Miknits Vintage Pattern Works Miknits Vintage Pattern Works

三國万里子さんがデザインした、
サマーニットとワンピースのお店がオープンします。
あたらしく、サマーニットのキットが2種類登場。
植物をモチーフにしたレース模様のカーディガンと、
花模様が美しい、パッチワーク風のサマーニット。
“編む楽しさ”も、たっぷりつまっています!
サマーニットについて三國さんのお話や、
手づくりとおしゃれの話を聞くスナップをお届け。
あたたかい季節の訪れがうれしくなる
お洋服たちをつくりませんか。

02 Snap01 100年後を想像するものづくり。 井上加奈子さん

イラストや刺繍、コラージュなどさまざまな表現方法で、
身近なものに“とっておきな物語”を創造する
デザイナーの井上加奈子さん。
井上さんが手がける
アパレルブランド「Canako Inoue」はテキスタイルが主役。
そこから服や小物が生まれていきます。

今年4月からは、一軒家を改装した
アトリエ兼ご自宅を拠点に活動されるのだといいます。
「まだ工事中ですけれど、完成がたのしみなんです」
そう話しながら、とてもおだやかな笑顔を見せてくれました。
ニットを手で愛でる様子もとてもよく似合う、
やわらかな物腰とたたずまい。

8年目となる制作活動や、好きなもののこと、
そして特別な「編みもの」への想いもうかがいました。
大きな窓からたくさんの陽が差し込みます。
ここは井上さんが日々ものづくりに勤しむ、現・アトリエ。
かつて小学校だった建物を活かした、
クリエイターのための施設「台東デザイナーズビレッジ」の
ひと部屋です。

「荷物がいっぱい出ていてすみません」
と井上さん。もうすぐお引っ越しが迫っているそう。

ここ「台東デザイナーズビレッジ」で
アトリエとして部屋を借りられるのは、3年間だけ。
花壇に春が来る頃には、この場所を
卒業しなければならないといいます。

部屋を見渡しながら、「あっという間でした……」
とこぼす声は、どこか名残り惜しそう。

けれど、あたらしいアトリエやあたらしい暮らしも
もちろんとても楽しみにされているようです。

井上さんのインスタグラムより

「生活と制作を同じ場所にして、
すぐに取りかかることができた方が
わたしには合っているかもしれない、と思って
アトリエ兼住まいの形を選ぶことにしました。

だけど、今のこの場所も
本当にたくさんの出会いや思い出があって、
ちょっとさみしいですね。
この窓の目の前が公園なんですけど、
そこを友だちと散歩しながら、
たくさんの植物を眺めたりしました。
ザクロだとかめずらしいものもあって、いろいろ見つけては
“こんなにしげしげと見ることなかったなあ”
なんて感動したりして。
それを図案にして、絵を重ねて、テキスタイルも作りました。
すごくいい場所でしたね。」

井上さんがモチーフにするのは、
植物や鳥など、身近にある自然たちです。

どこかほっとするような風合いは、自然のものに触れ、
「これを生地にしたら、おもしろいかもなあ」
とめぐらせる、井上さんの素朴で素直な気持ちが
作品に表れているからかもしれません。

今回、井上さんにコーディネートしてもらったのも
そんな“自然”のおもしろさを感じさせてくれるような2着のニットです。

jasmine/ペールピンク

「寒色が好みなのか、日ごろピンクを着ることはなかったので、
最初は重ねる色にちょっと迷ってしまいました。
インナーに黒色を選んだのは、
カーディガンの葉っぱや蔦(つた)のような透かしの柄が
いちばんきれいに出るから。
もう少し堅めの着心地かと思いましたが、
着心地のやわらかさにはおどろきました。

ニットと同じように草花が刺繍されたテキスタイルのパンツは、
自作のものです。
モチーフに通ずるところがあったからか、
自然と手にとりました。」

胸もとのネックレスも、
今日のコーディネートにぴったりです。

「これまでも、アクセサリーや小物にはときどき
ピンク色を取り入れていました。
このネックレスは数日前に
古着屋さんで“あのニットに合う!”とピンときて、
うれしくなって買ってしまったもの(笑)。
ニットのペールピンクとパンツの白が組み合わせられていて、
バッチリ似合うと思いました。
ニットもアクセサリーも、少しくすんだ色味が絶妙で、
“ピンクもいいな”と思えるようになりました。」

井上さんがお好きなファッションは? 
「古着屋さんが 好きで、普段からよく出かけます。
洋服作りの参考になることもあって、
このブラウスは古着を参考に作りました。
そのタグには「1920年」と書いてありました。

つくりがおもしろいのでお店の人に聞いてみたら、
当時はカーブを縫うのが技術的にまだ難しく、
直線を使って工夫して、曲線を作っていたそう。
それって、すごくおもしろいなと思って。

自分が作ったものも、100年後にまで受け継がれて、
100年後の人が見たときに、
“悪くないな” “おもしろいな”って
思ってもらえたなら、しあわせです。」

rukoso/ネイビー

そして2着目に合わせてもらったのが、
rukosoのネイビーです。

「ネイビーやグリーンはよく身につける色ですが、
これはお花の柄が顔まわりにあるのに
甘すぎなくて新鮮ですね。」

同じくネイビーのフレアスカートは、
「夜に降る雪」をイメージして井上さんが作ったもの。
足もとから胸もとにかけ、冬から明るい春へと
物語のように移り変わる組み合わせに
思わずうっとりとしてしまいます。

そして、井上さんはとってもお花柄が気になるよう。

「実は去年から、わたしも編みものをはじめたんです。
だけど初心者にはこれがどうなってるのか、
やっぱり見ただけではわかりませんね。
だけどすごく素敵で、自分でも編んでみたいと思いました。

イラストや刺繍、シルクスクリーンと同じで
編みものも覚えはじめると、
“新しいことば” “知らなかった言語” を
またひとつ習得しはじめるような感覚があります。
編みものの言葉がわかるようになれば、
たくさんのものを読み解けたり、
世界が広がりそうです。

編みものは上達したいと思っていて、
いつかブランドにも取り入れられたらうれしいです。」
わたしの手づくり
井上さん

民芸品が好きで、旅先などで集めているそう。
「ひとつ一つ表情が違うところもいいですね。
手の跡までわかるようなものづくりが
好みなんだと思います」
と井上さん。奥の花瓶は、最近趣味ではじめた
自作の陶芸作品です。

「編みものを始めたきっかけは、去年『ほぼ日曜日』で
開催されていた三國万里子さんの展示を見に行ったことです。
三國さんの本を読んでいると、すごく楽しくて。
ちょうどその頃、たまたま実家に帰ると、
母が30年ほど前に編んだセーターを処分しようとしていました。
袖に腕を通してみたら、意外とやわらかでやさしくて。
既製品にはないあたたかさがあるなあ、と思いました。
それに母にもできるなら、
わたしにもできるのかなと思ったんです(笑)。」
それが今では、
楽しくて仕方ない趣味になったのだそうです。

井上さんの作品が見られます。

井上さんの作品を、直接近くで見ていただける
展示が都内で開催されます。
5月3日(火)から5日(木)まで、
表参道SPIRALで開催される
アートフェスティバル「SICF23 MARKET」では
ほかの若手作家の作品と一緒に見ていただけます。
5月11日(水)から15日(日)まで、
調布の柴崎駅にある「手紙舎2nd Story」では
新作の展示と受注会が行われるそうです。
お近くの際はぜひ立ち寄ってみてくださいね。

(つづきます。)

2022-03-24-THU
[販売時期・販売方法]
2022年 3月30日(水)午前11時より
数量限定販売


[出荷時期]
1~3営業日以内