HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN 湯のみとごはん茶わんの店 ほ+ ほぷらす 2013
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よみや たかし

1972年生まれ。
1991年 唐津「隆太窯」にて修行。
      中里隆氏に師事。
1995年 天草「丸尾焼」にて修行。
2004年 天草市に開窯。
余宮さん(朝虹窯)の公式サイトはこちら。





この1年くらいは、個展が多かったです。
ほぼ毎月、個展でした。



工房にこもって、つくって、
個展に出かけて、
帰って来て、またすぐ工房。
そんな繰り返しでした。

仕事ばっかりで、
世捨て人みたいになってしまいました。
もう、いろいろ情報とか仕入れるのが、
面倒くさくなって(笑)。
なんの興味もなくなってしまって、本当に(笑)。



人と会ったりしても、
仕事以外に興味がないから、
何しゃべっていいか、わからないんですねぇ。

個展で出かけると、
2、3日、工房から離れるじゃないですか。
そうしたら、すごい不安になる。

こうしている間に、
うつわ、何個できるだろう、とかね(笑)。

つくるのは楽しいですね。
仕事は、今までのキャリアの中で、
今が一番楽しい。

だから、夜中まで作業しても、
全然ストレスじゃないんですよね。
逆に、そのほうが、精神的にいいみたいです。



仕事は、最近は本当にシンプルになりました。
人の仕事とか、全然見ないようにしたんですよ。
意識して見ないようにした。

人のを見たら、
うまいなぁ、って思うんですよね。
そのときの、嫉妬みたいな、
その気持ちがつらかった。
じゃあ、見なけりゃいいんだと思って(笑)。

例えば、よく雑誌に載るような、
人気作家さんグループみたいな、
そういうのが気になったり、
クラシックなお茶碗、抹茶椀なんか焼いて、
上手、っていわれるような人にもなりたいなぁ、
なんて思ってた時期があったんです。



ジャンル分けに、こだわってたんですね。
自分の立ち位置を、
探してたんだと思うんですけれど、
去年くらいから、
そういうことも全然考えなくなって。

もう、いいや、って(笑)。
そういうグループ分けみたいなものが
気にならなくなった。
人のつくるものとかも、全然。

今は、
「ジャンル、俺」みたいな感じ(笑)。
だから、スッキリしてるんですよ。



仕事が楽しいし、
焼きたいアイディアがいっぱいあるので。

前は、人から力を貰って、
それを自分の中で、自分の力に変えて表現する、
みたいなところが結構大きかったんですね。

だから、人のものを見ないで、
自分の中からのものだけでやっていくのは、
辛いこともあるけど、
でも、そっちのほうが、
他にないものが焼けて、出てくるんですよ。
影響されてないですからね。

たとえば、前だったら
民芸っぽくてダメかな、と思うようなものが、
なんか、かわいく見えるんです。
自分では、気に入ってるっていうことですよね。



窯から出てきて、
自分がいいと思えれば、いいんです。

つまり、
自分らしいものが焼きたいんですよね。

(次回につづきます)
2013-11-26-TUE


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