ほぼ日刊イトイ新聞 - センチメンタルテリトリーの冬じたく

カシミアＴをご愛用くださっている、
おおはた雄一さんインタビューの後編は、
「センチメンタルテリトリーの冬じたく」のために
つくってくださった音楽のお話を中心にお送りします。

そして、悩みに悩んで決めた「BLUEBERRY SAUCE」から
まさかの希望デザイン変更！？
おおはたさんらしい、ナチュラルな魅力にあふれた
やりとりを、おたのしみください。

ほぼ日	差し上げるデザインも決まったところで、ちょっと音楽のお話をさせてください。
おおはた	ええ、もちろん。
ほぼ日	今回の「センチメンタルテリトリーの冬じたく」では「PEACH SOUP」のために、「スウィート・ピーチムーン」という曲をつくってくださいましたが、どういう曲なんでしょう、あらためて。
おおはた	じつは、あの曲の出だしのメロディは、 10年ぐらい前から、ずっとあたまのなかにあったものなんです。
ほぼ日	へぇ！　そうなんですか。
おおはた	ずっとかたちにできずにいたんですけど、「PEACH SOUP」の歌詞を見たらパッと思いついたというか、つながって。
ほぼ日	へえー‥‥知らなかった。なんというか、そんなに貴重なものを。
おおはた	うまくいってよかったです。 BE THE VOICEのおふたり、湯川潮音さん、扇谷一穂さんのコーラスが音の幅をすごく広げてくれましたし。
ほぼ日	『HOMEMADE』のときと今回のちがいって、なにかありました？
おおはた	‥‥今回は、エンジニアさんもいたし、なにより、ちゃんとしたレコーディングスタジオで録った。
ほぼ日	はい（笑）。
おおはた	前回は、BE THE VOICEさんのご自宅にみんなで集まって、「じゃあ、ちょっとやってみる？」　みたいなノリで録ったりしてましたからね。
ほぼ日	ええ。
おおはた	それにくらべると、今回は、参加したアーティストの数も多いですけど、それぞれの役割が、しっかりと、うまくかみ合っていますよね。なんというか、もうちょっと、聴いている人を「つかまえる」ような楽曲ができた気がします。権藤さんの曲とか。
ほぼ日	なるほど。
おおはた	あと、「ほぼ日」の場合って、録音してから、すぐに公開されるじゃないですか。つくってすぐにみんなに聴いてもらえることって、ぼくら、あんまりないですから。
ほぼ日	ああ‥‥そうか、そうか。
おおはた	たいてい、ＣＤをリリースするころには、別のことに興味がいっていたり、単純に忘れてるってパターンが多いんですよ。
ほぼ日	それくらいタイムラグがある、と。
おおはた	だから今回は「つくって出した！」という興奮がありました。その「録って出し」の感じが、つくり手として、すごくおもしろかったです。
ほぼ日	ご自身でおっしゃってましたが、ここへきて、曲づくりの幅が広がってきたと‥‥。
おおはた	ええ、自分でこういうのもなんですが、ぼくなりに成長できてるかな、と思っています。
ほぼ日	よりキャッチーな感じになってますよね。
おおはた	同じことを（高田）漣くんにも言われまして、純粋に、うれしがってますけど（笑）。
ほぼ日	ニューアルバム（『Music from the Magic Shop』）は初のニューヨーク録音ですがそのときの経験って、やっぱり大きいですか？
おおはた	それはもう、大きいですね。今回、はじめてプロデューサーを別の人にお願いしたんです。
ほぼ日	ジェシー・ハリス＆リチャード・ジュリアンの共同プロデュース。豪華ですよね。
おおはた	プロデューサーっていう人が必要なんだなとほんとに、わかりましたね。
ほぼ日	それは、どういう点で？
おおはた	やっぱり、自分では見ることのできない「自分のいいところ」をちゃんと見ててくれるんですよ、彼らは。
ほぼ日	なるほど。
おおはた	ひとつ、わかったのは自分がイヤで「隠したがってるところ」が、たいがい「いちばんいいところ」だった‥‥ってこと。
ほぼ日	へぇ、おもしろいですね。
おおはた	いままでは、うまくやってやろうと、一生懸命「よそいきの顔」しようしていたところを、ジェシーとジュリアンは、「そのままで、いいんだよ」って言ってくれて。ぶつかって言い合いにもなりましたし、きっぱり「NO！」と言われることもあったけど、ほんと、貴重な経験になったと思います。
ほぼ日	評判はどうですか？　ニューアルバムの。
おおはた	おかげさまで、とくに音楽誌には好評をいただいています。
ほぼ日	なんかこう、いままで以上にポップというか、それこそ、聴いている人を「つかまえる」曲が多いなと思いました。
おおはた	前回のセンチメンタルテリトリーの音楽や今回の「PEACH SOUP」を聴いてくれた人に興味を持ってもらえたら、うれしいです。
ほぼ日	今日はどうも、ありがとうございました！それじゃあ、悩みに悩んだすえに決まった「BLUEBERRY SAUCE」をのちほど、お送りいたしますので‥‥（笑）。
おおはた	いや‥‥悩んだのには理由があって‥‥、このあいだ、みうらじゅんさんと対談させていただいたんですけど。
ほぼ日	はぁ。
おおはた	そのときに、「いま、男が水玉を着れるかどうかが　試されている」と言われたんです。
ほぼ日	あはははは。はい（笑）。
おおはた	で、買ったんですよ、水玉のシャツ。
ほぼ日	思い切りましたねぇ！
おおはた	‥‥すっごいドットのちっちゃいやつ。
坂村	遠くから見ると無地に見えるんです。
ほぼ日	ダメじゃないですか（笑）。
おおはた	だから、さっき、すごい悩んでたのは、ひょっとしたら、これも試されてるんじゃ‥‥と。
ほぼ日	ピンクにいけるかどうかを。
おおはた	のちのち尾を引きそうな感じがしますね‥‥今日の決断は。あのとき、なんでピンクを選ばなかったんだと。
ほぼ日	今後を楽しみに見守りたいと思います（笑）。
おおはた	まあ、ほら、来年こそはね、ピンクを‥‥。
ほぼ日	ただ、来年ピンクをつくるかどうかは、わからないですけどね。
おおはた	‥‥。
ほぼ日	ピンクにいくなら今年のような気がしますけどね。
おおはた	‥‥。
ほぼ日	だいじょうぶですか。
おおはた	‥‥なんかオレね、いま、すごく「世間」を気にしてるような気がするんだよなぁ‥‥。
ほぼ日	あはははは（笑）。
おおはた	‥‥やっぱりピンクで（小声）。
ほぼ日	え？
おおはた	ピンクでいきます！
ほぼ日	おおー！（笑）
おおはた	チャレンジしてみようと思います！
ほぼ日	表情に決意がみなぎってますね。
おおはた	え、ほんとですか？ふだんはいちばん「目力が弱い」と言われますが‥‥。
ほぼ日	「いちばん」ってどういうことですか（笑）。
おおはた	そのことをみうらさんに相談したんですよ。
ほぼ日	ええ（笑）。
おおはた	そしたら「そういうときはサングラスにかぎるよ」って。
ほぼ日	あははは。「そういうとき」って（笑）。今日は、ありがとうございました！
	＜おわります＞

ファン待望、おおはた雄一さんの
２年半ぶりのオリジナル・フルアルバムは
共同プロデューサーに
アコースティックシーンを代表する
ふたりのアーティスト、
ジェシー・ハリスとリチャード・ジュリアンを迎え
ニューヨーク録音を敢行した、意欲作にして「最高傑作」。
これまで以上にポップでキャッチー、
聴く人のこころをぐぐーっとつかむ全12曲です。