ひとりお直し合宿と題して パリに滞在した数年前のこと ひょんなことから 小柄な日本人マダムと知り合った
フランス語どころか 英語すら ろくに話せない 日本人の小娘を不憫に思ったのか 彼女はあたしを自宅に招き ニットのお直しを頼んでくれた
お直しのヒントを探るべく 彼女の話を聞いていると 出てくる単語が 乗馬 毛皮 持ち馬 ワイナリー お城… どんどんどんどんグレードアップしていく 風貌からも わかってはいたが 彼女はほんとうにお金持ちだった “ しまった ヒントどころか ますます わからなくなってしまった… ”
お金持ち=トラ柄やヒョウ柄 そんなイメージを裏切ることなく 彼女が好きだというトラを あたしはかぎ針で編み 胸元の空いた穴にかぶせた
今回お直しワッペンになったトラは あの時のトラとはずいぶん違うものの おかしいな… 貼付けたものが ゴージャスになるかと思いきや これがつくと すべてのものが スカジャンテイストになってしまう! この幅の広さ トラ 恐るべし
お直しワッペンは、かわいいだけじゃありません。 迫力満点、 とらのデザインだってあるんです。 ほら、尻尾の躍動感もすごいでしょ? このワッペンは、 「体の刺しゅうの上に、顔の刺しゅうを重ねる」 という凝ったつくりなので立体感があるんです。 ますます、迫力満点。
とはいえ横尾さんのデザインですから、 やっぱりどこか、ユニークでキュート。 堂々と貼って、たのしみたいワッペンです。