シェフ なかなか決まらない。


みんなが吉祥寺や渋谷や新宿の
ユザワヤとかマルナンとかオカダヤなど
手芸系の生地やさんに
わいわいと出かけるなか、
うまくタイミングが合わずに
同行できずにおりました。

「目玉焼き帽によさそうな布を
 みつくろってきますよ。
 どんな感じがいいですか」

と言ってくれます。
ありがたいです。

「じゃあ、黄身みたいな黄色い布と、
 白身みたいな白い布」

と言ったら、

「それじゃ、わからん」

と却下されました。
そりゃそうですね。

で、最初に買ってきてもらったサンプルが
ナイロン製の、ちょっとごわごわする、
テント地みたいな布。



「黄色がわからなかったんで
 2種類用意した」

とのこと。どれどれ。





上が永田農法の卵で
下がブロイラーの卵ですね。
上のほうが個人的には好きです。
ハムエッグにしてもいいですよね。
こしょうと、ほんのちょっとおしょうゆをたらして、
半熟でいただきたいところです。
うむ、悪くはない。
悪くはないのだが、
ちょっと、ごわごわしすぎやしませんか?

「かぶってみなさいよー」

と、買ってきてくれた人が
むりやりかぶせようとします。



そんな無理強いしなくてもかぶります。
どうですかね?



「やっぱ‥‥硬いね」

そうですね。伸縮性がないと、
ぼくの「へにゃへにゃした目玉焼き」は
うまくできあがらない気がします。
色はいいんですが、残念ながら却下であります。
無念。

8

関係ないけどこの頃の自分は
痩せておりますね。
このところダイエットがおろそかだ。

後日、とある日曜日。
山下とふたり、女子のみなさんに遅れているぶんを
取り戻そうと、自主的に出社することにしました。
ちょうどいいので、新宿に寄って、
生地を探すことにしました。

ぼくののぞむ、伸縮性があっておいしそうな生地、
たとえばダイビングのときに着る
ウエットスーツみたいな生地で白と黄色があったら
いいんだけどなあ、と、
スソ先生に相談申し上げましたところ、
新宿アルタ裏の「オカダヤ」の別館の4Fに
「特殊生地」コーナーがあるので
見てきたらいいですよと教えていただいたのです。

店内での撮影ができませんでしたので、
結論から申し上げますと、
ありました! まさしくウェットスーツ生地!
それも黄色と白!
もちろん購入してきましたが、
いやはや、生地やさんというのは
初めて行く部外者の男にとっては魔の城ですね。
買うときのルールがわかんない。
「これください!」と店員さんをよべばいいのか
自分でかついでレジに持ってくのか、
そのレジの前に巨大なテーブルがあって
どうやらそこで切ってもらうらしいんだけど
それは会計の前なのか後なのか。
さっぱりわかりません。
だいたい「黄身」に必要なメートル数もわからない。
店員さんに「黄身には50センチもあればいいんですかね」
なんて訊いても、困っちゃうことでしょう。
「あのう、ワハハ本舗のものですが、
 芝居で目玉焼きのかぶり物をするのに
 小道具を自作するんで
 相談にのってください」
とか、うそまでつこうと思いましたが
そんなことを言ったところで
親切にされるとはかぎりません。
結局、

「あのう、すみません。
 ぼく、はじめてなんです!」

と、四十男が何を言っているのかというような
状態になりまして、汗をびっしょりかきながら、
なんとか、白1メートル、黄50センチを
用意してもらいました。
はうー。

それで会社に来ましたら
老眼の山下が先に作業をしていました。



「いいの、ありました?」

はいはい、ありましたよ。



ほら、厚手で、やわらかくて、
目玉焼きぽいでしょ?





この厚さでミシンかけができるかどうか
それが不安ではありますが、
ぼくとしてはぜひこれで行きたいです。
ていうかそもそも
ミシン使うのって、
小学校の家庭科の授業以来なんだけどなー。
だいじょうぶかなあ?!?!


スソ先生のアドバイス
最初の布は、たしかに硬すぎますね。
もちろん硬くっても帽子はつくれますが、
そのときは、より厳密に、すんぶんのちがいもない
型紙をつくる必要が出てきます。
たぶんそれはシェフさんにはツライでしょう‥‥?
ウェットスーツ生地は、
たしかに厚手ですけど、
なんとかなると思いますよ。
次回までに型紙をちゃんと完成させておいてくださいね。

とじる