同じニューヨークで暮らす友人から、
ハーキマーダイヤモンドの名を
聞いたのは数年前のこと。
なんでもNYのハーキマー山でしか
採掘できない水晶で、めずらしい両剣
(両端が尖っている)の形をしているとか。
パワーストーンとしても知られていて、
それゆえ求める人も多い、云々‥‥。
私の知る水晶といえば、岩のようにゴツゴツしていたり、
片側がシュッと伸びた形だったり‥‥。
しかもダイヤモンドっていう大げさな名前がつくなんて、
いったいどんな石なんだろう‥‥。
むくむくと好奇心が湧いた私は、その数日後、
友人から教わった天然石の店へと、向かったのでした。
ハーキマークオーツ、ありますか?
尋ねた私に、店員が陳列棚から出してくれたのは、
手のひらサイズの、粗末で小さなボウル。
中を覗くと、硬質な光をキラキラと拡散させている
ガラスのような小粒の石がごろごろ入っていました。
こんなに小さいのか‥‥。
勝手にカカオ大ぐらいの石を
想像していた私は、拍子抜け。
ところがひと粒、指でつまみあげてみて、
「あ、かわいい」と思わずつぶやいてしまいました。
確かに両端はしっかりシャープに尖っていながら、
真ん中はぷっくり膨れていて、愛嬌のある丸み。
(※丸みがなく、平たい石や細長い石もあります)
人工的に磨かれたダイヤモンドとは違い、
自然が生みだしたランダムで不均一な面、
線、シルエット。
その不完全さゆえか、不思議と親しみが持てるのです。
それでいて中身は、どれもうっとりするような透明度、
放たれているのは、力強い輝き。
そんなハーキマーダイヤモンドに、
すぐさま魅せられてしまったのでした。
これはぜひアクセサリーにして身につけたい。
そんな話をロンドン在住の友人、
イセキアヤコさんにしたところ、
このたびの嬉しい商品化となったのでした。
多様性を謳歌するニューヨークの人々は、
自分らしく、自由におしゃれを
楽しむのがとても上手です。
そんなニューヨーク流を取り入れることができたらと、
ピアスやネックレスと自在に組み合わせて使える、
着脱可能なゆれるハーキマーダイヤモンドを
提案しました。
天然石に詳しいわけではないので、
パワーストーンの効能は正直よくわかりませんが、
店のスタッフに聞いたところ、
「ネガティブな感情を払い、
より強い意志を抱かせてくれる」のだとか。
なるほど、まるで逞しく前向きに生きる
ニューヨーカーみたいな石だなあと、感じています。
2018.9
仁平綾
仁平綾(にへいあや)
ニューヨーク・ブルックリン在住の編集・ライター。
食べることと、猫をもふもふすることが趣味。
雑誌等への執筆のほか、著書に『ニューヨークの看板ネコ』
『紙もの図鑑AtoZ』(いずれもエクスナレッジ)、
ブルックリンの私的ガイド本『BEST OF BROOKLYN』vol.01-03がある。
NYの雑貨やアクセサリーを買い付け、
日本でポップアップショップなども開催。