パズルのように技法を組み合わせて。
かぎ針編みウェア「喫茶」
すこしレトロな雰囲気で、
羽織るととってもチャーミング。
ボブルがV字にあしらわれた、
かぎ針編みのウェア「喫茶」です。
ニットをデザインするときにはまず、
技法から考えることが多いです。
棒針編みならたとえば、多色の編み込みなのか、
アランなのか、あるいはレース編みか、というようなことです。
棒針編みの技法というのは、わたしにとっては
使い慣れた日本語の文法のようなもので、
そこからニットという物語を展開していくのは
自然なことなのだと思います。
しかし今回は「かぎ針編みで何かウェアを」
というプランが最初にありました。
かぎ針の模様編みにそれほど通じていないわたしは、
「技法から始める」やり方は違うように思いました。
いえ、実はやってみたんです。
模様の本を参考に色々凝ったステッチを使おうとしてみた。
しかしそうすると、編むには編めるのですが、
模様の複雑さにとらわれて、妙に心がちぢこまり、
羽ばたいていかない。
技術というのは、使えれば楽しいものですが、そこにとらわれて
ものが作れないというのは本末転倒かもしれない。
そこで今回は、自分の知っているいくつかの基本的なステッチで、
欲しいウエアを想像してみることにしました。
「喫茶」を手掛け始めた2024年の春に、
わたしは「ウィーン工房」についての本を眺めていました。
「ウィーン工房」は20世紀初頭、
ウィーンで興った実用工芸のデザイン集団で、
(ものすごくざっくりいうと)
新しい「ものの形」、そして「模様」が、
豊かな市民階級を背景に次々と生まれて行った場所です。
幾何学的な線と有機的な形の混ぜ合わせ方、
そして色使いにそのエッセンスがあり、
同工房で作られたテキスタイルにはどこか、
演劇のコスチューム的なキャラクターを感じる。
仕立てた服の形もどこかコミカルでユーモラス。
それらの作品の口絵写真を眺めながら、わたしは思いました。
「なんかこういうの、こういう感じのセーターとか、
あってもいいんじゃない」
こういうのって、でもどういうの?
しばらく思い巡らした後に、ピカ、と灯ったアイディアは、
「アルルカン(道化師)」でした。
アルルカン的なムードを持った、
ゆったりした「はおりもの」にしよう。
コントラストをつけたツー・トーンで、
幾何学模様を部分的に配する。
台形だったり、ハート型の編み地を組み合わせて、
パズルのような構造にする。
‥‥うまくいけば、素敵になるはず。
こうしてウィーン工房からインスパイアされた形と、
シンプルなかぎ針の技法が合わさって、
アルルカン風カーディガンが生まれることになったのです。
名前が「喫茶」になったわけも、お話ししておきますね。
理由はカラーバリエーションのネーミングです。
黒ベースがチェリーコーク、
グレーベースがコーヒーフロート、
エメラルドグリーンベースはメロンソーダという、
少し懐かしい飲み物の名前をもらうことになり、
それらを総称するなら喫茶じゃない、と、
チームの渋谷さんが提案してくれたのでした。
いい名前だと、わたしも思います。
技法のことに少し戻ると、身頃の前後の水玉模様、
長編みのベースに「3Dのドットを編み込む」というのは、
パターンブックで見つけたわけではなく、
「色々試し編みをしているうちにこうなった」ということでした。
かぎ針編み、おもしろいなぁと思い始めています。
(三國万里子)
むくむくの毛並みがかわいらしい、
くまの編みぐるみ「Miknits Bear」
持ち歩いたり、ベッドのそばに置いたり。
ちょっとした生活の癒やしになる編みぐるみシリーズで
“かわいい”のど真ん中のくまが生まれました。
ぴったりなループヤーンの糸を
別注色に仕立ててもらった、
渾身の「Miknits Bear」です。
3年前がうさぎ、2年前はフクロウ、去年はカモノハシ‥‥と
ここ数年、続けている動物の編みぐるみのシリーズですが、
今年は編みぐるみの代表格ともいうべき
「クマ」を作ることになりました。
試作1号はそれなりに大きい「抱きグマ」サイズでした。
でも色々あって、それよりはずいぶん小さい、
大人の手のひらくらいで、手足も一体型の、
どちらかというと簡易な造りの子に決まりました。
技術的に難しいところは、たぶん、ありません。
それでもワタの詰め具合、耳をつける場所、
顔の刺繍で一頭ずつの個性が出てくるものなので、
そこは気を抜かずに作ってください
(というか手の中のクマがそれを求めてきます)。
くるくるした「毛皮」が編める
ループヤーンを提案してくれたのは、
長くお世話になった京都の糸のお店、AVRILさんです。
そのAVRILさんは残念ながらこの春に廃業されて、
横田株式会社さんが、この小さなプロジェクトを
引き継いでくださいました。
糸はあるだけでお終いなので、
気に入ってくださった方のもとに
しっかり旅立ちますように、
と願っています。
(三國万里子)
編みかけのものを
入れるのにピッタリ。
「amibari プロジェクトバッグ」
編みもののお供にもなるバッグとして、
棒針やA4サイズまでの手芸本も
すっぽり入るようにデザインしました。
軽くてどこにでも運びやすく、
山本祐布子さんによる編み針柄が
編みもの気分を盛り上げてくれます。
「以前、夏のワンピースを作ったときの、
編み針柄の生地があって、すごくかわいいので、
せっかくだから何か作りたい」
「それならバッグでしょう。
編みかけのものを入れる、薄手のバッグ」
こんな感じで、とんとんと形になったバッグです。
あまり重い物は入れられません。
しかしそれなりに大きさがあって、
編みかけのあれこれを入れるにはぴったりだし、
何よりかわいいのがいいところ。
(こういうバッグはそれが命と思う)
わたしは普段の外出は布バッグ派で、
コーディネートの差し色としても使うことが多く、
欲張って3色ともいただこうと思っています。
(三國万里子)
3つともに、
9月12日(木)午前11:00発売開始。
今年から新しいパッケージにつつまれた、
玉巻きの毛糸でおとどけ!
また、編み図の保管に便利な
特製のMiknitsクリアファイルも、
ランダムで4種類の中から1つおつけします。
(次回は10月、11月の発売キットを
紹介します。)