まずはこちらの写真をご覧ください。 エクアドルの女性が「パナマ」を編んでいる様子です。 刈り取った「パナマ草」を細かく裂き、茹で上げて、
この麦わら帽子が完成するまでの工程を、 何度かの打ち合わせを重ねたある日、 コンセプトはすでに決まっていましたが、 のちに、「AーⅡ」の方向でいくことが決まりました。 ベースとなる「パナマ」を確保しながら、
「クラウン」部分の「型」をつくります。 「木型」はMサイズ用とLサイズ用、ふたつを作成。
明るい表現のヒントになったのは、チロリアンテープ。
リボンメーカーに、このチロリアンテープの手法で スソさんが描いた最初のデザイン仕様書がこちらです。
試作を重ねて、リボンは完成。 5色の糸で刺繍をしていくため、
この帽子のシンボル、ゴールドのボタンも イラストで描いたデザインをボタンメーカーに渡し、
この作業を、何度も何度も繰り返しました。
かわいいひもを探しにスソさんと、 スソさんは、
基本色のオレンジと、ブラウンを採用。 これを三つ編みにする工程と、 ようやくすべてのパーツがそろいました。 パナマの帽体、 そしてオリジナルのパーツたちはすべて、 「株式会社 西海」さんに集められます。 こちらは、台東区にある帽子製造の会社。 二代目の代表・西海敏郎さんが、 ここからの工程は、
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ほぼ日 | ‥‥できていますね。 |
西海さん | ええ。いま半分くらいでしょうか。 |
ほぼ日 | ああ‥‥感慨深いです、ほんとうに。 |
西海さん | ぜんぶがオリジナルな帽子で、 工程数も多いですからね。 ここまでたいへんだったでしょう。 |
ほぼ日 | いや、たいへんだったのはスソさんで‥‥。 西海さんのところでもこうして きれいに仕上げていただいて、 ほんとうに感謝しています。 |
西海さん | いや、こちらこそ。 |
ほぼ日 | 西海さんのところでの工程を、 具体的にうかがいたいのですが‥‥。 |
西海さん | ええと‥‥順番としては、 ちょっと待ってくださいね、 いま、工程順に帽子を並べてみますので。 (並べる)‥‥こんな具合でしょうか。 |
ほぼ日 | おおー、 左から右に向かってどんどん麦わら帽子に‥‥。 ステップごとに、ご説明いただけますでしょうか。 |
西海さん | まず、これが元の素材ですね。 パナマ。 まだ糊が入っていない状態なので、柔らかいです。 |
ほぼ日 | 糊? 糊を入れるんですか。 |
西海さん | そう。 樹脂糊をラッカーシンナーで薄めて全体に散布して、 一度プレスします。 木型に入れて、まずは帽子を平らな状態にする。 |
ほぼ日 | 糊が入ってパリっとしています。 シャツにアイロンをあてたように。 |
西海さん | そうしたら、スソさんの木型に入れて、 クラウンの形をつくります。 ちょうどいま、乾かしているところなので 木型をはずしてお見せできないのですが‥‥。 |
ほぼ日 | そちらに並んでいるような木型が入っている。 |
西海さん | そうです。 作業としては、簡単に言いますと、 これにアイロンや蒸しタオルで蒸気をあてながら、 木型の形になじませていきます。 |
ほぼ日 | ひとつずつ、ですよね。 |
西海さん | そうです。 乾燥したら、つばの部分も形を整えます。 これがそうですね。 |
ほぼ日 | はあー。 ひとつずつ、これを‥‥。 木型は、たくさんないんですよね? |
西海さん | MサイズとLサイズ、ひとつずつしかありません。 なので、乾かしているあいだに他の作業をして‥‥。 全体に、作業を並行してつくりあげています。 |
ほぼ日 | はああーー。 |
西海さん | で、 つばの余分なところを切り落としたら、 帽子の成形は終了。 |
ほぼ日 | これにパーツをつけていくわけですね。 |
西海さん | その作業は、いまもそこで。 |
ほぼ日 | ‥‥マチ針で、等間隔に‥‥。 |
西海さん | 帽子のフチに飾りのひもを入れていく間隔です。 |
ほぼ日 | この帽子の、チャームポイントのひとつですよね。 そうか‥‥当然ながら手作業で‥‥。 |
西海さん | ええ。 この工程がいちばん時間がかかるところですね。 |
西海さん | あとは、リボンをつけ‥‥ |
西海さん | ボタンもつけて‥‥ |
西海さん | 帽子の内側に 「スベリ」と呼ばれるテープをつけます。 これも今回のためにつくったオリジナルなんですよ。 |
西海さん | この「スベリ」で、 サイズをすこし小さくすることができます。 |
西海さん | スソさんのロゴマークも、内側のテープに。 |
西海さん | 最後に、あごひもをつけて‥‥ |
西海さん | 完成です。 |
ほぼ日 | これだけの工程を経て‥‥。 1日に、いくつくらい仕上がるのでしょうか? |
西海さん | そうですね‥‥ 4人くらいで作業してるんですが、 いちにちに、だいたい15から20ばかりでしょうか。 |
ほぼ日 | なるほど、そうですか‥‥。 やはり、これはもう作品ですよね。 スソさんが信頼している 職人さんの手を借りながらつくった作品。 |
西海さん | オリジナルのテープ、 オリジナルのボタン、オリジナルの木型。 すべてオリジナルですからね。 |
ほぼ日 | それは、あまりないことなのでしょうか。 |
西海さん | ないですね。 ふつうは、しないことだと思います。 |
ほぼ日 | 西海さんは、いつごろスソさんとお知り合いに? |
西海さん | うーん‥‥たぶん20年以上は経つんじゃないかと。 |
ほぼ日 | とても個性的な帽子をつくる方ですから、 いろいろと不思議なご依頼を? |
西海さん | まぁ、そうですね(笑)。 |
ほぼ日 | むずかしい注文とか? |
西海さん | むずかしいというか‥‥ デザインに関して、彼女は厳しいですね。 「ここを、もうちょっと」 っていうのは、もう何度も。 |
ほぼ日 | ニコニコしながら、ですよね(笑)。 |
西海さん | そうそう(笑)。 |
ほぼ日 | 西海さん、 今回はほんとうにありがとうございました。 この帽子をお届けできることがたのしみです。 |
西海さん | こちらこそ、ありがとうございました。 貴重な帽子なので、 そうですね、 ぜひ手にしていただきたいと思います。 |
西海さん、ありがとうございました! 以上、メイキング・オブ・『太陽とライオン』でした。 |
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