「わたしがイメージする、むかしながらの “かわいいチェックのオーバーコート”。 そのイメージで、つくりました」と大橋さん。 既製服がまだまだすくなくて、 自分で着る服は、家や、仕立屋さんでつくるのが あたりまえだった頃、 生地屋さんで好きな生地をえらび、 「外国の雑誌や、日本なら『装苑』を参考にして、 “こんなの作って!”って、ね」(大橋さん) と、そんなふうに、つくったものだそうです。 そんなとき、選ぶ生地のなかに、 こんなふうな白と黒のギンガムチェックや、 あるいはグレンチェックなどが、 定番として、ありました。 ところが、今、そういうものが着たいと思っても、 既製服ではなかなか手に入りません。 「オーバーコートは無地を、というかたも多いですし、 もちろん、わたしも好きですけれど、 こういうチェックも、かわいいでしょう?」 と、その当時の雰囲気をもつデザインの生地をさがして、 「a.」定番のかたちのコートをつくりました。
おなじかたちである「ウール定番コート(紺)」 の生地にくらべると、すこしかためで、 独特の“シャリ感”があります。 袖まで全身に裏地をはっていますから、 着ているとき、ちくちくした感じが 気になることはないのですが、 「もし、首まわりが気になる、 というかたがいらっしゃったら、 くびまき、マフラー、タートルネックなどの上から 着ていただければと思います」(大橋さん)。
たっぷりした袖まわりと、身幅は、「a.」定番ならでは。 前身ごろと袖を、左右それぞれ一枚で裁っているので、 そでぐりの縫い目がなく、 チェックのデザインがひと続きになっています。 そして、注目していただきたいのは、 前身ごろや、ポケット、 そして、後ろ身ごろの縫い合わせまで、 生地が2枚重なる部分がひとつの模様になるように、 きれいに合わせていること! そんな気配りが、上質感につながっています。
「やっぱりね、チェックって、着てて、いいんです。 試着したかたは、とても気に入ってくれて、 いろいろな人が着てくださるのだけれど、 みんな、かわいいの。 下に赤いセーターを着てもらっても、 赤いワンピースでも、青でも緑でも、 この白黒のチェックのコートだったら、 楽しく着てもらえる。 もちろんお手持ちの茶色やベージュの服でも 全然大丈夫だと思います」(大橋さん)
釦は、生地と同じ柄のくるみ釦が、よっつ。 フラップつきのポケットは、左右の前身ごろに、 ひとつずつ、斜めについています。