早乙女 |
岡本太郎さん、好きですよ。
作品的に影響を受けたことは
あんまりないかもしれませんけど、
あの人のすごいところって、やっぱり
エネルギーですよね。
絵に限らず、音楽でも
何でもそうだと思うんですけど、
なにかを生み出したり
ひっくり返したりするのは、 エネルギーの力に
よるんだと思います。
そういった意味では、ぼくは太郎さんを
全面的にリスペクトしています。 |
伊賀 |
そうですね。僕がこうやって
Tシャツをやらせていただいているのも、
太郎さんや、
Tシャツをつくってくれるみなさんの
エネルギーを感じるからです。
「こういうふうにやっておけば
ぜったいまちがいないに決まってる」
というよりも、 「どうなるかわかんない」
というときのほうが
エネルギーが高いと思うんです。
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早乙女 |
今回、そのドキドキ感は、ありますね。
容赦なくエネルギーは高まるなあ。
ぼくはこれまで、
ファッションにからんだことも
やりたいと思いつつ、
なかなかチャンスがなかったんで
うれしいです。 |
── |
よろしくお願いします。 |
伊賀 |
早乙女さんの作品は
前からどこかで目にしていたと思います。
見入っちゃう絵ですね。
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早乙女 |
ありがとうございます。
Tシャツの制作方法は、
プリントをせずに、
Tシャツに直接描くというのはどうでしょうか。
プリントって、フォーマットがあるから、
意外と制約が多いんですよ。 |
伊賀 |
じゃあ、Tシャツは白いのがいいですね、
きっと。 |
早乙女 |
ええ。服をつくるというより、
キャンバスに描くっていう感覚に
近くなっちゃうけど、いいのかな。 |
── |
もちろんです。 |
早乙女 |
男の子用と女の子用の両方を制作するんですね。
ああ、なんだか現物のTシャツを目の前にすると どんどんおもしろくなってきた!
ところで、伊賀さんの着ている浴衣、
すてきですね。
僕は着物の絵を描くことも多いんですが
普段見慣れてないから
けっこう難しいんですよ。 |
── |
伊賀さんはいつもカッコよく
浴衣を着ていますよね。
着崩れたりしないんですか? |
伊賀 |
大丈夫ですよ。シャツのしわなんかは
一回ついちゃったらとれないけど
浴衣はどんなに着崩れても
トイレにいってキュキュッて直せば
しわはなくなるから、
とっても合理的なんです。 |
── |
着物は日本が誇れるものですよね。
というか、
日本って誇れるものだらけなんですけど。 |
早乙女 |
そうですよ。
日本の美的感覚ってすごいですよ。
戦国時代の武将の甲冑も‥‥ |
伊賀 |
アッ!やばいっすよねえ。
伊達政宗の兜も新月でかっこいいけど、
それと、あの、 |
早乙女 |
陣羽織でしょ!!
ビリヤードの玉みたいのが配置されていてて、
あのバランスって、並みじゃないよね?
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伊賀 |
すっごいですよねえ。 |
── |
なにやら、マニアックな
戦国の、甲冑の話題に
入っているのかも? |
早乙女 |
もしかしてあれは
日本でいちばんすごい服かもしれませんね。 |
伊賀 |
染め抜きで紫とかブルーとか黄色とか、
黄緑とか、
めちゃめちゃおしゃれですよ。 |
早乙女 |
伊達政宗のおしゃれっぷりって、 |
ふたり |
やばいっすよ!! |
── |
ははあ、そうなんですか。 |
早乙女 |
男の人のファッションの極意というものが、
戦国時代の武将の格好に
あるような気がするなあ。
やっぱり最終的には
もしかしたら死ぬかもしれない、
その死にざまが大勢の目に触れるかもしれない、
っていう思想が根底にあるんだと思う。 |
伊賀 |
最終的に死んでいる姿を晒すっていう、
それが「晴れ舞台」なんですよね。 |
早乙女 |
うん、うん(うれしそうに)。 |
── |
なんか、ファッションって
とっくの昔にすごかったんですね。 |
早乙女 |
そうなんだよねぇ(しみじみ)。
ごめんなさい、今回のTシャツとは
直接関係のない話で盛り上がっちゃった。
完成を、たのしみにしていてくださいね。
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