Shin;Kuu special report

肌にいい。でも、ミステリアス。知りたい、プラセンタのこと。

シンクーの美容液、スターティングには、
北海道でのびのび育ったサラブレッドの
胎盤から抽出したプラセンタを配合しています。
プラセンタ。化粧品によく使われる成分ですが、
もともと「胎盤」を意味する英語なんです。

2022年のゴールデンウィークに、
シンクーが初めて参加した「生活のたのしみ展」で、
こんなことがありました。
スターティングを手にとってくださったお客様から、
「胎盤って、無理やり剥がすの? かわいそう」
という声をいただいたのです。
胎盤というのは、胎児を包んでいた臓器が、
お産の際に自然に体外に排出されたものです。
しかし、知らない方がいて当然ですし、
化粧品が生まれた背景を、あらためて、
きちんと伝えたいと思った出来事でした。

プラセンタの抽出、それから、
スターティングの製造をお願いしているのが、
北海道にある株式会社シー・ビー・エスという会社です。
今回、その責任技術者である瀬崎卓也さんに、
プラセンタの効果と魅力を教えてもらいました。
プラセンタと出合い、使い続けて30年以上という瀬崎さん。
化粧品への愛と挑戦も、語ってくださいました。
聞き手は、シンクーの鈴木です。

写真:石田真澄

瀬崎卓也さん

瀬崎卓也さんプロフィール >>

北海道に拠点を置く化粧品会社、株式会社CBS(シー・ビー・エス)取締役責任技術者。プラセンタ開発・研究に30年以上関わり、セミナーや教育機関などでの指導も多数手がける。

──
先日、写真家の石田真澄さんと一緒に、
サラブレッドの撮影に行ってきました。
近づいてきてくれて、もう、かわいくて(笑)。
瀬崎
そうなんですよね、
人間と触れ合うことを得意としているというか。
ひとへの興味や好奇心も強いですしね。
──
今日は、シンクーの美容液「スターティング」
に配合しているプラセンタの研究者である、
瀬崎さんでなければうかがえないようなお話を、
ぜひうかがいたいです。
瀬崎
はい、プラセンタの開発は一から手がけていますので。
──
瀬崎さんは、サラブレッドの胎盤から、
プラセンタを抽出していらっしゃいますよね。
瀬崎
はい。北海道の日高地方は、
サラブレッド銀座と呼ばれるぐらい、
牧場がたくさんあるんですが、
あるとき、その地域の方から、
「出産時に出る胎盤が手に入りますよ」
という話をいただいたんですね。
もともと僕は、牛と豚と、人間のプラセンタを
製造していた期間が長くて。
その話をいただいてから、社内で
「馬のプラセンタ、参入する? どうする?」と。
──
ええ。
瀬崎
今、日本でプラセンタを自ら抽出している
会社っていうのは、10社もないんですよ。
──
そんなに少ないんですか。
瀬崎
ところが、プラセンタの化粧品って、
たくさんありますよね。
──
ありますね。
瀬崎
ということは、いろんな化粧品を辿っていくと、
その10社のどれかに当たるんですよ。
──
なるほど。
瀬崎
どうして10社にも満たないかというと、
抽出に必要な設備がそれなりに整っていないと、
製造が難しいっていうこともあります。
だったら、プラセンタに特化するよりは、
原料として販売されているプラセンタを使おう、
となる会社がほとんどなんですよ。
そしてもうひとつ、化粧品自体を、
自社工場で作っている会社っていうのも、
やっぱりこれまた少ないんです。
──
たしかに。私たちも、瀬崎さんの会社に
お願いしていますから。
瀬崎
自社で作っている会社っていうのは、
大手を除けば、0.1%あるかないか。
さっき、プラセンタの原料会社が
10社程度って言いましたけど、
その10社は、それぞれが、
いろんなタイプのプラセンタを販売しているんです。
原料会社が作るわけですから、
プラセンタのタイプも、
各会社が自由に作れますよね。
全部合わせたら、10社の何倍もになるから、
相当数のタイプのプラセンタが
世の中に出回っているわけです。
僕たちは、プラセンタへの参入としては後発ですから、
特殊なものじゃないと、勝負できないだろうと。
──
そうですね。
瀬崎
それでは面白くないですよ。
会社としてやると決めたからには、
ちゃんと投資をして、研究する時間を作ろうと。
そうして、北海道科学大学ですとか、
いろんな方に協力してもらいながら、
新しいプラセンタに挑戦しようと決めたのが、
今から4年ぐらい前です。
──
なるほど。
瀬崎
2年ぐらいかけて、「HPP」
(北海道ペプチドプラセンタ)
っていうのをつくり上げたんです。
ちょっとむずかしい話になってしまいますけどね、
ペプチドというのは、アミノ酸が2個以上
くっついたもののことをいうんです。
で、実際にでき上がったプラセンタの
ペプチドを数えるわけですが、
このペプチドは自分たちで数えられませんから、
研究機関に出して解析してもらうわけです。
そこで、320種類のペプチドが入ってますよ、
というデータが取れまして。
ぴったり320だったもんですから、じゃあ、キリがいいんで、
北海道ペプチドプラセンタ320と名づけたんです。
──
なるほど。プラセンタに、
320の「いいもの」が入っている。
瀬崎
そうです。さらに手塩にかけたプラセンタですから、
特許も取りましょうということになって、
1年ぐらいかかって、やっと特許が取れて。
自分で作るから、自由にできる。
──
どういう特許なんでしょうか。
瀬崎
ふたつあって。まずひとつめは、
このプラセンタを使うと、ミトコンドリアが増えて、
細胞が活性化しますよと。
細胞が活性化すると、傷とか皮膚の損傷は、
早く治りますということになるんです。
──
なるほど。
瀬崎
もうひとつは、コラーゲンが増えますという特許です。
でもね、うちが特許を取ったからといって、
他のプラセンタにそういう効果がないかっていったら、
そんなことはないんですよ。
ただ、大事なことは、プラセンタも化粧品も、
うちは自社で作れるということなんです。
──
そうですよね。
瀬崎
今、さまざまな成分の原液が売ってるでしょう?
すごく高い濃度の原液もあれば、
ちょっと入れただけで、プラセンタの名前を
使っている商品もあります。
──
売り場でもよく目にします。
値段も種類も、さまざまで。
瀬崎
化粧品にどのプラセンタを配合するかを決めるのは、
各化粧品会社の開発者たちです。
彼らがプラセンタを選ぶ条件、分かります?
──
いいえ‥‥よく分からないです。
瀬崎
色と臭いがないことなんです。
化粧品全体に臭いがついてしまっては、
違う香りでマスキングしなくちゃいけなかったりするので。
──
たしかに、独特の匂いがある化粧品は、
手に取りにくいですよね。
瀬崎
そうなってくると、無色、無臭のものが、
開発者に好んで選ばれるようになるわけです。
はっきりいってしまうと、最初っから、
薄いプラセンタを選ぶしかなくなるわけです。
──
なるほど。
瀬崎
僕たちは、プラセンタも化粧品も、
自分たちで作っていますから、
好きなだけ濃くできるし、
自然な色がついていても構わないわけですよ。
それでも、独特の臭いを取るのに1年かかりましたが。
──
そんなに!
瀬崎
脱臭するとなると、必要なのは炭なんです。
全国からいろんな細かさの炭を買って来て、それも、
お塩ぐらい粉々になった炭をね。
それに3日間ぐらい漬けておくんですよ。
──
えー!知りませんでした。
瀬崎
それでだいぶ臭いが取れます。
そこから4回ろ過するんですけど、その目を、
1ミクロン、0.45ミクロン、0.2ミクロン‥‥と、
どんどんどんどん細かくしていくわけです。
0.2ミクロンっていうのは、もう、菌も通しません。
なので、最終的には、100%無菌のプラセンタができます。
ところが、無菌とはいっても、化粧品は
空気に触れた瞬間に汚染がはじまりますから‥‥
──
ですよね。 スターティングは、
中身が戻らないような容器を採用しています。
瀬崎
これは非常にかわいくて、いい容器ですよね。
──
ありがとうございます。
瀬崎
ある会社がこんなアンケートとってました。
「化粧品を使う前に手を洗いますか?」って。
85%の人が「洗わない」って答えたんですよ。
──
お風呂上がりだったりもしますしね。
瀬崎
さすがに、電車のつり革を触った直後に、
化粧品を使うひとはいないでしょうけどね(笑)。
でも、きれいな手で使いましょうっていう、
当たり前のことを、僕たちは言い続けなきゃいけない。
なんで大事かというと、そういうことが、
防腐剤の量にも関係してくるんですよ。
シンクーみたいに、主に通販でしか売らないものは、
防腐剤の量が少なくて済むんです。
──
たしかに、そうですね。
瀬崎
だって、スターティングみたいに、
こんなにちゃんと密閉された容器で、
それをひとつずつ袋に入れてですよ、で、
お客様に直接届けるような売り方っていうのは、
そんなに汚染される心配がないんですよ。
大量の商品が長時間トラックで運ばれることもないですし、
真夏に蛍光灯の下でずーっと並んでいる、
ということもないでしょう? この子たちは。
──
ないですね。
空調が管理された場所で保管されています。
瀬崎
そういうふうに作られてる化粧品は、
防腐剤が少なくて済むんです。
あともうひとつ、化粧品にはロットの問題があります。
僕のところは、小さなロットで商品を作るんです。
1回につき3,000個とかね。この3,000個が売れたら、
次にまた新鮮な3,000個を作るんですよね。
化粧品って、何回転かさせて初めて利益が出るもので。
1回転目からしっかり儲けようなんていうのは、
ちょっと違うんですよね、販売戦略が。
──
たしかに。
瀬崎
スターティングには、
プラセンタを結構な量入れてはいますが、
このプラセンタ自体も弊社が製造したものですから、
流通の経緯がないんですよ。
トレーサビリティっていうのかな、
由来がすごく分かりやすい。
──
そうですね。
瀬崎
それに、スターティングには、
シンクーさんからいただいた、
(ジル・べートゥミュウさんの)精油も入ってますね。
この精油自体に抗菌作用があるのも、いいですよね。
だってハッカ油なんてね、
それだけ塗っておけば虫寄って来ませんし。
──
たしかに。何より、香りも素晴らしいですし。
瀬崎
プラセンタ以外の、
精油のさまざまな効果もあいまって、
安心できるっていうのはあります。
──
香りの良さ、テクスチュアの気持ちよさは、
褒めていただくことも多いです。
そこからさらに突き詰めて、
「で、何にどう効くの?」ってところを、
私たちも端的に表現することがむずかしくて。
プラセンタは、ミステリアス。
瀬崎
なるほど。ではプラセンタについて、
もう少し詳しくお話しましょうか。
まずね、このプラセンタってね、
僕がこの世界に入った30年前には、
すでにあったんですよ。
──
ここ数年のトレンドではなく、
歴史があるんですね。
瀬崎
でも、ほとんど知られてはいなかったです。
僕も社会人になってすぐでしたから、
「プラセンタって何だろう?」って調べて。
そうしたら、「胎盤のエキス」って書いてあって。
──
ええ。
瀬崎
当時はインターネットもないので調べようがない。
辞典みたいなのを引っ張ってきて、
「胎盤ってなんだろう」と思って。いろいろ見たら、
動物の雌の出産時に出てくる、いわば臓器だと。
で、そのとき、ふと母親のことを思ったんですよ。
母はB型なんですけど、僕はA型なんです。
10か月間、あのひとの体の中にいたのに、
なんで俺は血液型が違うんだ。
なんなんだ、これは!?って話になりますよね。
ちょっと神秘的じゃないですか。
──
そうですね。
瀬崎
ちょっと医学的な話をすると、
精子と卵子が出合って受精しますよね。
で、受精卵ができますね。
受精卵っていうのは、目に見えないですよ。
「立派な受精卵ですね」なんて聞いたことない。
──
ないですね(笑)。
瀬崎
ところがですよ、10か月お腹の中にいるだけで、
つまり胎盤の中にいるだけで、約3キロになるわけです。
──
何千億倍、何兆倍にも成長して。
瀬崎
ところが、3キロで産まれてきて、
たったの10倍の30キロになるのには、
10年もかかるんですよ、人間なんて。
胎盤の中ではあんなに勢いよく大きくなってたのに。
それはいかに胎盤の中が栄養価で満たされていて、
体にいいことで満たされてるのかと。
だから、シマウマとか草食動物なんかは、
生まれた瞬間、胎盤を食べますよ。
──
ドキュメンタリーで見たことあります。
瀬崎
最近は産婦人科でもね、
「胎盤どうなさいますか、お母さん?」
って聞くらしいんですよ、最近は。
──
私の知人も食べたそうです。
火を通して、ちょっとだけ。
瀬崎
僕も先生に聞いたら、
「ちょっと食べてみようかしら」
って人がいたそうだから、
本能的に、胎盤の栄養価はすごい高いっていうことが
分かっているのかもしれないですよね。
──
肌に塗る化粧品としては、
具体的にどんな効果があるんでしょうか?
瀬崎
厚生労働省で認められている効能効果は、
保湿、美白、育毛の3つです。
さっき言った、血液型が違うだとか、
何億倍も大きくなったとか、草食動物が食べてるだとか、
そういうことっていうのは、お客さんにとっては、
「だから肌にいいのね」と直結しないのかもしれない。
直結はしないのかもしれないけど、
ドキドキするというか、神秘を感じるというか、
そういうものではありますよね。
お客様に訴求するときって、やっぱり、
そこの影に隠れてるサイドストーリーというかね。
──
まさに、そうですね。心を動かすなにか。
瀬崎
僕がよく言うのはね、
世界で最初にこのプラセンタを顔につけたのは、
クレオパトラだって言われているんですよって。
プラセンタは、発酵食品に似ている。
──
ふと思ったんですけど、
発酵食品に似ていますね。
解明され尽くしてないけど、
昔からあって、安全で、おいしくて、
体にいいっていうことを、皆が知っていて。
瀬崎
そう、プラセンタも、
分解させるという点では、
ある意味、発酵物なんですよ。
──
え、そうなんですか!?
瀬崎
お産で産み落とされた胎盤を、
まず、細かく切るわけです。
──
プラセンタのレシピですね。
瀬崎
で、それを、低温で煮るんですよ。
そこに5種類の酵素を入れて、
酵素分解させてくんですよ。
よく肉料理にパイナップル入れたりするでしょう?
──
ええ、酢豚に入れたり。
瀬崎
そうそう。あれは、パインに含まれる
たんぱく質分解酵素が働くことで、
肉が柔らかくなるんですよ。
ところが、酵素っていうのは
60度以上になると死んでしまいますので。
──
だから低温で煮るんですね。
瀬崎
60度以下で8時間煮ると、全部分解されて、
胎盤の塊ではなくなって、茶色い液体になります。
それを、きれいにろ過して、
臭いを取ってということを繰り返して、
やっと透明な液体になって出てくるんですよ。
酵素で分解すると、動物ホルモンも血液も、
みんな分解されちゃいます。
こうして出来上がったプラセンタは、
非常にクリーンなので、
ビシャビシャ顔に直接つけても平気ですし、
口に入ってなめてもまったく問題ないです。
──
安全性も、しっかり。
瀬崎
うちで作っているプラセンタは、
「動物ホルモンも血液も酵素も一切検出されません」って
データで出ます、ちゃんと。
──
こういうリアルなレシピ、初めて聞きました。
瀬崎
最初にお話した10社というのは、
みんな、独自の酵素でこの分解をやっているわけです。
酵素って無数にあるんですよ。
ある酵素は、脂肪やタンパク質を
アミノ酸まで分解しちゃうけど、
ある酵素はアミノ酸まで分解しないで、
ペプチドまで分解が止まる、とかね。
──
なるほど。
瀬崎
ペプチドまでで分解が止まる酵素選びに、
すごく時間かかったし、
うちのプラセンタのポイントでもあるんです。
──
当然、企業秘密ですね。
瀬崎
作り方だけ教えても、酵素が特定できなきゃ、
絶対に真似できないですよ。
ある会社の社長さんは、
酵素を金庫で保管しているって言ってました(笑)。
何グラム減ったか、逐一記入して、管理して。
──
なるほど。瀬崎さんご自身は、
プラセンタは使ってらっしゃるんですか?
瀬崎
もちろん。30年間使ってます。
ただね、プラセンタ原液ももちろんいいものですが、
やっぱり化粧品って、処方してなんぼなんですよ。
女性の肌に使いやすくて、気持ちがいいのは、断然、
スターティングのような、処方された商品です。
──
そうですよね。他に組み合わせる美容成分、
パッケージ、香り、全部含め五感から気持ちよくなるのが、
スキンケアにとって大切だと思います。
いい化粧品は、自分にしか分からない。
瀬崎
いい化粧品選びのために、もうひとつ重要なことは、
「あなたの肌に使えるか使えないか」なんですよ。
化粧品なんだからって使えて当然でしょう、
って思うかもしれませんけど、
でも、経験ないですか? つけた瞬間に、
肌がカーッと赤くなったりヒリヒリしたり。
──
ええ、あります。
瀬崎
これって、この化粧品はやめてよっていう、
肌からのサインなんですよ。
ところが、その化粧品を別のひとが使ったら、
すごく気持ちいいって思うこともあるわけです。
──
そうですね。
瀬崎
女性が10人いたら、10通りの肌がある。
だから、化粧品を開発するときにはね、
「10人に試して、10人に使えたらいいなぁ」
と願って、開発者は作っているわけですよ。
──
なるほど。
瀬崎
それでも「合わない」っていうひとは必ず現れます。
でも不思議ですよね、肌はサインを出しているのに、
いろんな理由で使い続ける人がいるんです。
「だって買ったばっかりだから」とか、
「モデルの誰々さんが使ってたもん」とかね。
だから、まず重要なことは、
あなたの肌に使い続けられるかどうか。
気持ちよく、信頼して使い続けられる化粧品って、
実際に、効果も違ってくると思うんです。長い目で見ても。
──
ええ、感じます、それは。
瀬崎
感じますよね。だから売る側の方々は、
「本当に安心して、気持ちよく使ってね」
っていう気持ちを大切にして、
言葉を発していってもらいたいです。
──
今回お話をうかがって、そこはもう、
自信をもって伝えられると思います。
時短嫌いが作った、時短スキンケア。
瀬崎
スターティングって、
これひとつでもOKっていう、
オールインワンというか、
時短型の化粧品じゃないですか。
──
はい。
瀬崎
じつは、時短型のものっていうのはね、
実はあんまりいいものはないんです、世の中に。
帯に短し、たすきに長しみたいな商品が
出来ちゃうんですよ。僕らから見ると。
──
そこを、無理なお願いをして(笑)。
瀬崎
でも、その欠点をクリアにするために、
保湿だとか、感触だとか、天然由来みたいな部分を
大切にして作った商品なんです。
「時短なんていいことないよ」
って言ってる研究者が作る時短ものですから、
逆に、すごく説得力があると思います。
──
なるほど、おもしろいです。
時短を否定されるのは、
どういう理由からなんでしょうか。
瀬崎
まず、化粧品って、ひとつひとつ目的があるんです。
化粧水をつけて、その後に美容液をつけて、で、
最後に寝る前にクリームをつけて‥…って。
なのにそれを一緒にしたら、
どっちつかずになるじゃないですか。
それらをあえてひとつにしたっていうのが、
オールインワンなので。であれば、
個々の機能を、しっかり発揮できるような
処方にしたいと考えました。
──
なるほど。
瀬崎
だから、「これだと楽ですよ」って、
そんな単純なものではないんですよ。
この商品だと、ステップを1個1個ちゃんと踏めて、
1本で済むんですよっていう、そういう考え方。
──
なるほど。
瀬崎
それは時間が短いだけの話じゃなくて。
このスターティングをね、たとえば、
ものすごく厚く塗って、その間にドラマを1話見たら、
ちょっと拭き取って、で、最後に伸ばせば、
パックもできるくらいのものなんですよ。
──
その使い方いいですね。
今晩、さっそくやってみます。
瀬崎
突き詰めていって、1本で何役もやろうと思ったら、
そんな使い方だってできなきゃ、おかしいじゃないですか。
──
そうですね。たしかに。
瀬崎
しかもその手を洗うんじゃなくて、
首や肘にも塗って下さいって言いたいんです。
全身に使えますよってことも、
オールインワンの特徴でなきゃいけない。
──
なるほど、そうですね。
瀬崎
ただね、これが洗顔になったり、
クレンジングになることはないんですよ(笑)残念ながら。
万能ネギだって、焼き鳥に使えないでしょ。
──
串に刺さらない(笑)
瀬崎
その流れでいうと、
精油の香りも、万能ではないですよ。
そもそも、精油に使われる植物だって、
人間の化粧品のために存在するわけではないです。
自然に、生えて育ってきただけなんです。
そう考えると、好みっていうのは絶対出てくるんですよ。
でもそういう幅があったほうが、ちょっと面白い。
「香りの好みが合わなかったらごめんなさい」
でいいんじゃないかって。
──
あぁ、そうですね。
瀬崎
ごめんなさい、でも私たちは、
精油はこういう効果があるものを選びました、
と、正直に伝えるべきじゃないかなと思いますね。
──
たしかにそうですね。
私たちはこんな思いで作って、
いいものができたと思うんですけど、いかがですか?
という気持ちは、チームも大切にしています。
「これが絶対にいいの!」と主張するのではなくて。
今日は、研究者の瀬崎さんのお話がうかがえて、
とても勉強になりました。
瀬崎
僕はね、論文を書いてるわけでもないし、
学位があるわけでもないのだけど、
ただ単に化粧品が大好きなんですよ。
こんなものを作りたいというアイディアがあれば、
なんでも相談してくださいね。
──
ぜひ!心強いです。
これからも、よろしくお願いします。
今日はありがとうございました。

(終わります)
2022-08-16-TUE