われら、スジナシ応援団!笑福亭鶴瓶の即興ドラマに酔え。
第1回 古着とマグロの雑談から。
なんですか、その格好は?

あ、これ?
古着を買うたんですよ。
ふたつつるしてあって、
「これとこれ」って買うたんですけどね、
値段訊いたら、ふたつで86000円やて!
86000円でっせ?
もっと安い思いますやん。

(笑)

でも、持ったもん、離されへんでしょ?

ああ、そうね。
小さい見栄もあるしね。

そうそう。
で、「もうええわ」って買いましたよ。
だからそれを減価償却するためにね。

さっそく着なきゃ! と(笑)。

とにかく着なきゃ。


おもしろいなー。
あいかわらず、
ただでいろいろおもしろいこと言うねー。

いやいや、まあまあ、ほんまにね。
ただでおもしろいこと言うてるわけじゃなくて、
ただでおもしろいこと言う人が
たまたまこういう職業になったんですよ。
ね、違います?。

そうかそうか。
素の自分を切り取ったら金になるわけだ。

ぅふっふっ

クジラが泳いでいるようなもんだね。

うまいこと言います。
こんな職業になるとは思ってなかったからね。
子どものころからこんなんですわ。

あー、なるほど。
バット持って生まれてくる子はいないけど、
みんな口は持って生まれてくるからね。

口は持ってたからね。
おばちゃんといっしょにしゃべってられるからね。

ぼくは寿司屋で寿司を食いながら
よく思うんですけどね。
「まぐろは、自分がうまいって
 知らないんだよなぁ」って。

ふっふっふっふっふっ。

まぐろを食う人間からは、
「これは、大間のまぐろですよ!」
なんて言われるけど、
まぐろは自分がどこのまぐろだか
知らないわけですよね。
もっと言うと、
まずいまぐろとうまいまぐろは
友だちだと思うんですよ。

ぅふっふっふっ。
それおもろいな(笑)。

「おまえのほうが、うまいだろ!」
って言わないわけですよ。


それ、おもろい。
(春風亭)昇太なんかが
(落語の)新作にしたらどやろ。
「おまえ、うまいらしいでー」
「おー、だめだよかじったら!
 だめだよ、だめだよ、だめ、だめだよ、
 だめ! 食べるなよー!」って。
あはははははは。
「おまえ、うまいぞ!」

「うまいよ、うまいけどさー、
 た、食べるなよ! なにをす‥‥」
(『壺算』の店主のように身をよじる)

「魚が食ってもうまくないんだよ!」

「魚が食っても気持ち悪いだけだよ!」
「だったらそこのわかめと一緒に‥‥)

あはははははは。
サゲまでできたね。

そういうやつ。ね、いけるね。

いけますね。
でもね、言いたかったのは
鶴瓶さん自身も
まぐろみたいなもんだっていう話ですよ。

なんですか?

生まれたときからそうなんだから。

ぅふっふっふっ。
なんの話してますねん

ああ、そうだ。
今日は『スジナシ』の話だ。
『スジナシ』が舞台になるんですよね。

そうです。応援してくれるんでしょ?

します、します。
応援団長です!

(続きます!)
2006-02-14-TUE