まだ、めぐり会えていない人がたくさんいるはず。
編みもの仲間と出会う旅へ、
Miknitsは出てみることにしました。
フランスやスウェーデンでみつけたニットをヒントに
三國万里子さんがデザインした編みものキットのほかに、
はじめてのかたもチャレンジしやすいキット、
じまんの糸にふれていただける毛糸の見本帳など
たのしみかたが増えました。
世界に飛び出した三國さんのエッセンスが、
たっぷりとつまったMiknits 2020を
ひと足先にご紹介します。
『Miknits TO GO』をつくろうと思ったのは、
三國さんの「外のお客さんと出会いたい」という
言葉がきっかけでした。
そうでしたね。
毎年あらたな編みもの仲間に
出会えているよろこびはありますが、
まだ出会えていない方々も、
いっぱいいるんだろうなと思っていて。
なので、あたらしい方々と
出会える機会があったらいいなと思っていました。
でもまさか、本屋さんでMiknitsを売るとは
思っていなかったです。
だって、アランの毛糸をつけたら、
とてもじゃないけど
本屋さんで売れるような価格に
ならないじゃないですか。
でも、がんばりましたよね。
はい、気軽にMiknitsやオリジナル糸を
手にとってもらいたかったので、
がんばったと思います。
「Miknits TO GO」は
アラン糸を試しに編んでいただくのにも、
ちょうどいいですね。
すごくいい糸だと思うので、
ふれていただける機会を
つくることができてよかったです。
オリジナルの糸と編み図に
編み針もついていますし、
はじめて編みものにチャレンジするかたにも
おすすめです。
あの、「Miknits TO GO」って、
言葉をひっくり返せば
「Miknits GO TO」になる。
つまり、私たちが外に出て行く、
という意味もふくまれていると思うんです。
たしかにそうですね!
去年は買い付けや取材でロンドン、パリ、
スウェーデンを訪れましたが、
「ニットの旅」は今年もつづいていますね。
そうそう、
2020年はたくさんの編みもの仲間に
会うための旅に出ているんですね、私たち。
バイリンガルにしたい、
というのは三國さんのご提案でしたが、
日本だけじゃなく海外の仲間にも出会いたいという
気持ちがあったのですか?
昔、イギリスを旅したときに、
おしゃれな手芸屋さんの店主に
「あなたのデザインを英訳してこっちで発表したら、
すごく売れるわよ」って言われたんです。
その言葉がね、残っているんです。
英訳を手伝ってくださったかたも、
「三國さんのデザインは伝統模様のようだけど
英語圏の人からすると新鮮だ」と
おっしゃっていました。
海外のかたからすると、ひと味違うみたいです。
日本って、食べ物でもファッションでも、
いろんな文化がごちゃ混ぜに
なっているじゃないですか。
ラーメンやカレーライスみたいに。
私のデザインもそうなんだと思います。
編みものって日本の文化ではなくて、
もともとは欧米で発展したものなんです。
私はアートやニットの学校に行く代わりに
向こうの編みもの本で学んだので、
そういう本や、まだ見たことのない
一種架空の世界の編みものに憧れながら
日本の文化に囲まれて編んでいます。
Miknits TO GOの
no.1では「アランのハニカムキャップ」、
no.2では「スズラン柄の指出し手袋」を
編んでいただけます。
それぞれの作品のデザインについて
教えていただけますか?
ほんとうはもっと、
シンプルで編みやすいほうが
いいのかなと思っていました。
でも、せっかくなら、
ちょっと編むのが複雑でもほしくなる、
かわいいものがいいのかなと思って、
すこし遠くにボールを投げてみました。
三國さんは、作品を受けとる方々のことを
すごく信じていますよね。
そうかもしれないですね。
かわいければ、ほしいからがんばって
編んでもらえるんじゃないかと思っています。
岡尾美代子さんのスタイリングも、
現場で「かわいい!」の嵐でした。
岡尾さんのスタイリングは
想像できないところに着地するんですけど、
終わった後に「私たちには岡尾さんしかいなかった」と
いつも思うんですよね。
今回もすごくかわいかったです。
ほぼ日ストア限定色も、いい色です。
手袋はレモンイエローとグレー、
ニット帽はブラックとフォレストグリーンがあります。
手袋は柄が見えやすくて、
手にはめたときに肌に映える2色だと思います。
ニット帽はちょっと遊びのある緑と被りやすい黒。
男の人にも被ってもらいたいですね。
はい、はじめて編みものをする男性も
チャレンジしやすいキットだと思うので、
これを機に男性にも編みものにトライして
もらえたらうれしいです。
いろんなかたに、
「これがほしいから編む」みたいな気持ちで
出会ってもらいたいですね。
三國さんのエッセイでも、
ものの魅力について触れていらっしゃいました。
もともと、古着やジュエリーなど、
ヴィンテージ品がお好きですよね。
私は大人が大真面目に、
心を込めて「つくっちゃった」ものが
好きなんだと思います。
世の中に必要かどうかは置いておいて、
とにかく作り手の人が作りたかったもの、
誰かが一途に欲しかったもの、というのかな。
ヴィンテージの一点ものだと割とあるんです。
オーダーリングとか、
誰かひとりの欲のために作られたものが。
そうした思いを純粋に感じとれるものが手元にあると、
私も作品をつくるときに
パワーをもらえる気がするんですよね。
外からみれば、この人はどうしようもないな、と
思われているんでしょうけど(笑)。
私たちも三國さんのつくるものから
パワーをもらっています!
ありがとうございます。
私の妹(なかしましほさん)も料理家として、
おいしいものを食べて、そこからお菓子づくりの
エネルギーをもらっていますが、
何かをつくる人って「もの」から
パワーをもらっている人がほとんどだと思うんです。
命がけでものを買って、それを自分の糧にして、
あたらしいものをつくっていくのではないでしょうか。
(つづきます。)