

東京から飛行機と電車を乗り継いで愛媛県の宇和島へ。
四国へはほぼ初めての旅。
海沿いには沢山の小さな島がある。
パールはこの島々の近くで作られているのだろうか。

駅から近い商店街を歩いてみる。
天井の高い大きなアーケードが長く続いている。
床のタイルもどこか懐かしい雰囲気。


アーケードの柱ごとに飾られている何かのお面。
気になって調べてみると、
この地方に伝わる「牛鬼」という妖怪だった。
宇和島には、
牛鬼の山車が町を練り歩くお祭りがあるみたい。

町のあちこちに現れる牛鬼。


高台にある宇和島城も散策。
石垣や天守閣へ登る石段も大きくて、立派だった。
宇和島は町のつくりがゆったりして大らかな印象。

本州とは違った植生を感じる。
訪れた日は小雨が降ったり止んだりで、
雨粒をたたえた緑がいきいきとしていた。


散策の最初と最後に出会った猫。
潮風のとおる宇和島の町は
ゆったりとした時間が流れている。

アコヤパールの養殖場へ。
霧に覆われた小さな島々の景色が
まるで日本神話の世界にいるよう。


曇り空の下でも濃いエメラルドグリーンの海。
その中にたたずむアコヤ貝。
一度貝を海から出して外側をきれいにし、
また海へ戻す作業を繰り返すのだそう。

大切に育てられたこのアコヤ貝の中で
どんなパールが生まれて来るのだろうか。
真珠のことならなんでも知っているエキスパート、
中村治郎さんの養殖場におじゃましました。
(前回のほぼ日の宇和島訪問でもお世話になりました。)

生まれたばかりの真珠たち。
HOBO SIRI SIRIでは
この自然なままの色をいかした
ジュエリーを作っています。


海の栄養と
人の手で丁寧に育まれた宇和島のアコヤパール。
生まれる瞬間を目にすると
一粒一粒を大切にデザインしたいと改めて感じる。

養殖場の次は、
先ほどのパールを世の中に送り出す
宇和海真珠株式会社さんのお仕事場へ。
HOBO SIRI
SIRIでは長年お世話になっています。

パールの選別や糸を通して
ネックレスなどにする作業も全て同じ建物の中に。
お仕事の邪魔にならないよう見学。

様々な色のパール。
パールは自然のものなので表情もまちまち。

変わった形のパールも見せてもらいました。
こういうユニークな形のものを「バロックパール」と呼びます。
この個性をいかしたジュエリーも作ってみたい。

HOBO SIRI SIRIのネックレスを
いつも綺麗に仕上げていただいている高間さんと記念撮影。

きれいに並べられたパール。
これからネックレスやピアスになり、
身につけるものになっていく。

今回、アコヤパールが生まれるまでの体験を通して、
今まで見ていた無調色のパールが
この宇和島の風景や海の色を映し出しているように見えた。
はるばる海からやってきて、何て愛おしい存在なのだろう。
ずっと大切に使ってもらえるジュエリーにしなければ、
と、帰りすがら、その役目を心に描いてた。
取材・文=岡本菜穂