シェフ ジンセーにダメ出し。


しまったしまった、遅れちゃったよー。
スソ先生、ごめんなさい。
もうみんな、進めてますね。
でもほら、けっこうちゃんとできたから
きっと大丈夫ですよー。
ばっちりですよー!



あれ? どうしてべっかむ3が?



それは制作中の単行本
『ブタフィーヌさん4』の打ち合わせで
たかしまさんに用事があったからでした。
と、うろうろしておりましたら、
背後からキビチイ声が!



「シェフさん‥‥!
 うろうろしてますけど、
 帽子のすすみぐあいは
 どうですか〜?
 ここが肝心ですからね、
 きびしくチェックさせて
 いただくつもりですよ」

は、ハイッ、ただいま、すぐに!
(註:ほんとのスソ先生は
 こんなにキビチイいい方はなさいません。
 それはそれはやさしいおかたです!)



えーっと、型紙型紙。



布でつくった仮の帽子と
型紙を、こまかくチェックする
スソ先生です。
い、いかがなもんでしょう。



「あら‥‥?」



「えっ‥‥?」

やばい、なにかに、気づかれたかも?



「ちょっと‥‥ずれてません?」

やっぱり! 見破られた!
そうなのです、じつは、ちょっとずれててー。



「まあ、縫い込んじゃえば、
 わからないかなって‥‥そのう」



「だめですよ、ここできちんとしておかないと、
 あとで困ることになっちゃいますからね。
 でも大丈夫!
 ここで、ズレや、過不足がわかって、
 よかったじゃないですか。
 型紙を直していけばいいんですから」



なんと、おやさしいスソ先生!
そう言いながら、型紙をどう修正すればいいか
教えてくださいます。
ありがとうございます!
そこに、モギが通りかかりました。
「どうよ? 進み具合は。
 わたしは、けっこういい調子よ?
 なにせ、裁縫、とくいだもーん。
 むふふふふふふ〜」
むきーっ!



と、しばらくやってたら、くたびれたので、
ちょっと休憩。おだんごたべよう。



まんぷくになったところで型紙の修正に入ります。



これが、けっこう、手間なのねーん。
でも、ま、なんとかなるでしょ。
あれ? ‥‥なんかへんだな。
足りないみたい。
ちょっと付け足せば、いいよな。
結果オーライだよな。
いいよな。いいよね? いいにしよう。



しかし! その時、
この男があらわれた!



「いまどんな具合?
 へえ、そう。
 おもしろいねえ。
 帽子のつくりかたひとつで
 その人がわかるってもんだよね」

やな予感‥‥。
そして、目撃されてしまいました。
さっき付け足した布が、
結果的に余っちゃったのを!



「それ、どうしたの。
 へえ、よかれと思って付け足したら、
 余計だったわけだね。
 なるほどねえ。バレるんだなあ。
 そういうもんだよなあ。
 そのやりかたは、
 まさしく、タケイさんそのものだねえ。
 その余った布が、君そのものだよねえ」



が、がーん!
人生にダメ出し?!
自分、この余り布でありますか!
‥‥と、社長、すぐにべつの乗組員に興味がうつります。
山下に向かって、
「山下さんの帽子づくり見てるとさ、
 家での家族への接し方がわかるよね。
 息子にきらわれかけちゃったりしてるんじゃないの」
‥‥なんて言ったら図星だったらしく、
山下、口をあけたままストップしております。
モギのところにも行き、なにやら爆撃しております。
ふふふ、みんなが、爆撃されてるすきに、
ちゃっちゃと進めちゃおう‥‥
(反省なし。)
と、そこにスソ先生がやってきて、
二度目の型紙をチェックしてくださいました。

「あら?」

えっ、またなにか?



「シェフさん、この型紙、
 表と裏が、逆じゃないですか?
 2枚のうち1枚は表で
 もう1枚は裏で‥‥??
 なんでこんなんなっちゃったのかしら」

あ、それはですね、
きっとですね、
いちばん最初に逆にしたからです!
そのままなのです!
ま、いっかと思って、
そのままなのです!

「ほんとにもう‥‥」



そういいながら、てきぱき修正してくださる
やさしいスソ先生です。
ああよかった、社長はいま、
だんごに夢中。
聞かれてないよな。



「聞こえてるよ〜」

イヤーッ! 聞かないで!



「ほら、そうやって、
 あとでたいへんになるじゃないの。
 まさしく君そのものだよねえ。
 ほっんと、帽子ひとつで、
 わかっちゃうもんだよねえ」

そんなふうにたのしいお説教を
いただいている間、それを見て、
目の前でなんこ爆笑。



笑いすぎだって!

さて、そんなわたくしですが、
やさしいスソ先生の指導や
同僚の笑い声、
社長の人生へのダメ出しにかこまれて
なんとかここまで完成しました!



え? 完成してない?
してないか。



もぎちゃん、笑いすぎ!


スソ先生のアドバイス
正確に寸法を決めて、
そのとおりに型紙をつくらないと、
最後に「あれれ? こんなはずじゃ、
なかったのに〜!」っていうことに
なっちゃいますよ。
とくに、伸縮性のない生地を
使うときは、厳密さが要求されます。
ストレッチ素材だったら、
ちょっとは、加減できますけど、
それにしても、ちゃんとつくらないと
いけませんねー。
次回までに、ちゃんとした型紙を
つくっておきましょう!

とじる