色なんです。
この色で描いていると、なんだか、とっても幸せを感じるんですよ。
その「幸せな気分」を込めて、この色をえらびました。

-- 最初に、このデザインを拝見したとき、
この景色をどこかで見たことがあるような、
不思議な気持ちなりました。
はらださん このハラマキをデザインしたときに、
あまり、イメージを限定してしまいたくないと
思っていました。
絵を描くときも、
「なんか気になるから、中をのぞいてみよう」
と思わず中に入って行きたくなったり、
もう少し先の方の景色も見てみたいと思ったり、
見る人が、そこから何かしらの物語を想像できるような、
余地を残した絵を描きたいと思っています。
なので、このデザインのハラマキも、
「ワシのような鳥が1羽、月夜を飛んでいる。」
「星のような、雪のようなものが、空から降っている。」
そこから、それぞれみなさんが、何かしら、
自分の中の物語を作ってくれるといいなあ、
と思います。
先日、友だちにデザインだけ見せて、
「どっちのデザインが好き?」って聞いたら、
「“知床の静かな夜”の方が好き。」
って言われてびっくりしました。
彼女にとっては、この景色は、知床なんですよね。
これをデザインするときに、私はたまたま『ココシリ』という
チベットの山が舞台の映画を観て、
そこからイメージをふくらませたのですが、
このハラマキを見た方が、
こんなふうに、その人それぞれの感じる物語を描いてくれたら、
うれしいです。
-- 実は、はらださんご自身も
以前から、ハラマキ愛用者なんですよね。
はらださん はい、ハラマキ歴は、かれこれ4年になります。
もともと市販のハラマキを愛用していて、
「ほぼ日」のハラマキを巻きはじめたのは、去年からです。
私は、北海道の札幌生まれ、帯広育ちなのですが、
冷えにかなり弱くて、すごく寒がりなんです。
毎年、3月くらいまで毛糸の帽子をかぶっていますし、
どこへ行っても、
最初に「寒い!」と言い出すのは私です。
それでも、お腹にハラマキを巻いていると、
あたたかさがぜんぜん違うんですよ。
あと、お世辞ではなくて、
ほんとに、いままで使っていたハラマキと、
「ほぼ日」のハラマキとは、
あったかさがまったく違います。
市販のハラマキは、下着感覚というか、
薄すぎて、意外とあったかくならなかったのですが、
「ほぼ日」のハラマキは素材がしっかりしているし、
伸び縮みしやすくて、
ぴったり体にフィットするので、すごくあったまります。
今回は、ふだんから愛用しているお気に入りのアイテムを
自分でデザインすることができて、
とってもうれしかったです。
はらださん、どうもありがとうございました!
「おめでとうありがとう」も「みまもっているよ」も
はらださんのあったかいお人柄がそのまま出たような、
ハラマキとブランケットです。
このハラマキやブランケットを巻いて眠ると、
いい夢が見られるかもしれませんよ!?

2006-11-12-SUN