HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN 湯のみとごはん茶わんの店 ほ+ ほぷらす 2013
2013年のインタビュー(その2) いいうつわとは?


料理、しますよ。
自分が海でとってきたものは、
全部自分で料理します。

魚も、さばきます。
マイ包丁も持ってます。
小出刃と出刃と。
刺身包丁は2本持ってます。



料理は、隆太窯で身につきました。
夕方5時半から、お弟子さんが母屋に上がって、
料理の手伝いをするんです。

焼き魚とか、潮汁とかが、お弟子さんの役目。
最後は、包丁研いで終わり。
料理屋さんの修行みたいでしたね(笑)。

僕は、先生が下ごしらえしたおつくりも
切らせてもらってました。
「包丁の使い方がうまい」っていわれて。

一応、僕、焼き鳥屋の息子なんで(笑)。
小っちゃい時から、包丁は使ってたんです。
うちのお店で。
盛りつけて、お客さんに出してました。



隆太窯の食事は、全部、預け鉢なんです。
みんなの分の料理を一緒に盛ったうつわが、
上からずっと回って来て、
最後に僕が食べて、
台所に鉢を戻しに行く。
そこで潮汁だとかに火をつけて、
お椀に盛って、また持って行って、
今度は焼き魚を焼いて、っていうふうに。

器も自分で選んでよかったんです。
盛りつけも自分で考える。
そういうのが、一番勉強になったなぁ。
盛りつけが決まった時の、あの興奮ってないですね。

でも、盛りつけが不細工だったら、怒られますからね。
洋食みたいな盛りつけしたら、
「お前は、西洋人か」っていわれる(笑)。



隆太窯のうつわは、
何を盛ってもすぐ決まるんですよね。

いいうつわって、
そういうものなんだろうなぁって思います。
なかなか、そうはいかないです。

なにかが、違うんですよね。
何か乗っけて、うまそうに見えるっていうのが。
僕は、まだそんなふうになってないもんなぁ。



今、料理本ばっかり買ってるんですよ。
料理本、おもしろいですもん。
料理の写真見て、
じゃあ、これを盛るうつわ、
つくってみようか、ってなります。

いちばん、イメージが湧きます。料理本。
また、そうしたら、自然とこう、
うつわの色も、
穏やかになってくるみたいな感じなんですよ。
料理を引き立たせるために、
うつわを考えるようになってきますね。



うつわを主張させようとしてるときは、
もっと奇抜に、とか、
個性的に、なんて思ってましたけど。
最近は、そんなことは全然考えませんね。

料理を盛ったときがいちばんいい、
っていうのが、いいうつわだと思います。

2013-11-27-WED


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