ボタニカル・ダイ

“お直し”の横尾香央留さんの手刺しゅうを原型に、
ヘムの部分に、とくべつな機械を使って
こまかな刺しゅうをほどこしたデザインです。

ベースになっているのは、植物由来の染料である
「ボタニカル・ダイ」で色をつけたタオル。
光を吸収するかのようなやさしい墨色は、
「ボタニカル・ダイ」といって、
植物から抽出した色素を使って染めています。
孟宗竹の炭の粉末を水の中で何度も粉砕、微粉にして、
“お守りの木”とも言われるログウッドの色素と合わせ、
この色を表現しました。
ひとつの色のなかに、ひとの目で見える幅をこえた
200種もの色素が入っているため、
この画像では、チャコールグレイの単色に見えますが、
じっさいはとても奥行きのある色合いに仕上がっています。
そして、ほかの染料にくらべて、すこしだけ、
さわったときのやわらかさも、増しているんですよ。

そこにほどこされた、
横尾さんの刺しゅうのデザイン。
一見、抽象的に見えますけれど、
よく見ると、竹が節で区切れているところや、
笹の葉などをモチーフにしているのがわかります。
竹、というと、和風あるいは
シノワズリのイメージのある素材ですが、
横尾さんの手で、なんともかわいらしく、
素朴で独特な印象がうまれました。

「糸の色えらびも、ふだんよく使う地味なものでは
タオル地の色に沈んでしまうんです。
あえて明るめのはっきりした色を選びました。
墨色とのコントラストが、
民族衣装に使われるような色あいにも思えますよね」

と、横尾さん。
たしかに、刺しゅうという手仕事と、
ビビッドな色の糸が組み合わさって、
アジアや中南米にもありそうな印象もありますよね。

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