「ほぼ日の冬のくびまき」は、
このくびまきのために開発した、
「中羊糸(ちゅうようし)」という
あたらしい糸でつくりました。
「中羊糸」は、極細のウールの糸を
コットンのわたで包み込んで縒(よ)りをかけて
1本の糸にしたものです。
あたたかく弾力のあるウールと
肌ざわりがよく静電気がおきにくいコットンの
おたがいのよいところをあわせもっています。
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中軸のウールの糸の素材は、メリノウール。
羊毛の中でも最高級とされる
メリノ種の羊のものです。
ほかの羊毛に比べて繊維が細く、
ソフトな肌触りがうまれるこの糸を
細く細く縒りました。
ウールは弾力とはりがあり、ふかふかしています。
ちぢれた繊維はたくさんの空気を含むので、
断熱性がたいへん高く、
湿気を吸収すると、熱を発生する(吸着熱)という
特別な性質も持っています。
この湿気を熱に替える性質が、冬山で遭難したときに
「肌着にウールを着用しているかどうかで
生死がわかれる」
といわれる理由です。
湿気を熱に替えるため、汗冷えを防ぐこともできます。
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ウールの糸をつつみこむコットンには、
「サンフォーキン綿」をえらびました。
サンフォーキン綿は、
カリフォルニアのまんなかに広がる
広大な農地、セントラルバレーの
南のほうで作られています。
この農地は、周囲を囲む山脈の
雪解け水を利用してできたもので、
綿はこの雪解け水を源とした
地下水をつかって育てられています。
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サンフォーキン綿の繊維は、
天然の縒りが入っていてふくらんでいて、
毛羽があることが特長です。
繊維が長く毛羽がない超長綿をつかうよりも、
サンフォーキン綿をつかった方が、
ふわふわしたあたたかいくびまきになる、と考えて、
「ほぼ日の冬のくびまき」には、この糸を選びました。
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「マフラーサイズ」と「ストールサイズ」は、
この中羊糸の弾力、ふわふわ感、
しわの味わいを、より出すために、
中羊糸の縒りをきつめにし、
2本組み合わせて1本の糸として織っています。
これを「双糸」といいます。
▲双糸:2012秋冬/ストールサイズ「ダークブルー」
▲双糸:2012秋冬/マフラーサイズ「こはく色のチェック」
今季、初登場の
1本だけで、ゆったり織った「ふわふわロング」は
「ふわっふわのくびまきがほしいな」
「かるいのに、ボリュームたっぷりなくびまきを!」
そんなきもちで開発した、あたらしい織り方のくびまきです。
まず、糸がちがいます。
おなじ「中羊糸」なのですけれど、
2本を縒(よ)り合わせた双糸ではなく、
1本だけの単糸を使いました。
やわらかな細い単糸をきれいな織り物にすることは、
じつは技術的にむずかしいのですけれど、
これもこの「中羊糸」だからできた、
といえるかもしれません。
低温で時間をかけた糸染めによって、
ウールのもつ弾力やしなやかさを保っていること。
コットンを乾かすための高温ではなく、
ウールのための低温で、じっくりと乾燥させたこと。
そんなくふうで、「中羊糸」の糸いっぽんいっぽんに、
うまれた弾力があったからこそ、
こんなふうに、織り上げることができたんです。
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▲単糸:ふわふわロング「椿色のブロックチェック」
▲単糸:ふわふわロング「オーロラブルーのチェック」
ふんわり、やわらかく、しかも透け感が出たことで、
とても上品な印象になった「ふわふわロング」。
そのままだと風を通しやすいところですが、
幅を広く(ストールサイズとおなじ75センチです)、
丈は、ストールサイズより29センチ、
マフラーサイズよりもなんと60センチも長い、
220センチというサイズです。
女性でしたら、くびのまわりを三重にまくことができるほど!
「ほぼ日のくびまき」で定評をいただいている
じんわりとしたあたたかさは、もちろん健在です。
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横(長辺)の端は平安時代から伝わる織り方、
「からみ織り」で留めました。
「からみ織り」は
緯糸(よこいと)に
経糸(たていと)をからめてしばる方法です。
縫い目を作らずに、
しっかりと端の糸を留めることができ、
端がほつれたり、糸がぬけたりしません。
端に縫い目がないため、巻いたときに、
なめらかなドレープが生まれます。
巻いたときに美しいドレープが生まれる「からみ織り」。
縫い目がないので、デリケートな肌の方にも、
やさしい「くびまき」です。
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※画像アイテムはは2010年のほぼ日の冬のくびまきのものです。
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「くびまき」のフリンジ(ふさ)は、
イタリア製の古い機械を使ってつくっています。
もともとは、高級カーテンのフリンジを
つくるものだったとか。
この機械は、日本には十数台しかないそうです。
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上下のフリンジは、機械の仕様上、
ねじる方向が逆になります。
そのため、上下のフリンジの
巻きかげん(カールの具合)と長さが異なります。
※画像アイテムはは2010年のほぼ日の冬のくびまきのものです。
昔の機械ですから、機械とはいっても、
オートメーションでつくっているわけではなく、
職人さんが手間と時間をたくさんかけて、
1枚、1枚つくっています。
そのため、仕上がりが、完全な機械化のもとで作られる
大量生産品と異なり、
個体差があることをご了承ください。
1枚、1枚の表情が異なることも、
また味わいのひとつと考えてくださるとうれしいです。
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天然素材であることをだいじにした
「ほぼ日の冬のくびまき」は、
しわ加工も化学的なことはせず、
自然に徹しました。
糸そのものの縒りを強くしたことで、
自然に生まれるよれや、しわを
洗ったあとの最後の仕上げのときに、
さらにはっきり出るように
のばさないようにして乾燥させています。
自然にできたしわの味わいをおたのしみください。
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