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なかざと たき

1965年生まれ。
1988年「隆太窯」にて、
父である中里隆氏のもとでやきものを始める。
柿傳ギャラリー(新宿)、伊勢丹(新宿)、
万葉洞(銀座)などで個展多数。
隆太窯の公式サイト


2013年のインタビュー 炎のちから


今回の「ほぷらす」、
南蛮のものが、たくさんあります。

南蛮は、釉薬をかけないやきものです。
色や模様は、窯の中で
炎がつくってくれるといってもいい。
炎があたったところに出る「火色」(ひいろ)も、
舞い上げられた灰が
降りかかってできる「灰かぶり」も、
窯から出してみて、はじめてわかります。



ですから、色合いや模様は、
思いどおりにつくれるものではないのですけれど、
窯詰めのときに、
炎の通り方を、ちょっと予測しながら、
並べたりはしますね。

窯の中は、場所によって温度も違いますから、
高温になるところに置いたものは黒っぽくなるとか、
そういう変化もでてきます。



窯の中で、柔らかくなりますよね、焼き物って。
だから、かたちもすこしずつ違ってきます。
炎のちからで、つくられる。

それをねらって、
うつわを重ねて入れたりします。



小鉢みたいなものをかぶせておくと、
それで炎の通り方が変化して、
いろんな色あいが、出やすかったり出にくかったり。



重ねるのも、ひとつだけじゃなくて、
2つ、3つと重ねるときもあります。

上からの重量がかかることや、
炎の流れだとか、
薪が当たって、ちょっと倒れて、とか。
それで、かたちにも変化が出ます。
曲がりすぎて、困ることもあるんですけどね。



あんまり隙間がぴったりしすぎても、
炎が通らないんで、変化が出ないんですよ。
密閉されてしまっても、ダメなんですね。

ちょっと浮かせて、火が入っていくようにしたり。
かぶせるものの組み合わせによっても、
ずいぶん変わってきます。
ちょっとした隙間の按配によって、
変わってくるんですね。おもしろいですね。



今回は、カップとビアカップ、湯のみと、
南蛮のバリエーションがいくつかあります。
大きさやかたちの違いを、
楽しんでいただきたいですね。

青唐津は、今回が初めてですね。
青と言っても、緑がかった色です。
飯碗と、小どんぶりをつくりました。

やきもののつくり方に、酸化と還元というのがあって、
同じ釉薬でも、できあがりの色が違うんです。
青唐津は、還元で焼いたものです。
酸化で焼くと、同じ釉薬でも黄色くなるんですよ。



小どんぶりは、青唐津と、刷毛目ですね。
このくらいの大きさのもの、うちでも使ってますよ。



じつは、うちの女性スタッフの要望があって、
つくったんです。
うちでは、お昼をみんなで食べるんですけれど、
前は普通のどんぶりを使ってました。
それだと、軽くよそったつもりでも、
なんとなくうつわに合わせて盛ってしまって、
おなかいっぱいになっちゃう、っていうことで。



で、飯碗でもなく、どんぶりでもない、
このくらいの大きさというリクエストがあって。
注文があれば、なんでもつくりますから。

使い方は、もちろん決まりなんてありません。
どのうつわも、使うひとが、好きなように、
好きな食べ物を盛ってくれたらいい。
毎日の食卓で、どんどん使ってもらえたら、
うれしいですね。

2013-09-20-FRI
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