糸井 |
寝なくても、暗闇で 脳が活動するというお話で思ったのは、 お風呂のすごみについてです。 正直言って、僕はお風呂が仕事場です。 |
池谷 |
お風呂でアイデアを思いつくんですか? |
糸井 |
アイデアというより、 もっと大きいです。 僕の仕事は、お風呂で考えたことがほとんどです。 毎日の時間のなかで、 いちばん大切かもしれません。 |
池谷 |
どのくらいの時間、入られるのですか。 |
糸井 |
中で本を読む場合もありますが、 それなりに人より長いかな。 お湯につかっている時間は 15分ぐらいでしょうか。 特に僕は暗くして 湯槽に入るのが好きですから とても睡眠に似ています。 暗いお風呂はいいですよ、ほんとうに。 |
池谷 |
それはいいですね。 |
糸井 |
‥‥でも自信がなくなってきた。 シャンプーしてるときに 考えが広がることもあるからね(笑)。 |
池谷 |
シャンプーしてるときに‥‥。 |
糸井 |
もう、完全に お風呂をあてにしてますもん。 |
池谷 |
トイレやお風呂、 僕はあれも、情報の遮断だと思うんです。 人工睡眠のようなものかもしれません。 |
糸井 |
そういう一面はあると思います。 休まないで一生懸命やれ、といわれて 仕事をすることって、 つまんないことを定義するようなときには いいと思いますが、 何かを解決しなきゃならなかったり、 新しいことを考えるときには それはとってもダメなことだと思います。 みんな直感的に、それを 思っているんじゃないかな。 |
池谷 |
そうですね。 だから、ときどき人工睡眠を取りに 席をはずしたり、 ときにはボーッとしたりする。 |
糸井 |
死んでもやれって言われて、 できることなんてありゃしないですからね。 「さぁ、仕事しなきゃ」ってときに、 ダラダラして なかなか仕事にならなかったりしますが、 池谷さんでも、それはありますか? |
池谷 |
あります。 グズグズしている間に ぜんぜん関係ないことを、 でも、重要なことを、 思いつくことがあります。 |
糸井 |
逃避的に いいアイデアを考えたりしますね。 |
池谷 |
逆説的だけど、 あの時間がなかったら、 仕事の彩りがすごく減るような気がします。 (つづきます) |
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2007-12-04-TUE