上の写真は、2010年のバンクーバーオリンピックで、
日本代表選手団が着用した公式ウエアのレプリカです。
このスペシャルアイテムによって、
水沢ダウンは一躍、世に知られるようになりました。
開発したのは、株式会社デサント。
ダウンを詰める工程と防水加工、両方の設備をもつ、
デサントアパレル水沢工場でだけつくることができるため、
この呼び名がつきました。
ここでは、最強ともいえるその実力のほどを、
具体的に見ていきましょう。
ダウンジャケットには、水によわいという弱点があります。
雨や雪などの際、ステッチのミシン目から水が侵入し、
羽毛が濡れることで、保温力が損なわれてしまうのです。
水沢ダウンは、3つの防水加工で、水の浸入をふせぎます。
ダウン特有のキルトステッチがなく、
生地を「熱接着」しているので、
針穴から水が入ることがありません。
そのため、ステッチ部分から
ダウンが抜け落ちることもありません。
前立てや脇ポケットには、
「止水ファスナー」と呼ばれる
特殊なファスナーを用いて、
水が入ってこないようにしています。
どうしても縫製が必要な部分は、
「シームテープ」という
防水機能のあるテープでふさぎ、
しっかりと防水しています。
すぐれた防水機能をもつ水沢ダウンは、
気密性が高いため、保温力も抜群です。
場合によって暑く感じるときのために、
温度調節のための機構がついてるほどです。
前立てのファスナーは、とめる位置を変えられます。
メッシュ地をおもてに出すと通気性が高まり、
温度調節することができます。
脇下のファスナーの開け閉めでも、温度調節可能です。
たとえば自転車に乗るときなど、
前立てと脇下、両方のファスナーを開けておくと、
空気が前立てから入って脇下から抜けていくのが、
実感できます。
保温性が高いため、ダウン量がすくなくても、
じゅうぶんなあたたかさを確保できます。
そのため、本格的なダウンジャケットにも関わらず、
水沢ダウンはたいへんかるく、コンパクトで、
動きやすいという特長があります。
一般的なダウンジャケットのイメージにくらべて、
シルエットも、とてもスマートです。
裏地の脇あたりに、なぜかファスナーがあります。
開けるとメッシュ地で、ものを入れたりはできません。
実はこのポケットは、クリーニングのとき、
水や洗剤をボディ全体に行き渡らせるためのもの。
あまりにも防水機能がすぐれているため、
こういうものが必要になったそうなのですが、
ある意味、水沢ダウンのすごさをもっともよく表している、
ディテールと言えるかもしれません。