「ねむくま」編集部では、
寝る前や、起きてからの過ごし方も含め、
眠りとその周りを
たのしくしようと考えてきました。
今回のテーマは「お茶」です。
快適な眠りをもたらしてくれる‥‥
お茶にはそんなイメージがありますよね。
でもイメージだけで、
くわしいことはほとんど知りません。
ねむりをサポートしてくれるお茶があるなら、
ぜひ日常に取り入れたい。
おやすみ前と、めざめた後には
どんなお茶を飲んだらいいのだろう?
というご相談を、
紅茶専門店「ウーフ」の
大西泰宏さんにもちかけていました。
その大西さんから、
「お望みのお茶ができました」
という連絡が!
早速、お店に行ってきました。
大西
眠りと目覚めによいお茶をということで、
茶葉やアロマの特性を考えて、
味や香りのよいブレンドをつくってみました。
──
もう、名前は決めているんです。
「くまのおやすみティー」と
「くまのおめざめティー」。
それぞれにどんなお茶なのか、
お話を聞かせてください。
大西
わかりました。
茶葉、香付けに使用する精油を見つつ、
試飲もしながらお話ししましょう。
──
試飲!
わくわくです!
大西
(笑)まずは、
夜、眠る前のひとときに、
飲んでいいただきたいお茶です。
──
「くまのおやすみティー」ですね。
大西
夜にカフェインをとると
眠れなくなってしまうので、
カフェインを含まない
ハーブティーのなかから
芳香が豊かな
ルイボスティーをベースにしました。
──
ルイボスティー。
大西
ルイボスという
マメ科のアスパラに似た植物が、
南アフリカ共和国の
セダルバーグ山脈で自生しています。
その葉を乾燥させて、
お茶にしたのがルイボスティーです。
抗酸化作用のある
ポリフェノールが豊富で、
アンチエイジングに
効果があると言われています。
気持ちを落ち着かせてくれるので、
おやすみ前にすごくいいお茶ですね。
──
カフェインを含まないんですね。
大西
お茶というと、
緑茶や紅茶と同じようなものだと
イメージされがちですけれども、
茶外茶(ちゃがいちゃ)
というジャンルがあるんですよ。
──
茶外茶。
大西
茶葉ではない植物を、
茶として飲用することです。
茶はツバキ科の常緑樹
「チャノキ」の木の葉を使うから、
「チャ」と言われます。
──
たしか、お茶の原料になる植物は
「チャノキ」しかないんですよね。
大西
そうです。
チャノキには多くの品種があります。
カメリア・シネンシスという
品種がダージリンになり、
カメリア・アッサミカという
大きな葉の品種から
アッサムティーのほか、
ほとんどの紅茶ができます。
茶外茶としては、
ドクダミ茶やレモングラスなどの
ハーブティーが有名ですよね。
大西
「くまのおやすみティー」は
ルイボスティーに
天然の精油を加えた茶外茶です。
精油というのは植物から取り出す
芳香がある揮発性の油で、
つまり、アロマオイルのことです。
では、試飲してください。
──
あ、いい香り‥‥。
‥‥おいしい。
大西
今夜はこれでもう、
ぐっすりなはずですよ(笑)。
うちの精油(アロマオイル)は、
食用として認められたものだけを
使っているので、
安心して飲んでいただけます。
──
‥‥安心できる精油。
リラックスには大切ですね。
大西
精油の種類は、
眠る前に飲むことをイメージして、
癒し効果のある、
柑橘系のベルガモットを選びました。
リフレッシュしつつ、
リラックスできる芳香です。
穏やかな気持ちになれると思います。
もうひとつ、
眠りということでイメージして、
香料会社さんに
根気よく探してもらったのが、
ヒノキ(桧)の精油です。
──
ヒノキ。お風呂の。
大西
そう。
食用に適するヒノキの精油です。
お茶でヒノキの芳香を楽しむ
イメージがないと思いますけど、
ベルガモットとヒノキって
実は相性がすっごいよくって。
──
‥‥ああー。
ほんのりヒノキの香りがしますね。
私がよく飲んでいる
ルイボスティーとは、
味も香りもちがいます。
おいしいわぁ‥‥。
大西
気に入っていただけてうれしいです。
──
はい、これはもう、
好きになりました。
大西
「くまのおやすみティー」は
水出しもたのしめます。
──
夏によさそうです。
それにしても(飲みながら)、
いままで飲んでたルイボスティーは、
なんだったんだろ(笑)。
ほんとうにぜんぜん違います。
これがルイボスティーなんですね‥‥。
大西
ベルガモットとヒノキの芳香を
アレンジしていることも
印象を変えている理由だと思います。
お茶を抽出している段階から
香りがフワッと立って、
リラックスがはじまって、
眠りの導入にいいんです。
──
‥‥試飲だけで、
眠くなってきたような(笑)。
──
起きてから飲む、
「くまのおめざめティー」は
どうでしょう?
大西
朝に飲んでいただきたいのは、
しっかり目覚めるための紅茶です。
メインの茶葉は、アッサムティー。
カフェインとカテキンが適度に含まれていて、
めざめをサポートしてくれます。
使っているアッサムティーの茶葉は、
同じ茶園の同じ年のもので、
CTCと呼ばれるタイプです。
CTCは、Crush(潰す)、Tear(引き裂く)、
Curl(丸める)の略で、
茶葉を細かくしたもの。
これを、コロコロした形状にしてあります。
抽出のときに、
早く濃く強く出ることが特長で、
ティーバッグに使われることが多いです。
──
茶葉が小粒でコロコロしてますね。
大西
「くまのおめざめティー」は
そのアッサムティーに、
シナモンとバニラの香りを
ブレンドしています。
──
バニラの甘みとシナモンの香り。
「くまのおやすみティー」とは
別ジャンルの香りですね。
朝からちいさな幸せを感じそうです。
大西
シナモンは、セイロンシナモンという
スリランカ産由来の精油を使っています。
ツーンとする成分がなくて、
甘みが強いシナモン。
シナモンは沈んだ気持ちを
引き上げる効果があるとされています。
ただし、妊婦さんは
摂取に注意が必要とされていますね。
──
私シナモン好きなんです。
無意識に気分を上げようと
してたんですかね(笑)。
大西
そうかもしれませんね(笑)。
どうですか?
身体があたたかくなったように
感じませんか?
シナモンは身体の末端の冷えを
おさえると言われています。
──
はい。
元気になるし、あったまります。
大西
そして、「くまのおめざめティー」は
すこし冷めると、
バニラの甘味が出てくるんですよ。
ちゃんとジャンピングさせて抽出すると、
冷めてきてからも味がよくなっていきます。
※ジャンピング:
お湯に含まれる空気の力を借りて、
ポットのお湯の中の茶葉が熱対流で上下運動すること。
──
ジャンピングは、
冷めてからの段階にも
影響するんですね。
大西
そうなんですよ。
良い紅茶でも入れかたが雑だと、
最後はえぐみや苦味が出てきてしまいます。
紅茶が冷めてきたときに、
えぐみや雑味がなければ、
それは良い茶葉で、
入れかたもよかったということです。
──
ああ、ほんとだ、
だんだんバニラの香りがしてきました。
朝起きてこれを飲んだら、
スッキリ目が覚めそうです。
大西
「くまのおめざめティー」は
ミルクティーにするのもおすすめです。
今回のミルクティーに使ったのは、
オーツミルクといって、
オーツ麦から作られた植物性のミルクです。
自然な甘みがあって、
牛乳で作るミルクティーよりスッキリします。
そこに、アガベシロップを少々入れて、
味をまとめてみました。
──
めっちゃくちゃおいしいー。
オーツミルクは、
「ウーフ」さんのお店でも、
販売しているんですね。
大西
ぜひお試しください。
夏はアイスミルクティーにするのも
おすすめですよ。
大西
「くまのおやすみティー」も
「くまのおめざめティー」も
お茶の入れ方のコツは同じです。
紅茶の世界では、
空気をたくさん含んだままの
沸かしたてのお湯を
フレッシュボイルドウォーターと呼びます。
くみたての空気がたくさん含まれたお水を
強火で勢いよく沸かすと、
急激にワッて沸騰する瞬間があるんです。
その熱湯をすぐに茶葉に注ぐと、
ほぼ成功します。
──
お湯は沸きたてがいいんですか?
大西
沸きすぎると水に含まれる空気が
減ってしまうので、
お湯を注いだあとの
ジャンピングという手順のときに、
茶葉が浮かなくなってしまうんですよ。
沸騰した直後に注ぐことで、
空気を含んだお湯によって
茶葉がジャンピングして、
最後に浮きます。
──
へえーーー。
大西
実際にやってみますね。
沸騰したてのお湯を
勢いよく注ぎます。
ポットのなかで
発生した対流に乗って、
茶葉が上がったり
下がったりしてますよね。
これがジャンピングです。
──
おおーーー、
茶葉が上下に循環してる!
大西
最後は茶葉に気泡がついて浮きあがる。
この状態で完成です。
大西
「くまのおやすみティー」
「くまのおめざめティー」は
抽出がかんたんなティーバッグにしました。
茶葉はティーバッグに適した
細かいものを選んでいます。
ティーバッグの中で茶葉をジャンピング
させてみてください。
──
店内に飾ってあるマグカップ、
白磁ですか?
すっきりしたデザインで素敵ですね。
大西
ええ、白磁です。
ローゼンタールという
1879年創業の
ドイツの磁器メーカーのものです。
1961年に立ち上げられた
スタジオラインというシリーズのなかで、
ジャスパー・モリソンという
デザイナーが手がけた
ムーンホワイトというマグですね。
20年以上のロングセラーです。
ちなみに私が創業してから、
2022年4月21日で20年になりました。
──
どちらも長く愛されてますね(笑)。
マグはムーンホワイトっていうんですね。
シュッとして、引き算された美しさ!
大西
シンプルでフォルムがいいでしょ。
ローゼンタールの白磁って
昔から憧れてたんですよ。
素材の土とか質感がよくて、
お茶を飲むときに
気分が上がるじゃないですか。
飲み口が薄いので
飲みやすいです。
──
持ちやすそうだし、実用性もよさそう。
大西
最大290ml入りますから、
ティーバッグ1つで、
200mlくらいお茶を抽出するのに
ちょうどいいと思いますよ。
──
ティーバッグで
お茶を抽出するのが楽しそうですね。
大西
最後に大事なことがひとつあります。
お茶をいれるときは
嫌なことは忘れてください(笑)。
気持ちを穏やかにしようとか、
優しく入れようと思いながらやると
味と香りがよくなりますよ。
眠りのなやみ、
おしえてください。
日ごろ、眠りについて気になっていること、
疑問に思っていること、困っていることはありませんか?
ささいなことでもかまいませんので、ぜひ教えてください。
「ねむくま」編輯部と、顧問の三橋美穂さんが、
いっしょに調べて回答します。
寝グルメじまん、
募集中!
「これをはじめてから調子よく眠れます」
「これを使うと目ざめが快適です」
そんなノウハウやグッズがあったら、ぜひ教えてください。
当マガジンで紹介したり、うまく取り扱いできたら
販売もしたいと思っています。
メーカーなどの企業のかたからの情報も大歓迎!