アニメ業界の方の手帳 テレビアニメ『夏色キセキ』チームのみなさんに聞く、手帳の話。     サンライズ/立原さん(設定制作)、若林さん(宣伝) アニプレックス/新宅さん(宣伝)

『今日の目撃情報』にいただいた、
「アニメのエンディングで『ほぼ日手帳』を見ました!」というメール。
その『夏色キセキ』宛に問い合わせると、それは確かに「ほぼ日手帳」。
しかも作られた方が実際に「ほぼ日手帳」をつかわれているとのこと。
というわけで、ほぼ日手帳チーム、お話を聞きに行ってきました。

 
ほぼ日 こんにちはー。
今日は、よろしくお願いします。
みなさん こんにちはー。よろしくお願いします。
ほぼ日 突然、変わった取材ですみません。
本日、お話を聞かせていただきたい内容を
あらためて説明しますと、
じつは先日、我々「ほぼ日」手帳チーム宛に
『夏色キセキ』というアニメのエンディングに
「ほぼ日手帳」を発見しました! というメール

読者の方からいただきまして。

こちらが読者の方からいただいた『夏色キセキ』エンディングのシーン。
まさしく「ほぼ日手帳spring」(4月はじまり版)の
2012年の限定カバー「ダーラナの春」!

みなさん はい、はい。
ほぼ日 いったいどんな理由で
「ほぼ日手帳」をつかうことになったのか?
そのあたりをお聞きできたらと思ってうかがいました。
まずは、この『夏色キセキ』がどんなアニメなのか、
簡単に説明していただいてもいいですか?
若林さん はい。『夏色キセキ』は、
ある中学2年生の女の子たち4人の
1ヵ月間の夏休みをテーマにしたお話なんです。
それが、この4人なんですけれど。
ほぼ日 公式ページで拝見しました。
4人の女の子たちが過ごす、夏休みの物語。
若林さん はい。で、夏が終わると、
この4人のうち1人が引越してしまうんです。
だから、この1ヵ月で、この4人組が、
最後の思い出作りをするんですね。
そして、最後の、別れを乗り越えて‥‥というお話。
夏休みならではの、ちょっとさびしい気分もあって。
あと、その4人の間にちょっと不思議なことも起きます。
‥‥これが、一般的なストーリーからの
『夏色キセキ』の説明ですね。
立原さん、これで大丈夫ですか?
立原さん 完璧です。
ほぼ日 なるほど。
あの、一般的じゃない
他の『夏色キセキ』の説明っていうのも
あるんですか(笑)?
若林さん あ、ええ(笑)。
有名な声優さんたちが出ているのでアニメファンの方には、
「sphere(スフィア)の主演作です」とか言うと
「おおっ」っていう方がいらっしゃるかと思うんですけど。
スフィアというのは4人組の、
とても人気の声優ユニットなんですが、
その4人組全員が主人公として登場する、
初めてのアニメ、という。
また、挿入歌もたくさんあって、
スフィアの歌う曲が、いろいろ聴けるという。
そういった視点で見ると、この『夏色キセキ』は
ファンの方には、たまらない豪華な番組なんですよ。
ほぼ日 へえーー、そうなんですね。
その『夏色キセキ』のなかに、
いったいどうして「ほぼ日手帳」が
使われることになったんでしょうか?
立原さん はい。
まず、演出家の方から、エンディングのシーンで
「かわいい手帳をつかいたい」という要望がありまして、
ぼくが参考資料としていくつか手帳の資料を用意しました。
ちなみに、なぜエンディングに手帳が出てくるかというと、
これはぼくの個人的な解釈なんですが、
このシーンにおける手帳って、
「約束」とか「未来」とか「また会おうね」とか、
そういうことの象徴なんじゃないかと思うんです。
だからエンディングでの手帳は、この物語の結末を暗示する
重要なキーアイテムなんだとも言えて。
それで、エンディングのシーンに、
4人のそれぞれの手帳を登場させることになりました。
ほぼ日 なるほど、なるほど。
立原さん で、その準備したうちの1冊が、
どうして「ほぼ日手帳」だったのかというと‥‥
もちろん、ぼくが自分でつかっているから、
というのがいちばんの理由です(笑)。
ほぼ日 ありがとうございます(笑)。
一同 (笑)
ほぼ日 「4人のそれぞれの手帳」ということは、
この「ほぼ日手帳」は、主人公の4人のうち、
誰かがつかっているという設定なんですね?
立原さん そのとおりです。
ほぼ日 んーー、誰だろう?
  • 夏海

  • 紗季

  • 優香

  • 凛子

立原さん 実はこの手帳は、優香の手帳なんです。
ほぼ日 あー、そうなんですか。
立原さん 選んだのは演出家の方なのですが、
参考資料として用意した「かわいい」手帳の中で、
この手帳がいちばん優香にぴったりだったので、
という理由だと思います。
ほぼ日 言われてみると、そんな気がしてきました。
一同 (笑)
ほぼ日 ちなみに、数ある「ほぼ日手帳」のカバーのなかから、
「ダーラナの春」を選ばれた理由はなんでしょうか?
立原さん もちろん、「かわいさ」もあるんですけど、
アニメのなかに登場させるものの
参考資料を選ぶときには、
「描きやすさ」というのも重要なんです。
ほぼ日 「描きやすさ」。
立原さん はい。
実際のエンディングの場面では、
この手帳は動かないんですけれども、
「動かしたときにどうなるか」ということを
最初に考えておかなくてはならないんです。
たとえば、ペイズリーみたいな複雑な柄の手帳だと、
アニメのなかでその絵を動かそうと思うと、
描くのがめちゃくちゃ大変ですよね。
その点、この「ダーラナの春」は、
動かそうと思ったときには
動かせるだけの描きやすさもありますから。
ほぼ日 はーーー。いろんな面から熟考されているんですね。
立原さん じつは(笑)。

エンディングの制作設定資料より。この絵の「手帳」が、最終的には「ほぼ日手帳」になった。

ほぼ日 ちなみに、物語の時代設定は現代なんですか?
立原さん そうですね、現代です。いちおう、2012年。
ほぼ日 あ、そうなんですか!
この「ダーラナの春」は2012年4月の限定カバーなので、
ぼくらにとって、2012年の話というのはぴったり来ます。
みなさん (笑)
ほぼ日 ちなみに立原さんの「設定制作」という仕事は、
どういったお仕事になるんですか?
立原さん アニメってものすごく大勢の人が関わっていて、
みんなが、いくつもの仕事を並行して
進めていたりするんですね。
そういうなかで、いろんな人たちが混乱することなく、
パッと参照して絵を描けるような資料をつくっています。
今回の手帳のようにモノを集めることもあるし、
写真を撮るときもあるし、
登場人物がどんな動きや表情をするか、
といった設定などもつくったりします。
『夏色キセキ』は伊豆半島の下田を舞台にしたお話なので、
よく伊豆に出かけて建物の資料をつくったりしてました。
ほぼ日 ああー、実際の町を舞台にしているとなると、
かなりの資料が必要そうですね。
立原さん ええ、ある時期は、毎週日曜日になると
下田に行って、朝から晩まで写真を撮ってました。
実際にある建物や通りを背景にすることも多いんですが、
「正面からの写真はあるのに、横からの写真がない!」
とかなると、勝手につくるわけにもいかないので、
そのために下田に撮りに行くんです。
『夏色キセキ』は下田市と公式にタイアップしているので、
下田市の方に写真を送ってもらったこともありました。
若林さん 地元の人にも応援してもらっていて、
下田の「黒船祭」っていうお祭りのときに、
『夏色キセキ』のギャラリースペースを設けてもらったり、
大きな画面で第1話を放映したりとか。
地元の人たちをはじめ、メッセージボードに
いろいろ書いてくれたり。
あれはうれしかったですね。
立原さん うん。

「黒船祭」のメッセージボードより。

ほぼ日 ちなみに資料集めなどのときには
「ほぼ日手帳」も、いっしょに持っていかれてますか?
立原さん はい。仕事に「ほぼ日手帳」、けっこうつかってますよ。
若林さん ほんとにたまたまなんですけど、
ここにいる全員、つかってるもんね。
新宅さん こうやって手帳を真ん中に置いてみんなで話をしていると、
「ほぼ日手帳」ファンの集い、みたいですよね(笑)。

(左奥、立原さん)2012年革カバー、コニャックブラウン
(右奥、若林さん)2009年牛革オイルコーティング、レッド
(手前、新宅さん)2010年ナイロンカバー、ターコイズブルー

ほぼ日 なんだか、ありがとうございます。
ちなみにみなさん、いつごろから
「ほぼ日手帳」をつかわれているんですか?
若林さん ぼくはこの手帳以外、
ちゃんとつかったことがないんですよ。
学生のときに別のを持ってたりもしたけど、
それはぜんぜんつかわなくて。
で、学生のときから「ほぼ日手帳」にしたから‥‥8年?
ほぼ日 お、おおー。
立原さん ぼくは4年目かな。
新宅さん ぼくは3年目ですね。
ほぼ日 お、おおお。
みなさん、長くつかってくださっているんですね。
本当に、ありがとうございます。
みなさん いえいえ(笑)。
ほぼ日 ちなみに、おつかいの手帳のなかで、
見せてもいいページってありますか?
アニメ業界で働かれている方ならではのページ、
みたいなものがあるとうれしいんですが。
新宅さん うーん、どうかなあ‥‥中身はけっこう普通で
見せても大丈夫なものもあんまりなくて‥‥。
あ、自分の担当作品の宣伝グッズとかは
手帳に貼ったりしてますね。
中よりもむしろ、このシールのほうがいいかな。
今貼っているのは『ブラック★ロックシューター』っていう
アニメのステッカーシールです。
若林さん お、いいね。
ぼくはちょっと‥‥見せられる部分がないですね。
すみません。
ほぼ日 あ、いえいえ。
立原さん あ、ぼくのこれ、どうでしょう。
『夏色キセキ』で登場する姫石神社というところの
架空の神社のお札を、デザイナーさんが
つくったものなんですけど。
新宅さん あ、それ、すごいですねー。
ほぼ日 お、すごい。本物みたいですね。
立原さん あと、このページも、大丈夫かも。
やることのリストなんですけど。
一同 うわー、すごい。
新宅さん このつかいかたはすごいですねー。
時間軸とかは特に関係なく?
立原さん はい。時間は関係ないです。日にちも関係ないです。
チェックボックスと、やることを書いて、
ひとつずつやったものにチェックしていって。
ほぼ日 しっかり活用してくださっていて、うれしいです。
ありがとうございます。
若林さん アニメ業界って「ほぼ日手帳」ユーザー、
多いと思いますよ。
5人くらいの打ち合わせに行って、その中で2人とか、
「あ、同じの使ってる」ってこと、けっこうありますから。
新宅さん そうですよね。なんでですかね。
ほぼ日 あ、そうなんですね。
若林さん この業界って、
「黒のフォーマルな手帳じゃないと」とかってないですし、
わりと「なんでもあり」なんで。
遊びのことと仕事のこと、両方書き込むことができる、
カジュアル感がある手帳のほうが合ってるんだと思います。
要は、どんな場面でも自分のペースでいきたい人、
言いかえると、ルーズに過ごしたい人が多いのかも(笑)。
立原さん スーツ着る機会も滅多にないですしね。
若林さん うん、冠婚葬祭のときと‥‥あと、
あやまりにいくときくらいかな。
この業界でスーツ来て出社すると
「あやまりにいくの?」とか
あと、「‥‥え、就職活動? 転職すんの?」
みたいな(笑)。
一同 (笑)
ほぼ日 最後に、みなさんの写真を
撮らせていただいてもいいですか?
せっかくなんで『夏色キセキ』のポスターの前がいいかも。
みなさん はーい。手帳持ったほうがいい、ですよね?
ほぼ日 あ、お願いしまーす。じゃ、撮りますねー。

(『夏色キセキ』のみなさん、本当にどうもありがとうございました!)

2012-07-05-THU

特集コンテンツをもっと見る