「hobonichi+a.」のあたらしい靴。

大橋さんがずっとつくりたかった
大人のための革のスニーカーを、
イメージからプロダクトに変身させたのは、
とあるシューズデザイナーの女性でした。

このかた、お名前などの詳細は秘密なんですが、
みなさんもきっと知っている、
あの! 有名なブランド(ひとつじゃないんです)で、
靴づくりのお仕事を手がけているかたなんです。

きょうは仮に、「靴づくり」さんとお呼びします。

大橋さんとの出会いや、
この靴がかたちになるまでのお話、
いろいろ、うかがいました。

──
大橋さんと「靴づくり」さんが
いっしょにこのスニーカーをつくる、
そもそもの出発点をきかせてください。
靴づくり
私、洋服ブランドの靴を
作らせてもらっているんですが、
その仕事って、ずっと慌ただしいんですね。
ブランドはコレクションが年に2回発表され、
それに合わせる靴をつくるわけなので。
もちろんその仕事はやりがいもあり、
すばらしいんですけれども、
いっぽうで「定番化できるような靴」を
つくってみたいと考えていたんです。
それと同時に、
今どんどん日本は高齢化社会になっているのに、
理想的なコンフォートシューズに出会えていない、
という思いもありました。
デパートなどの靴売り場を見ると、
インポートはデザイン性が強すぎたり、
国内のブランドは、昔からあるような、
いかにもおばあちゃんが履くような靴が多い。
もっと自分たちにぴったりくるデザインの
コンフォートシューズがないものかと、
ずっと心に引っ掛かっていたんです。
じゃあ自分でつくりなさい、
と思われるかもしれないですが、
私は自分のブランドをやろうとは考えていないんですね。
でも私が仕事をしているブランドは、
あんまり当てはまらない。
だからそういう靴をつくりたいというメーカーや
ブランドの方と出会えたらいいのにと思っていました。

そんなときに、お菓子屋さんの友達が、
「大橋歩さんのブランドは、
もたいまさこさんがモデルだったりするよ」って。
私、以前から大橋さんの
イラストが大好きだったんですけれど、
「a.」のことを、知らなかったんです。
それでネットで検索してみたら、すごくいい。
それで駒沢大学のお店にも来てみて、
大橋さんがつくられているものを見て、
「ここだったら、
自分が思っていた靴をつくれるかも!」
と思いました。
大橋
そのお菓子屋さんを私も知っていて、
そこで、紹介いただいたんですよね。
靴づくり
はい、1年とちょっと前くらいでしたね。
──
「こういう靴をつくりませんか?」って、
提案なさったんですか。
靴づくり
そうなんです。
そのとき、モールドソールをお勧めしたんです。
イタリアのゴムス社のもので、
ホバークラフトソールっていう名前のソールです。

大橋
じつは最初、せっかくお話をいただいたんだけれど、
うちでは難しいかもしれないって思ったんです。
もののよさは理解しても、
商品として売るためのお値段のこととか、
数のこととかを考えると、
私たちの規模では難しいかな、って。
でも、よくよく聞いていくと、
そのソールは特別なもので、貼替えられると知り、
「それなら」と思うようになりました。
スニーカーって、革製でも、底が減ると、
けっきょく捨てなきゃいけないわけなんです。
それが、すっごく嫌で。
でもこれは、ソールだけ、替えてもらえる。
それがわかって、ちょっとそそられて。
それで、「a.」をつくっているみんなと相談したら、
いままでの革靴とは全然違うし、
履きやすそうだし、いいよね、
っていうことになって。

今、みんなスニーカーを履いていますよね。
でも、ちょっと年齢の高い人たちって、
普通のスポーティなスニーカーだと、
逆におばちゃんっぽくなっちゃうんですよ。
そういう人が、すっごく多いの。
歩きやすいし、楽だから、
機能としてはいいと思うんですけどね。
長く履いてもらえたらっていう意味では、
だから、提案いただいたのが、
革で、なおかつ履きやすく、
スニーカーであるっていうところが、
いいなって思いました。

それで、履いてみたんですよ。
みんな、すごく気に入って。
クッションがちゃんとしているのね。
靴づくり
全体にクッションを入れてるから、
柔らかくて軽いんです。
ふつう、柔らかくて軽いと、へにゃへにゃして、
頼りなかったりするんですけど、
この靴はしっかりもしています。
タンの中にも、スポンジを入れているので、
足(甲)あたりもいいんですね。
これ、革靴では、あんまりやらないと思うんです。
ちなみにスポンジは、
かかとの口周りのところにも入れていますよ。
──
ホントですね! 
さわってみるとやわらかいのに、
見た目はシュッとしてスマートです。

靴づくり
いわゆるコンフォートシューズって、
いかにもクッションを入れてます、
って感じになるじゃないですか?
それが嫌なので、
言われてみれば、そうかな? ぐらいに。
大橋
そういうところも、
すごく研究されてるのね。
靴づくり
私、「a.」のお洋服の、
年齢層の幅の広さがいいなと思ったんです。
靴も、そうできたらいいな、って。
──
キャンバスのスニーカーのような、
切り替えがありますね。
でも、ステッチがないせいか、
第一印象は、ちゃんとした靴、なんですね。
靴づくり
カジュアルっぽくないほうがいい、
っていうのが前提だったんです。
大橋
そこは一緒に考えましたよね。
うちのスタッフに、
以前靴ブランドの「KISSA」にいたものがいて、
彼女が一所懸命、考えてくれて。
「スニーカーっぽい革靴」がいいんじゃないかと。
靴づくり
制作過程でいろいろ変更などもありましたが、
結果、この靴ができあがりました。
大橋
地味かもしれないけれど、
「ふつうで、履きやすい」っていうのは、
すごく大切なことですよね。
──
今までの「a.」の靴は、これからも?
大橋
今までのものも、引き続きつくります。
こっちは、全く違うものだと思っているんですよ。
実用的なことで言えば、
例えば旅行に行ったときに持っていけば、
たくさん歩けるんじゃないかとか、
そういう良さがあると思います。
もう普通にしょっちゅう履いてもらいたいな。

──
どちらにも良さがありますから、
好みで選んでいただけますね。
お出かけのシーンによって、
使い分けるのが楽しそうです。
ありがとうございました!