三國万里子さんの新刊、 『編みものともだち』が発売になります。
8ヶ月かけて三國さんが編みためた21点を掲載しています。
最初の作品が届いたのが、昨年末。 まだ寒いうちに、その季節にちょうど欲しい マフラーやカーディガンなんかが届きます。 この頃はまだ、時間はたっぷりあり、 本の輪郭はおぼろげです。
そのうち、大作に取りかかったもののしっくりこず、 編んではほどき、糸を変え、と格闘しています‥‥ と言っていたかと思ったら、 かっこいいミトンがぽんと届きます。 大作で煮詰まってもなお、 三國さんは編むことでその凝りをほぐすのですね。
やがて暖かくなって、〆切が近づくと、 今年編みたいものを出し切るぞ、 と一層気合いが入る三國さん。 ここからの作品は、濃い味の大作ばかり。 物語ができそうな編み込みカーディガン、 編み地隆々のアランカーディガン、 気の抜けない透かし模様のショールなど、 私ならこれひとつ編むだけで冬が終わるな、 というものが続々と。 本に掲載するのがはじめての、メンズのセーターも、 この頃にできあがりました。
ようやく本の核が見つかり、 ほっとしたところで生まれるのは、 よい感じに肩の力の抜けた、刺繍のミトンや靴下たち。 ちょっととぼけたものや、 なんてことないけれどすごく使えそうなものは、 こんなときにできあがります。 8月の終わり、撮影の前日のことです。
編み上げてしまえば、気持ちは軽やか。 料理人に似合いそう、 男の子が巻いても素敵ね、などと、 編んでくれた誰かのもとで 活躍するニットたちに思いを馳せます。
こうして、『編みものともだち』はできあがりました。 “男の子が巻いても”と話していたマフラーが、 ひげメガネさんによく似合ったり、 メンズのガンジーセーターを 女の子がだぶっと着てもかわいかったり、 “料理人セーター”を着た女の子が、ナッツを割ったり‥‥
実際に、編んで着る/着せる日常をイメージしながら、 楽しんでいただければ幸いです。
「株式会社リトルバード」・三角紗綾子