「海苔には値段の高いのと安いのはあるけれど、
 それぞれの個性なんかない」と、
思っている人もいるかもしれませんが、
そんなことないんですよ。
このごろは、お米でも品種や産地が気にされますが、
海苔も、海という自然が育む植物ですから、
ほんとは、みんなずいぶん個性がちがうんです。
「こないだの海苔、とてもおいしかったら、
 また同じのをください」と言われても、
同じ個性のものを買うことは、かなり難しいんです。

ですから、真剣に仕事をしているお寿司屋さんは、
海苔の仕入れでも、確かな目利きのできる問屋さんと、
いっしょによく話し合って、年間に使う海苔の計画を考えます。
「今年は、これを、確保しといてね」なんて感じです。
いくらお金を持っていても、高い海苔は買えても、
好みの個性の、よい海苔は買えないのですね。

築地には、創業60年になる「林屋海苔店」の三代目、
相沢裕一さんという海苔の目利きがいます。

お客さんの好みをよく知っている相沢さんは、
産地に直接出かける仕入れをしています。
現地のセリに参加して、おなじみの顧客の好みに合わせ、
「あのお客さんは、この味が好みにちがいない」とか、
「あの店で使うのに最高の海苔があった」などと、
いろんなタイプの海苔を買い付けてきます。

その相沢さんの仕入れる「ある個性の海苔」に、
糸井重里は、すっかり魅了されていました。
十年前くらい前、親しいお寿司屋さんに頂戴したのが
きっかけで、「それからはずっとこれ」だそうです。

そして‥‥とうとう今年、築地の相沢さんと、
会って話して会って話して相談して、
今シーズン収穫された最高ランクの海苔を、
「ほぼ日」とのコラボ商品として、
特別に分けていただくことになりました。

海の状態がよかった2007年の冬、有明海で採れた、
店先には並ばないこの海苔。
デメリットだけ先に言っておきますね。
“うっすら曇り”があって“小穴”もある、
そして一般的な価格よりは、かなり高い。
そんなことでしょうか。
でも! 自信はあります。

「海大臣」という名前で、お目見えします。
おたのしみに、お待ちください。

あ、この「海大臣」が、
「おとうさんを喜ばせるシリーズ」の第1弾です。


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