Miknits Vintage Pattern Works

ソーイングのおもしろいところは、
自分で”自分のための”とっておきをつくれるところ。
三國万里子さんがみつけた
フランスのヴィンテージワンピースをヒントに、
アールデコドレスのパターンと
イラストレーター山本祐布子さんによる
植物柄のオリジナル生地ができました。
生地の製作は、大阪の宇仁繊維さんと一緒に。

また、三國さんデザインのサマーニットも登場。
植物をモチーフにした、
レース模様が美しいクルーネックのニットは
春から秋まで活躍しそうです。
あたたかい季節に向かって芽吹き、
香り立つようなお洋服について、
つくり手のみなさんにお話をうかがいました。
スナップや、読者から募集した手づくり品もご紹介します。

10 わたしのソーイングの楽しみかた。
<ほぼ日乗組員・平野さゆり>

 
じぶんだけの「とっておき」を作れる、ソーイング。
好きな生地を選んで、好きなシルエットに調整して、
この世にたった一つの、
お洋服をじぶんの手でつくり出すのは
とてもたのしく、豊かな時間です。
ハンドメイドを楽しんでいる人たちの風景をお届けする
エッセイ連載を不定期でスタート。
第二回は、ほぼ日で商品作りに関わる乗組員の平野です。

 
子どもの頃から
布や糸をさわることがとても好きで、
パターンを勉強して洋服を作ったり、
シャツに刺繍をしてみたり、
手織の布を織ったりと、
布にまつわることを少しずつ、
いろいろチャレンジしています。

特に楽しかったのは、
染織家の志村ふくみさんが設立された
「アルスシムラ」
の帯を織るコースに通ったこと。
ここでは、草木を煮出して染めた糸を使い
布を織っていきます。
そのときどきで違う表情にもなりえる
草木染めの糸をつかい、
自由に一本一本、横糸に通す色をえらんで
帯を織り上げていく作業は、
自分のあたまのなかのイメージを
目の前の機でどう表現するか、
決断の時間でもあり、
自分自身のこころの内側を見つめて
大切なことに気づいていく、
とても充実した時間でした。

卒業して以来、
よくよく自分の声に耳を傾けて、
今作りたいものはどういうものか、
何があれば自分は嬉しいのか、
そんなことを考えながら自由に
ものづくりをたのしむようになりました。

 
もともと1920年代の洋服の、
ゆるさとキラキラが共存しているスタイルが大好き。
Miknitsの新作はその時代のワンピースを
現代風にアレンジされたということで、
予告が出たときからすっごく気になっていました。
1920年代の洋服は好きだけど、
なかなか日常着としては取り入れられずにいたので、
モデル写真を見た瞬間から
「これはもう、絶対にほしい!つくりたい!」とおもいました。

ちょうど白いワンピースがほしいなあとおもっていたので、
最近はまっている
インドのカディ(綿の手織り生地)を使うことに。
チェストフラップとスカート部分は、
透け感があってギンガムチェックのようにも見える生地を。
そのほかは梨地のような軽さのある生地を、
とういうようにパーツごとにことなる生地をつかってみました。

 
ミクニッツのパターンは、
SとM、サイズごとに型紙が印刷されていたので、
写し間違えることもなくて、とてもラク。
元のパターンは長袖でしたが、
わたしは袖をまくって着ることが多いので、
七分袖にアレンジしました。
また、生地に透け感があるので、
スカートは長さのちがう2枚重ねに。
そのときどきの気分でかたちをアレンジできるのは
てづくりのよさです。

袖のボタンは、
CO-さんでガラスのヴィンテージボタンをえらびました。
生地をすこし持っていき、「どれにしようかな‥‥」と
いろんなボタンを合わせながら選びました。
ボタンによってまったくイメージが変わるので、
とっても楽しかったです。

 
ウエストの紐の先には、
アトリエシムラさんのワークショップ
で染めた絹糸で小さなタッセルをつくったり、
肩や衿まわりのステッチは、下糸に緑の糸をつかって
手縫いのような表現になるように
ミシンの糸調子をととのえたりしました。

また、襟ぐりには、
こちらもアトリエシムラさんのワークショップで
織った茜色の生地をつけてみました。
じつは、えりの見返しの端が
フニャフニャと波打ってしまい‥‥。
それを隠すためにつけたんですが、
いいポイントになりました。

 
チェストフラップや衿、袖付け、ウエストの紐など、
工程は多いのですが、
ちょっとずつできたパーツを胸にあてたりして
どんな感じになるんだろうと想像してはまた縫って、を
くりかえす作業がとてもたのしかったです。
つくるのがたのしくって、
作業に没頭してご飯を食べ忘れることもあったくらいです。

このワンピースにサンダルと帽子をあわせて、
夏のおしゃれをおもいっきり楽しみたいです。

2021-07-01-THU