2000年に開発を始め、
2003年から販売を開始した
「ほぼ日」の「やさしいタオル」。
その基本的な「いいところ」は、
ずっと変わっていません。
でも、ながく続けているうちに、
デザインのことばかりにかまけて
(それももちろん「いいところ」なんですが)、
ほんらいの特長をちゃんとお伝えしていなかったなあ、
と思ったのです。

ちなみに、開発当初から変わっていない
「ほぼ日」が考えた「いいタオル」の条件は、こちら。

□肌ざわりがよいこと。
□吸水性がよいこと。
□古びないこと。
□洗いやすいこと。
□乾きやすいこと。
□いつも持ち歩きたくなるデザイン。

販売スタートから12年、いまも
「ほぼ日」でいちばん「やさしいタオル」の
ヘビーユーザーかもしれない糸井重里に、
あらためて、「やさしいタオルのいいところ」について
インタビューをしました。
糸井家ではどんなふうに使っているのかなあ、
というところから、
「そうそう、そうだったよね!」という
いろんな「いいところ」を紹介します!

 プレゼントに喜ばれる。

「やさしいタオル」の新作が出ると、
うちでは奥さん(樋口可南子さん)が
まとめて買っているんだけれど、
それは「人にあげる用」なんです。
たぶん、「ほぼ日」のお客さんのなかにも
そんなようなことをしている人がいるんじゃないかな。
「誰かにあげるから」と、すこし多めに買っておく、
こんなふうに消え物で、
なおかつ絶対に喜ばれるっていう商品は、
世の中に、そんなにたくさんはないんですよ。

「やさしいタオル」って
「ほぼ日」社内での購入者がすごく多いのです。
つくっている者が言うのもなんですが、
新作の完成をまず自分たちが楽しみにしています。
もちろん自分の家でも使うんですが、
さしあげると、ほんとうに喜ばれるんですよ。
ちょっとした手みやげなら
「ハンドよこなが」や「ハンド」、
お祝いやご挨拶なら、「フェイス」や「バス」。
赤ちゃんの誕生祝いや、お見舞いなどにもいいですよね。
乗組員の友人に、
お子さんが長く入院していた人がいるんですが、
かわいい柄の「やさしいタオル」を贈ったら、
病室がぱっと明るくなったと、とても喜ばれました。
うれしかったなあ。(その子は全快しました!)

▲こういうあざやかなデザインのタオルって、
「やさしいタオル」をつくる前は、
あまり見かけないものだったんですよ。
ね、プレゼントにも、いいでしょう?

 いつでも持ち歩ける。

こかへ出掛ける時は、いつも
「やさしいタオル」をバッグに入れてます。
それも、ハンドタオルじゃなくて、フェイスタオルを。
かさばらないからだいじょうぶなんです。
どこかっていうのは、映画館に行くとか、
野球を観戦する時などですね。釣りもいいよね。
つまり「ちょっとしたお出かけ」なんだけれど、
そういうときは折り畳み傘とやさしいタオルをセットにして
かならず、持ち歩いています。

何用かって言うと──いろいろ使えるんです。
手を拭きたいときはもちろん、
膝掛け代わりにもなるし。
暑い時期だったら、
家の冷蔵庫から冷たい飲み物を出して、
タオルで巻いてバッグに入れちゃうとかね。
もちろん冬もやってます。
気仙沼行く時にも持っていきます。
逆に、行った先で買ったものをタオルにくるんで
持ち帰ることもあります。

「役に立たなかったな」って思っても全然かまわない。
そんなにがさばらないし、軽いから。
今はもう、無意識でかばんに入れるようになりました。

社長が「フェイス」を持ち歩いているとは知らなかった!
そういえばまわりでは「よく汗をかく」タイプの男子は、
フェイスタオルを持ち歩いている人が多いみたいです。
なんだか安心するんですよね、あると。
そうそう、旅行に持っていくと、
旅先で本来の用途に使うだけじゃなく、
お酒とか器とかの割れ物を買ったとき、
くるんで持って帰るのにも活躍します。
それから、「やさしいタオル」は片面パイル、
片面ガーゼの二重織りなので、
一般的な両面パイルのタオルにくらべ、軽くて、
たたんだときにコンパクトです。
持ち運びやすいし、仕舞いやすいんですよ。

▲かばんに入れて持ち歩けるタオル、って、
そういえば、いままであまりなかった!

 顔をふくのに「やさしい」!

風呂に入ったあと、水気を拭くとき、
「身体はいいけれど、顔はこすっちゃだめですよ」
って言われたんですよ。
ぼくはそういうことを意識してきたわけじゃないんだけど、
「こすっちゃだめ」なんて、
わざわざ言われるのがおもしろいなと思って、
「やさしいタオル」もあるしと、
やってみることにしたんです。

最近ネットの話題で、とある有名なスキンケアクリームが、
安価だけれど効果があるという評判が出ていたのだけれど、
そのクリームですら、つけるときに
「こすったらだめだよ」って言われているんですよ。
「優しくつけてね」って書いてある。
いまや洗顔だって、石鹸を泡立ててそっとのせて、
というような洗い方になっていますよね。
なのにぼくらはタオルでゴシゴシ顔をこすって、
「あぁ、さっぱりした!」と言っていたんだなあと。

その点、やさしいタオルは、
「おさえるだけで、水を吸う」。
こういう使い方に、ぴったりなんですよね。

そういえば「やさしいタオル」がうまれたとき、
吸水性がいいですよということを言うのに、
お化粧をしているときに汗をかいたら、
ガーゼ面でそっとおさえるだけで、
スッと吸ってくれますよ、という表現をしました。
ガーゼの目というのは粗く、
しかも柔軟剤を使っていないから、水をはじかない。
無数の小さなスポイトのように、
水気はスッとその目を通って、
パイル面で保水するわけです。
だからファンデーションを崩しませんよ、って。

ガーゼ面は、太い「カード糸」の
単糸を使って、粗く、かちっと織っています。
目ではわからないのですけれど、
天然繊維でできた「ざる」の目のような構造なんです。

ころが、ぼくらはふだんそういうことをしていないから、
その「いいところ」をだんだんと忘れてしまって、
強く伝えることをしてこなかった。
けれどもあらためてこの「洗顔問題」で思ったんですよ、
「やさしいタオル」、いいぞ、って。

強くこするのは気持ちがいいというのもわかるけれど、
顕微鏡で見ると、無数の傷がついている、
というようなことを知ると、
「ゴワゴワのゴシゴシが好き」というのは、
やめておいたほうがいいんだろうな、って。
それに、パイルだけのタオルで、
しかも柔軟剤を使っていたりしたら、
なかなか水を吸わなかったりします。
その点「やさしいタオル」はいい。
このことを、人にあげる時も、
もうちょっと言ってあげて
いいんじゃないかなと思っているんです。

ついついガサツな私たち、
顔もゴシゴシこすっちゃってました。
「やさしいタオル」だと、
とくにパイル面の「やさしさ」がすごいので、
そんなに気にならなかったのです。
でもこのコメントをもらって、考えをあらためました。
ぽんぽんと乗せるようにして水を吸わせれば
いいんですね、顔。
それから、「やさしいタオル」は
仕上げに柔軟剤を使っていませんし、
ご家庭でのお洗濯に柔軟剤を使うことを
おすすめしていません。
それは、吸水性をさまたげてしまうから。

「じゃあ、ぺっちゃんこになっちゃうの?」
いえいえ、じつはパイル面の糸にLA加工という、
繊維の細胞壁に形状記憶をする加工をしているので、
洗って乾かすと、ふっくらもとどおりになるんです。
だから柔軟剤いらず。
ちなみに、パイル面の糸は、そもそも、
スーピマコットンという、うんと細い
超長繊維綿の双糸を、
ふっくら「あまより」にして使っています。
もともと上質な糸を、さらにLA加工することで、
吸水性にくわえ、独特な光沢や、
染めたときの色の鮮やかさやが実現できているんです。

▲あたらしい「やさしいタオル」でも
こんなに水を吸うのです。
柔軟剤を使うと、はじいちゃうんですよ。

 デザインがいい。

「やさしいタオル」がある風景に慣れていると、
あんがい気がつかないんだけれど、
世の中のタオルって、あんまり柄がないんですよね。
その点、「やさしいタオル」は楽しいんですよ。
年に2回の新作を、
なにより自分たちが楽しみにしていたりする。
Tシャツがメディアではなくなった今、
タオルって、メディアとしておもしろいと思うんです。
プリントの技術も上がって、
表現できることが増えましたしね。

そういえば開発当初、チームでは
「ガーゼ面は、カンバスがわり!」
だなんて言っていました。
いまも、最近、毎回ひとりかふたり、
ゲストデザイナーをお招きしているのですが、
プリントのクオリティのみならず、
「刺しゅう」だとか、
織りとプリントを重ねることだとか、
工場の担当のかたが
そういう実験的なことにも前向きに
つきあってくださるので、
どんどん「できること」が増えているのです。

▲ソファのカバーにしたりとか、
ぽんと置いたときにもサマになる、
「部屋の風景」になるようなデザインを
こころがけています。
インテリアファブリック的な、タオルなのです。

 古びない。古くなっても使える。

く使っても、「やさしいタオル」って
なかなかボロボロにはならないんですが、
あたらしいタオルを買って、古いのをどうしよう、
捨てるのはもったいないよな、というときがあります。
もちろん「ぞうきんにする」という手もあるんだけれど、
うちではどうぶつ用にしています。
家で犬(ブイヨン)用にしたり、
ミグノンプランに寄付をしたり。
だからあそこの動物たち、
結構いいタオルで暮らしているんですよ。
チェック柄のあかるい色のタオルを使うと、
「動物たちがもっとかわいく見える」って、
友森代表にも好評なんです。

「やさしいタオル」ってすごく長持ちなんです。
その理由のひとつは、前のほうでも説明した、
パイル面で使う双糸のスーピマコットンを
LA加工していることにあります。
双糸はねじれにくく、
LA加工で細胞を形状記憶させていることで
いつまでもふっくらとした弾力が続きます。
じつは‥‥商品づくりって、ある程度のところで
「古くなって、買い替えてもらいたい」
という気持ちもあるものなんですが、
こればっかりは、そういうものができちゃったんだから
しかたがないのです。
それでも糸がぽよぽよと出てきたり
(ついつい爪でひっかけちゃったりすると、出てきます。
 少しだったらはさみで切れば大丈夫です)、
全体に「くたびれ感」がひどくなったら、
いよいよリタイアのタイミングです。
ちなみに、「やさしいタオルが、
やさしくなくなるとき」をテーマに、
こんなコンテンツをつくったこともありましたよ。
「やさしくないタオルのつくりかた。」


「気まぐれカメら」のアーカイブから探しました。
糸井家のブイヨンが、古い「やさしいタオル」を
使っているシーンです。
気持ちいいにちがいない!

 早く乾く。

「早く乾く」っていうことは、
やっぱり改めて言いたいな。
軽さと乾き。
水をこぼした時とか、ポンと投げたら、
スーッと染み込んで、すぐに乾く。
そこは結構大事なところだと思います。
デザインのおかげで、
汚れが目立たないのもいいですよね。

そして台所で、食器を拭くのにもいいよね。
「ほぼ日」では週に1回給食があって、
配膳当番と食器洗い当番があるけれど、
その食器洗いのとき、洗った器を拭くのに、
「やさしいタオル」を使っているものね。

「ほぼ日」の給食は、70人くらいが食べるので、
それだけ食器を洗いますが、
「やさしいタオル」を使うと
ふつうのふきんよりもはるかにたくさん拭けるのです。
あんがい、そういう使い方をしている人は少ないかな?
手を拭くだけじゃなく、そんなふうにも
使ってみてくださいね。

そうそう「乾きやすい」理由は、
ガーゼとパイルの二重織りという構造にも理由があります。
ざっくり織った単糸のガーゼが、空気をよく通すからです。

▲「ほぼ日」社内でのようす。
なくてはならない社内備品になってます。

 食卓にも。

ンチョンマットとしてはどうかな?
うちではそういう使い方をしていないんだけれど、
たしか「ハンドよこなが」を、あえてタテに置いて、
スプーンやフォーク、それから飲み物を置く人もいるよね。
食卓にタオルがあるのは、結構便利だと思う。
汚れたら、そのまま洗えるしね。

「ハンドよこなが」や「ハンド」の使い方として、
お客さまのあるときのお手ふきに使うのもおすすめです。
濡らして硬くしぼって(冬だったら、チンしてあたためて)
お出しすると、とてもよろこばれますよー。

そして「洗いやすい」というのも、
やさしいタオルのいいところ。
「片面がガーゼ」ゆえ、
全体のボリュームがおさえられているからです。
パイルとガーゼの二重織りというのは、
「やさしいタオル」以前、
あまり見かけることがなかったタオルの織り方でした。
そういえば当時、それができる織機を、
探すところから始まった「やさしいタオル」。
さいわい、日本のタオルの一大産地である
愛媛県今治市でその工場がみつかり、
製品化がかなったのでした。
そしていまも「やさしいタオル」は
今治のタオル工場で一貫生産をしています。


▲食卓とタオルって、「清潔感」という共通項で
とてもなじみがいいように思います。
みなさんもいろんな使い方をくふうしてみてくださいねー!

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