ほぼ日読者の皆様、こんにちは。
本年度よりオリックス・バファローズの
二軍監督を拝命いたしました田口壮です。
指導者経験のないまま飛び込む
新たな世界に不安は尽きませんが、
若い選手を育てながら、
自分も成長していきたいと思います。
このお話を受けてから数日間は、
家で犬を抱いたまま、
ふと宙を見つめている瞬間がありました。
(どうなるんやろう)
(どうするべきなんやろう)
なにしろ選手時代は、何があっても自分のせい、
という割り切りがありました。
失敗しても責めるべきは自分だけなので、
ある意味開き直れたし、気が楽だったのです。
しかし今年からは、プロの選手たち、
とりわけ若い選手たちをコーチ陣と連携して育て、
福良一軍監督にお届けするのが仕事。
自分が打つわけでも走るわけでも捕るわけでもなく、
自分以外の力が及ぶ状況と対峙していくのです。
(どないしたらええんやー)
犬を抱く腕に力がこもります。
目の前で冷えていくコーヒーにも手を付けず、
一点を凝視して固まっていた僕に、
ようやく結論が出たのはしばらくたってからでした。
わからん。以上。
経験してもいないことを、
机上であれこれ考え込んだって、
結論が出るはずもありません。
同時に、事前情報に振り回されて、
ああだこうだと想像を膨らませ、
頭でっかちになりたくないのです。
すべては始まってからのお楽しみです。
ということで不定期ではありますが、
そんな新人指導者の日々のあれこれを、
ほぼ日にて発信していこうと思います。
皆様が少しでもオリックスの、
百歩譲ってオリックス以外でも、
なかなか表舞台に出てこないプロ野球の姿や、
二軍という存在に興味を持っていただければ幸いです。
興味を持つきっかけ、それはこの際何でもいいのです。
サッカーワールドカップの時だけ、
日本の国旗をほっぺたに描く人が
街にあふれてもいいのです。
スクラムを知らないけれど、
ラグビーは見に行く人がいたっていいのです。
その「楽しい気持ち」「面白いかもしれないという興味」が、
じわじわと広がっていってくれれば。
このページをきっかけに、
みなさんのプロ野球愛が深まることを願ってやみません。
普段二軍の試合や練習を見に来る方は、
もともと野球が大好きで、チーム愛にあふれ、
僕ら同様「若い選手を一緒に育てていこう」
という志を持つ人ばかりです。
二軍。そこははっきりいって、
一軍の試合ほど華やかではなく、お客さんも少ない。
しかし、選手たちは熱を帯びているのです。
明日への希望、這い上がってやるぞという気持ち、
そんな熱気に満ちているのです。
まずはその熱をぜひ、感じにいらしてください。
2016年1月29日 壮