強力にあったかくて、着ていてすごくラク。

もともとは、デパートに帽子を買いに行ったんです。
気仙沼は寒いし、雪も雨もふるし、
船に乗ったりもするだろうし、必要だと思ってね。

そこは防寒具の売り場だったんだけど、
当然ダウンも売ってるわけ。
見てるうちに、信用できるあったかいのを、
ひとつ新調しようかなあっていう気になって、
「どれがいちばんすごいの?」って
お店のひとに訊いたら、これが出てきたんです。

▲糸井所有の水沢ダウンには、裏地に石川直樹さんの写真がプリントされています。

まず東京で着てみたら、もう強力にあったかい。
おまけに着ていて、すごくラク。
かるいだけじゃなくて、動きやすいんです。

ほら、全体にいっぱいダウンが入った感じのやつは、
雪だるまっぽくなっちゃうじゃない?
これはスリムなんですよ。
だから、街着として使い勝手がいい。

こりゃいいと思って気仙沼に持っていって着てみたら、
いままでの「これを着ていればだいじょうぶ」っていう
レベルの、さらに一段上だった。
ずっと「オレ、ぜんぜん寒くないよ」って言ってたんで、
みんなにうらやましがられたんですよ。

防水バリバリだから、雪も雨も平気だしね。
うん、水が入ってこないのは、ありがたかったなあ。
急にみぞれになったときとか、
染みちゃったらおしまいだもんね。
そういうことがあるから、
ダウンは着ないっていうひともいるくらいだから。

それからさ、ごはん食べるときとかに、
脱いでそばに置くじゃない?
そのときの量感がすくないわけよ。
リュックとかに、実は入っちゃう。
いいかい、ちょっとやってみるよ。

がさがさがさがさ。
(水沢ダウンをちいさくたたんでいる)

ほら、ここまでちいさくなるんだよ。
おどろくでしょう?

気仙沼に行くときはよく、
水沢ダウンでパソコンをつつんで荷物に入れて、
現地で着るっていうふうに使ってます。

「最強で真ん中の値段」のダウン。

考えてみたら、オレは防寒については歴史が長くて、
ほら、釣りをするじゃない?
何が実用的で、何がそうじゃないか、
どれがあったかくて、どれがあったかくないかについて、
すごく真剣にチェックしてきたんですよ。

真冬の釣りのときに何を着るかって、大問題なわけ。
それこそ雪もあるしね。
ちなみにいままでの「いちばんあったかいもの」は、
国産の、ダウンじゃない、フードつきのツナギ。
真冬、ボートで走ってるときでもへっちゃらで、
これ持ってるかどうかで、冬の釣りは、すごく差がつく。

「どっちがあったかいかコンテスト」をやったら、
国産はダメだとみんな思ってるかもしれないけど、
そんなことないっていうことは、
そういう経験を通して、感じてたんです。
ブランド志向になりすぎていなかったんで、
水沢ダウンをえらべたのかも知れないね。

高価な海外ブランドは、近ごろ、
おしゃれ着になっていってる気がするんです。
もちろん、別にそれはそれでいいんだけど、
ふだん着としては、着にくいよね。汚れちゃったりするし。

その一方で、もっとずっと安価なのもあって、
ダウンには、機能にも価格にも幅があるけれど、
これは「最強で真ん中の値段」のダウンなんじゃないかな。

ぼくは、どんどん着る機会がふえていってて、
あたらしいの出ないかなくらいに思ってた。
たまたま、こういうことになって、
ひとにすすめられるのが、うれしいですね。

みんな(ほぼ日乗組員)もまだ、着てないんでしょう?
着たら、わかりますよ。

この「ほぼ日」バージョンは、
三國さんに手伝ってもらったおかげで、人間味が出たよね。
え? この裏地を見ると、
女性が「かわいい!」って寄ってくるの?
そっか、なるほど。

海外のブランドに負けてない、
「Made in JAPAN」のすごみが伝わってくるし、
震災のあった東北発のものだし、
なんか、いまうれしい感じが全部入ってるんで、
ぼくとしては、このよさを
ぜひわかってほしいっていう気持ちがあります。

(2012.11.12 「ほぼ日」社長室にて収録)