アートディレクターとして
たくさんの雑誌や本をつくってきた堀内誠一さん。
(くわしくは連載「堀内さん。」をどうぞ!)
そのイラストレーション原画からデータをおこし、
「ほぼ日」でこんなタオルをデザインしました。
バスタオルの絵柄は「パリのアルファベット」。
カラートーンという、デザインでつかう、
すこし透明感のある色のシートを
切り張りしてつくられたもので、
いわば切り絵のアルファベットです。
色は赤、青、緑、黄、そしてグレイ。
家族でパリに暮らしたパリ好きの堀内さんらしく、
そのなかに「エッフェル塔」がまぎれこんでいます。
フェイスタオルの絵柄は、トランプのクイーンです。
クイーン(Q)なのになぜ「D」?
それはこれがフランスのものだから。
キングはRoi(ロワ=王)の「R」、
クイーンはDame(ダーム=女王)の「D」、
ジャックはValet(ヴァレット=従者)の
「V」なんですって。
ちなみにスペードの女王はパラスという、
ギリシア神話に登場する女性が、
ダイヤの女王はラケルという、旧約聖書のヤコブの妻が
もとになっているのだそうです。
こちらの絵も、カラートーンによる
切り絵で構成されています。
ハンドタオルにプリントしたのは、
堀内さんが描いた
パリのブーランジュリー(パン屋さん)です。
パリの日本語新聞「OVNI」に連載された
食のエッセイに提供した挿し絵だそう。
季節は秋から冬に向かうあたり、時間は夕刻でしょうか、
パンを買った少年がさっそくかじりついている横で
地下のパン焼き工場からたちのぼるこうばしい湯気を
犬がうっとりと嗅いでいます。
バゲットを買う行列のなかには、
買い物カゴをさげたマダム、
ベレーをかぶり工具箱と新聞(それとも雑誌?)を抱えた
仕事帰りらしきムッシュ、
夕飯のお使いなのか、ワインの瓶を脇にかかえ、
ローラースケートをはいた少年。
左右のウインドウにはおいしそうなお菓子が飾られ、
それをこどもたちがのぞきこんでいます。
こんな「なんでもないような」日常の風景を、
堀内さんは愛していたのかもしれません。