![2013年のインタビュー(その1)スウェーデンの学校へ。](images/yano/midashi01.gif)
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大学は商学部でした。
卒業したとき、これから何をしようか漠然としていて、
はっきりするまでは、と思って、
リュックを背負って、いろいろなところを回りました。
もともと、自然が好きで、
山や海に行くのが好きだったこともあって、
その旅でネイティブアメリカンの考え方に出会って
共感を持ったんです。
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環太平洋のモンゴロイドの人たちの
美術や工芸品を扱う福岡の会社を知り、
その会社は、海外からアーティストを呼んだり、
文化活動も積極的にやっていて、
給料をもらうため、というよりも
ライフワークにしたいと思い、就職しました。
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そこで、スウェーデン人の
エコジャーナリストと知り合いました。
15、6年くらい前のことで、
まだ、環境意識とかエコという言葉が、
いまほど言われてない時期です。
僕はちょうどその頃、環境芸術というか、
生活と一体化した美術をめざしたい
という理想がありました。
若いこともあって、青臭かったですねえ。
木を削ってオブジェをつくったりしてました。
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あるとき、そのスウェーデン人の友達から、
「スウェーデンのエコヴィレッジの人が来日して、
講演をするから、運転手をしてくれ」
とたのまれました。
運転しながら、その人たちに、
「こういう思いがあるのだけど、
この先、どうしていいかわからない」って、
自分が何をしたいかを話してたんですね。
すると、スウェーデンに帰った彼らから、
「ピッタリの場所がこっちにあるぞ」
と連絡があったんです。
「もう予約した。手続きはほとんどやってある。
断るなら、自分で断りなさい。
でも、たぶん、
お前がやりたいと思うことはそこにしかない」って。
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そこまで言われたから、
「じゃあ、行く」って決めまして。
仕事を辞めて行ったら、そこは家具の学校でした。
スウェーデンの家具の父と呼ばれる
カール・マルムステン氏が創立した
カペラゴーデンという学校です。
森の中にあって、そこでは、
まず、立ってる木を自分たちで切って、板にして、
なるべく機械を使わずに、のみで彫ったりして、
シンプルにシンプルに、家具をつくる。
生活と密着したものづくりを基本理念にしていました。
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僕が行ったのは、3ヵ月間のショートコースで、
おじちゃんとかおばちゃんとか、
いろいろな人が来ていました。
スウェーデンの人は、こういうスクールに入るのも、
バケーションの一環っていう感じなんですね。
だから、あまり堅苦しくなくて。
木工のほかにも、陶芸のクラスとか、
テキスタイルとか、いろいろありましたね。
そこで、いい友達がいっぱいできました。
コースが終わるとき、
僕はマイスターの資格を取る本科に入り直そうと
ビザの関係で一度日本に帰って、
面接試験のためにまたスウェーデンに行きました。
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面接で、担当者から、
「本当に、家具がしたいの?」って質問されて、
僕、答えられませんでした。
そのときになってはじめて、
ああ、僕は、ただ、学校が好き、
ここの環境や友達が好きだったのか、
と気づいたんです。
そこで面接の途中で「帰ります」って言って、
帰って来たんですよ(笑)。
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とはいえ、帰国はしたけれど、
すぐには仕事なんかできないわけですね。
(次回につづきます) |