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前回、スレキの帽子は 撃沈ののち、たちなおり、 ちゃんとしたものができました。 次にすることは布の調達でございます。 とはいえ、真実はですね、 スレキの帽子が有る程度できたところで、 (まだ、撃沈する前の得意げなとき) 布地を探しにでかけていたのでした。 そりゃもう、足取り超軽軽。 行き先は、まずは新宿! しかし、気に入った布なし! 次! 吉祥寺一件目。 気に入った布なし! 二件目に行く前に、吉祥寺ぶらぶら。 なにせ、私が大学時代にぐでんぐでんに酔っぱらったり、 喫茶店でカレーを食べながら宿題のレポートを書いた街、 それが吉祥寺。 さらにいえば、(いちおうこれでも)恋をしたり、 恋を失ってぐでんぐでんに酔っぱらったりした街、 それが吉祥寺。 懐かしの喫茶店で、 シナモンティーなんてのんじゃったりしてね。 って、そんな話はさておいといて。 二件目のお店で、 それはそれはシヴくて素敵な布地を入手いたしました。 裏地だって、しゃれたもんでございますよ。 自信満々で、教室にもっていってみると‥‥。 あれ? 先生の反応が芳しくありません。 「え〜、だって切腹ですよねえ〜?? こんなに地味なの?」 先生、先生。 あたくしの帽子は、切腹が“モチーフ”なのです。 あくまでも“モチーフ”なのです。 「でも、スケッチでは ちゃんと内臓部分が赤かったですよね。」 いや、あの、その、 布地屋さんにいったらですね、 素敵な布があってですね‥‥。 ごにょごにょ。 ごにょごにょ言ってて、 私は、このとき、あの男の存在を忘れていました! ころっと忘れていました! 教室に遊びに来ては、 生徒達を撃沈させていくあの男のことを! 前回も撃沈させられているというのに! 「モギさ、ちょっとうまくいったから、 本当に実用にしようと 色気だして 考え始めたんだろう。」 う、あの、その。 「でもさ〜、ちゃんとかぶれるように 地味に寄せるんだとしたら、 その内臓の部分も、ハラの部分も 両方とも同じ色にしたほうがいいだろう。 なんでそこで色を変えたり ハンパなことするんだ?」 う、あの、その。 あれ、なんだ、ほら。 そして、さらに先生が。 「う〜ん、私ももっとリアルなのだと 思ってましたよ〜。」 う。ぐぐぐ。 「じゃあ、モギさ、もうさあ、 リアルなヤツもつくればいいじゃん。 作りたいやつは作ってさ。 でも、スケッチと同じヤツもさ。」 う。ぐぐぐ。 つ、作ります。 同じ型紙で2個つくります。 そんなわけで、もう一度布地やさんに行き、 すんごいリアルな 肉色と内臓色の布地を買ってきて、 ようやく先生にオッケーをいただいたのでした。 2個作る。切腹の帽子を2個作る。 が、がんばるぞ!
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