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── 金子さんが、
砂時計を使った作品を作りはじめた
きっかけからうかがえますか。
金子 もう15年も前にさかのぼるのですが、
お世話になっていた方に
ご紹介いただいた、
ギャラリーカフェがありまして、
それで、オーナーが
砂時計のガラス職人さんと
知り合ったのをきっかけに、
砂時計の展覧会をしようという
話になりまして。
── 砂時計の展覧会。
金子 はい。
なんでもオーナーが言うには
ガラスのひょうたん型砂時計が
作れる職人さんは
現在、日本では
2人しかいないそうで。
その職人さんの砂時計を使って、
金属や木工の作家さん、
イラストレーターやデザイナー、
いろんなジャンルの人に
作品を制作してもらい
展示販売しようとなったようです。
当時、仕事のかたわら
イラストを描いたりしていた私も
声をかけていただいて、
それから毎年砂時計展に
参加しています。
── 15年間ずっと砂時計作品を
作られてきたわけなんですね。
初めから材料は粘土だったんですか?
金子 いえ。初めは針金やビーズを使ったり、
金属だったり、さまざまです。
数年前から
自由につくれる粘土がいいなと
思うようになって、使いはじめました。
── モチーフはずっとふくろうですか?
金子 いえいえ。それも、さまざま。
でも、ずっと動物です。
砂時計って動きのあるものでしょう?
動くものと思うと、
動物がしっくりくるんです。
猫やウサギや、犬も。
たくさんの種類を作りました。
── ひっくり返したときの姿がまたいいですね。
金子 ほかにも、ひっくり返すと
動物が横に寝転がるタイプとか
顔の表情が変わるものもあります。
── 毎回いろいろな動物で、形を変えて。
ユーモアたっぷり。
微笑ましい作品ばかりです。
金子 ひっくり返すたびに
思わずニコッとなるもの。
そういう作品を目指してるんです。
── なるほど。
今回はなぜ
ふくろうになったのですか?
金子 ふくろうって
驚くほど首が回りますよね。
こちらを見つめる大きな目や
首をちょっとかしげたりする
仕草もかわいくって。
そういうところが
作品に活かせるかなと思いました。
── ふくろうの大きな目と
ガラスの砂時計も
ぴったりマッチしてますね。
金子 作品を作るにあたって
どちらにひっくり返しても
きちんと使えるように
形を整える作業が
実は一番手間がかかるんですね。
中身の砂時計がちゃんと
動くように作らないといけない。
粘土って乾くと縮むので
縮み具合を見ながら粘土を削ったり、
もう一回粘土を盛ったりして
微調整しながら仕上げていくんです。
── 手でいちから、
慎重に形を作っていく。
根気の要る作業ですね。

石膏粘土を削って盛って、
ふくろうの土台ができたら、
やすりをかけ、絵具の下地を塗ります。
その上に白いアクリル絵の具、
さらに風合いを出すための色を
ところどころにつけ、ニスを塗って完成。
砂時計は、粘土の縮む力を利用して
密着・固定させています。
── ところで、
最近はあまり見なくなった砂時計。
金子さんならではの使い方や
おすすめの使い方はありますか?
金子 私の場合は、
ほぼ飾っているんですけれど。
あの、例えば勧誘みたいな人が来たときに
「ちょっとでいいから」
「じゃあ3分」
って言って、
砂時計をパタンとひっくり返す
なんていうのは?
── ははは。
オフィスで「あと3分仕事しよう」、
パタン、とか。
飾るだけではなく、
ぜひ使ってそれぞれの3分を、
刻んで欲しいですね。


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