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ほどよく暖かみを足してくれる。
三國万里子さん
- 袖のある、2種類のサマーニット。
三國さんが今季デザインされたのは、
春先から秋ごろまで、
季節のうつりかわりを
一緒にたのしんでくれるような、
癒しのアイテムです。
デザインや編む際のポイントなど
三國さんに質問のお手紙を送り、
お返事をいただきました。
- ──
- 今季は長袖のものが2枚、
かぎ針のアイテムもできあがりました。
完成したアイテムを拝見されて、
今季の全体テーマや想いについて、
浮かび上がってきたことがあれば
ぜひお聞きしたいです。
- 三國
- 春先って、何を着るか迷う日が結構ありますよね。
肌寒いんだけど、ウールのものを
身につけるのはちょっと違う、というような。
そんな日に、たとえばワンピースの上にさっと羽織ったり、
ジーンズとTシャツの上からかぶって、
ほどよく暖かみを足してくれる、
コットンやリネンの長袖があると重宝だな‥‥と。
そんな思いから、
今回のプルオーバーとシュラッグを作りました。
- ──
- アランを夏に着られることは、
とてもよろこばれるのではないかと思います。
アラン模様のプルオーバーは、
どのようなイメージで作られたのでしょうか?
そこから「ongaku」という名前に
つながったエピソードもお聞きしたいです。
- 三國
- ゆったりした身幅でドロップショルダーの、
着て動きやすいプルオーバーです。
アランの豊かなテクスチャーを楽しみながら、
夏糸で軽いところもうれしい。
模様はとても個性的なケーブル柄で、
編んでいて飽きないです。
丸が連なっている模様は
「バンジョー・ケーブル」という
名前がついています。
もう一つの大きなケーブルは、
楽譜の記号のようでもあるし、
ミクニッツチームからは
「竪琴(たてごと)みたいですね」
とも言われていました。
ongakuというネーミングは、
Miknitsチームのシブヤさんによるものです。
彼女は本の虫で、いつもイマジネーション豊かに
名付けの提案をしてくれます。
- ──
- 前後の丈感がことなり、
着てみるとシルエットの可愛さが際立ちます。
デザインについて、
三國さん的ポイントをお聞かせください。
- 三國
- 裾にスリットを入れると、
立ち居振る舞いに優しい「揺れ」が生まれますよね。
このディテイルで、アランのプルオーバーという
ボーイッシュなアイテムにも
程よい女性らしさが
感じられる仕上がりになったと思います。
後ろの方が長いのは、うーん、
たとえば「お尻を隠したいから」とか、
そういうことではないです。
前を長くしても良かったんだけど、
今回はたまたま後ろが長いです。
- ──
- イメージされた着こなしやシーンを教えてください。
- 三國
- たとえば長靴とジーンズを合わせて
「磯遊び」をしているシーン、でしょうか。
わたしは子供の頃、春先になると、
よく家族で岩畳のある海岸に出かけていました。
春先の海ってきれいなんです。
人もほとんどいなくて、透き通った潮溜まりには
イソギンチャクや小魚が群れていて。
そんな海で遊ぶ時、このセーターを腕まくりして
着ていたら、素敵なんじゃないかなと思います。
- ──
- まさに編む醍醐味は模様部分かと思いますが、
編む際のポイント、楽しいところは?
- 三國
- 形自体はストンとしているので、
編み目の増減にさほど気をとられることなく、
ケーブル模様に集中できると思います。
数種類の柄が同時に現れてくるのが、
すごーく楽しいですよ。
襟は編んだ後、
ダブルにして襟ぐりにまつりつけるのですが、
手加減をきつくすると
頭が通らなくなることもあるので、
どうか、気をつけて!
- ──
- 羽織り部分の波模様が美しいアイテム。
デザインされてみて難しかったところ、
可愛く仕上がったところなど、
デザインや模様のポイントについて教えてください。
また、「acacia」という名前についてもお聞きしたいです。
- 三國
- 波のような編み地は、
英語で「chevron」と呼ばれるタイプのもので、
編み目の増減を繰り返すことで
ジグザグのラインになります。
そして、その繰り返しの数を変えていくことで、
ウェア全体の形も作っていきます。
単純な法則ではあるのですが、
編んでいて心が静かに盛り上がるような、
不思議なグルーヴを体感できる編み地だと思います。
(こう書いていて、自分でもなんのこっちゃ、と思うんですが、
でも編んでもらえばわかるはずです)
acaciaという名前は、
チームの山川さんが提案してくれました。
アカシアの葉っぱって、細く切れ込みが入っていて、
かぎ針の長編みっぽいんですよ。
その葉っぱが豊かに茂った様子が、
このウエアのイメージにぴったり、採用!となりました。
山川さんはグラフィック・デザイナーなんですが、
さすが目の付け所が鋭いと思います。
- ──
- 昨年のrukosoもかぎ針作品でしたが、
今回のacaciaは初の全面かぎ針編み作品です。
Miknitsといえば棒針のイメージがあると思うのですが、
近年かぎ針を作品に取り入れられているのは
何か三國さんの中できっかけがあったのでしょうか?
- 三國
- わたしの中でのきっかけというよりは、
素材との相性ですね。
かぎ針編みのウエアは、
「風を通すような透け感のある編み地を作りやすい」、
「綿、麻の細い糸の方が軽くて着やすいものになる
(かぎ針編みは太糸を使うと重くなりやすい)」、
という理由から、
春夏のアイテムに向いていると思うのです。
- ──
- かぎ針編みが初めての人も挑戦しやすいように
デザインされたと伺っています。
編む際のポイントや、かぎ針編みの楽しさについて
ぜひ教えていただきたいです。
- 三國
- かぎ針編みも棒針編みも、
日本では「編みもの」と一括りに呼ばれますが、
英語では「crochet」と「knit」と呼び分けて、
全く違うジャンルのものとして
扱われている印象があります。
わたし自身、実際に手を動かしてみると、
この二つはあまり似ていないと思う。
棒針編みでは、針にかかっている
「数十から数百の編み目に向き合う」
気持ちで取り組むけれど、
かぎ針編みでは、針の先の1目を集中して追っていく。
編んでしまった箇所は放っておいてもほどけてこないし、
持ち運んで、出先でちょこっと編むのにも向いている。
先日「棒針編みよりかぎ針編みをする人の方がずっと多い」
という話を編み図担当の方から聞いて、
うーん、そうかも、と唸りました。
気軽に楽しめるという点において、
かぎ針編みにアドバンテージがあるのはたしかだと、
わたしも思います。
- ──
- シュラッグという形をはじめて見た方に向けて、
三國さんがふだんどのように
シュラッグカーディガンを愛用されているのか
お伺いしたいです。
- 三國
- 薄手のニットやカットソーに合わせて
着ることが多いです。
クロップト丈で、立ち姿がすらっと見えるんですよ。
あとは、そうですね、
いい天気だしワンピース一枚で出かけたい、
でも風が出てくるかな?
…という日に、小さく折りたたんで
バッグに入れていくような使い方もいい。
あまり見かけない形と思われるかもしれませんが、
気軽に取り入れられる羽織ものですし、
着ればこっちのもの、くらいの気持ちで
楽しんでいただけたら、と思います。
- ──
- 今年も糸は、
横田株式会社さんのDARUMAの糸です。
acaciaは細番手で機械編みのセーターに近い、
薄手のニットに仕上がる糸です。
ongakuのコットン糸は
ほどよい太さがありながら編み上がりが重くならない、
使いやすいコットン糸になっています。
(つづきます。)
2023-03-22-WED
[販売時期・販売方法]
2023年 3月29日(水)午前11時より
数量限定販売
[出荷時期]
1~3営業日以内
スタイリング|岡尾美代子
撮影|清水奈緒
ヘアメイク|茅根裕己(Cirque)
モデル|RADHA(身長170cm)
美衣(身長162cm)
なお(身長161cm)
岩崎咲(身長154cm)