第28回 マネしたいという本能。
糸井 伸坊はさ、そういう、
「原始の血が騒ぐ」みたいなことある?
う〜ん、なんだろうね‥‥。
あ、無性にマネしたくなることはあるな。
糸井 え? なにそれ?
たとえばね、コンサートに行くでしょ。
うちのツマが好きなもんで、
ワールドミュージックみたいなジャンルの
コンサートに行ったりするんだよ。
糸井 うん、うん。
そこで、中国の奥地のミャオ族の
音楽かなんかをやってたりするわけ。
もう、も〜のすごく、月並みじゃない声。
「へ、ァアーーー!」みたいな。
それを見てるとね、
「うゎ、いますぐマネしてぇ!」って思うんだ。
糸井 ははははははは。
それが、「原始の血が騒ぐ」感じ?
うん。もう、見ながら、
間髪入れずにマネしたいんだよね。
「いますぐだったらマネできる!」
家に帰って思い出して、じゃダメ。
「いますぐマネしたい!」って思うの。
これ、清水ミチコに言ったら
すごくわかってくれましたよ。
糸井 あー、清水ミチコもそう思ってんだろうね。
「マネしてぇ!」って、いろんなところで。
うん、思ってるはず。
だって、絶対ウケるしさ。
糸井 でも、ウケようがウケまいが、
マネしたいわけでしょ?
あ、そうか。なんでだろうね。
糸井 なんでだろうね。
雁がさ、群れを作って飛んでくみたいなことかね。
‥‥‥‥え?
一同 (笑)
糸井 つまりさ、マネするような本能がないと、
一団となって飛んでいけないじゃない?
ああ、はい、はい。
糸井 だから、人間なんかもこう、
誰かがそういう、特徴的なことをしてたら、
うお、オレもオレも! っていうようなことかね。
なるほどね。そうかもね。
糸井 そういや、うちの犬がさ、
おんなじ格好して寝るんだよ、人間と。
へえ。
糸井 つまり、俺がこうして寝てたら、
犬もこうして寝てるわけ。
それを、かみさんが写真に撮るから
あとで見て知るんだけど、
どうも、同じ格好してるんだよ。
マネしてるのかね。
マネっていうか、同化しようとしてる。
糸井 うん、だと思うんだよね。
生き物って、そういうの、あるかもね。
糸井 あると思うよ。
赤ん坊だって、親のマネして
いろんなことを学ぶわけでさ。
オレの場合、
マネして理解したいんだろうね。
糸井 あ、マネすることで
それが何であるかを体得するというか。
でもって、ウケるし。
糸井 けっきょく、それなんじゃないのか?
そうかも(笑)。
(まだ、続くけれども、ぼちぼち)

2008-05-03-TUE


(C)HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN