「みずたまのましかく」を織る。山梨県富士吉田市の工房を訪ねました。

そよそよ吹く風に、ふわりと舞いあがるくらいのかるさ。
そして、光をきれいにとおす、透け感。
夏のくびもとを、じょうずにかくしながら、
きれいに見せてくれる麻のくびまきができました。


このくびまきには、
「ほぼ日のくびまき」でははじめてとなる、
うんと薄い麻の織物をつかっています。
これほど細い麻糸で、
シフォンやシルクオーガンジーのような風合いをだすのは、
とても難しいこと。
それを、古い織機を使い、
高い技術で形にしてくださったのは、
山梨県南都留郡西桂町で織物産業にたずさわるみなさんです。
▲訪れた西桂町。標高600メートル、人口5000人ほどの町。
この地で織物産業が盛んにおこなわれていたのは、
およそ400年ほど前、慶長年間のこと。
(さらにさかのぼると、紀元前の
 「徐福伝説」にまで行き着くのだそうです!)
光沢と色柄にすぐれた絹織物は「甲斐絹」と呼ばれ、
江戸期から明治、大正、昭和と、
長い歴史のなかで高級品として珍重されてきました。
歴代、すぐれた織物職人たちを擁したこの地。
現在は、絹にかぎらず、いろいろな素材で
繊細な織物をつくるようになっています。
▲織物工場で。
今回、ほぼ日のくびまき「みずたまのましかく」の
ベースとなる麻織物づくりを指揮してくださったのは、
武藤株式会社の武藤英之さん。
武藤さんの工房では、
天然素材(麻、綿、絹。カシミア、和紙糸など)ならではの
風合いを大切に、昔ながらの方法で、
ストールを中心とした織物づくりをつづけています。
武藤さんは、まわりのいろいろな職人さんたちをたばね、
「メイド・イン・甲斐」の織物の維持に
力を尽くしています。
▲武藤英之さん。
▲繊細な織物を見せていただきました。
▲たて糸をつくる「整経」は、桑原整経所の桑原稔さんが担当。
▲織物を担当する織屋さんの工場。ベテラン職人の白須吉紀さんというおじいさんが担当しています。
今回の極細の麻の繊維はとても繊細で切れやすく、
そのため糸を織機にかけるときのテンション、
織るスピードがむずかしいのだそう。
職人さんの高齢化、そして後継者不足は
西桂町エリアの織物産業にとって深刻な問題なのですが、
武藤さんは積極的に、技術の継承をしながら、
使われなくなった古い織機を引き取って、
工房の敷地内に設置、
いずれはここで、昔ながらの生産ラインを
復活させることを計画しています。
▲武藤さんがあつめている、古い織機。
クラシックだけれど、あたらしい。
つけると、すっと背筋がのびるような、
エレガンスをもった「みずたまのましかく」。
次回(予告3)では、山形県鶴岡市での
手捺染のようすをお伝えします。
ほぼ日のくびまき 2014 summer は3カテゴリー6デザイン、すべて麻100%。あたらしい「とめるショップ」もいっしょに、5/28(水)午前11時より販売開始です。
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