UŽ JSEM DOMA.
[ただいま]
HLAS CESTUJE. NĚKDY SE KE MĚ VRÁTÍ.
[声は旅をする。いつか自分のもとに帰ってくる。]
TO NIC NENÍ, ALE PRO MĚ JE TO NĚCO.
[なんでもないもの、でも私にとってはなにか。]
チェコ語 shinoさん

5月26日(水)午前11時より販売スタートです。

5つの国のことばのタオル、
さいごに紹介するのはチェコ語です。
インド・ヨーロッパ語族のスラヴ語派に属し、
チェコ共和国内と、
世界にちらばるチェコ系住民をあわせ、
約1200万人が使っているといわれます。
チェコ語のアルファベットは42。
そのうち15個に、ハーチェク(ˇ)、
チャールカ(´)などの付属記号がついています。
チェコ語やチェコの人でわたしたちに馴染みが深いのは
作家のカレル・チャペックやその作品である「ロボット」、
音楽家のドヴォルザークやスメタナ、
画家のムハ(ミュシャ)などですよね。
今回、チェコ語のことばを選んでくださったのは、
「ほぼ日」でもおなじみのshinoさんです。


shinoさんのプロフィール

シノ
1961年生まれ。
学生時代は型割陶器を、
1980年より吹きガラスの修行を始め、
米国ピルチャック・グラス・スクールで学ぶ。
その後、友人等と工房ARTHOLICを設立し、
個展、グループ展に出品。
美麻ワークショップ、GLASSWORK誌を経て、
長らく中断していた創作活動を再開。
現在はプラハ(チェコ共和国)を拠点に
主にビーズによるジュエリーを制作している。
「ほぼ日」では「生活のたのしみ展」の
「pojď k nám」への参加や、
https://seikatsunotanoshimi.1101.com/2017_spring/column/4333.html
ガラス作家の高橋禎彦さんとのTOBICHIの展示
「タカハシノ」、
https://www.1101.com/tobichi/takahashino/index.html
ベレーとチョーカの店「RADIOVKA」などでも活躍。
https://www.1101.com/tobichi/tokyo/exhibition/detail/?p=3430


ではshinoさん、
今回のことばについて教えてください。
発音‥‥むずかしそう!

UŽ JSEM DOMA.
(ウシュ イセム ドマ)[ただいま。]

直訳は「もう私は家にいます」ですが、
日本語の「ただいま」みたいなニュアンスで使われます。
挨拶ほど堅苦しくなく、でも声に出して伝える、
そういう言葉が好きなんですよね。

HLAS CESTUJE. NĚKDY SE KE MĚ VRÁTÍ.
(フラス ツェスツイエ. ニェグディ セ ケ ムニェ ヴラーティー)[声は旅をする。いつか自分のもとに帰ってくる。]

実はこれは中学の卒業文集に書いた一節なんです。
もちろん日本語で。
この後に続く内容は覚えてないですし、
まさかチェコ語にするなんて想像もしていませんでした。
でも、自由に旅行することが叶わない今、
声はどこかに伝わって、誰かに繋がる‥‥。
ふと思い出した一節に思いを馳せたくなりました。

TO NIC NENÍ, ALE PRO MĚ JE TO NĚCO.
(ト ニッツ ネニー, アレ プロ ムニェ イエ ト ニェツォ)[なんでもないもの、でも私にとってはなにか。]

これは俗に言う「ライナスのブランケット」的なこと。
わたしはものをつくる仕事をしているんですが、
社会的価値感には興味がなく、
個人の価値観に惹かれます。
誰かにとってはどうでもいいもの、
でもその人にとっては大切なもの。
そんなものが作れたらなぁと思っています。


じつはshinoさんは「やさしいタオル」のヘビーユーザー。
プラハでのご自宅では大活躍だそうですが、
全般的なタオル事情、どんな感じなんでしょう。

そう、「やさしいタオル」愛用してます。
柔軟剤は苦手で、しかもチェコは硬水。
それで洗濯しても肌ざわりがいいので助かってます。
今から30年前、民主化直後のチェコには、
自分が当たり前に思っていたものが
ほとんどありませんでした。
タオル(パイル生地)もそのひとつ。
当時はキッチンタオルのような
ざっくりとした木綿布で身体を拭いていました。
それを知っていたドイツの友人が
タオルをプレゼントしてくれ、
改めてパイル生地の吸水性や心地よさを
思い知らされました。
どれだけありがたかったか。
もちろん今ではタオルといえば、
当たり前にパイル生地なので、
みなそんなこと忘れちゃってると思います。

ステイホームが続きますけれど、
いまどんな風に過ごされていますか。
工夫していることなどあれば教えてください。

もともと家が好きで、
制作も自宅の一隅でという暮らしなので、
生活に変わりはありません。
人とはなかなか自由に会えませんが、
以前にも増して気遣ってくれる人の心持ちや、
いつどこにいても誰かと繋がっていると思える安心感は、
一層強く感じています。
たまに会える時は散歩へ。
近所に広くて気持ちのいい公園があるんです。
歩きながら安心しておしゃべりが楽しめます。

ありがとうございました!
こちらもなかなかままならない毎日ですけれど、
またぜひ、お会いしましょう!
このタオル、プラハのおともだちに
「わあっ!」って思ってもらえるといいなあ。


せかいのことばシリーズCZECH5/26(水)午前11時 販売発売


2021-05-24-MON

タオル撮影:有賀 傑