黄昏 た そ が れ  日光・東北編       南伸坊さんと、糸井重里。昔なじみのふたりが、始終しゃべりながら小旅行。前回は鎌倉の名所をめぐりましたが、今回は日光、松島、花巻あたりを回ります。ゆっくと変わる風景と、めくるめく無駄話。いったいいつまで続くのかな‥‥? そしてこの不思議な企画は、なんとすべてをまとめて本になるのです。いえ、ほんとの話です。
第7回 沙悟浄は河童じゃない。
糸井 沙悟浄は河童じゃないんだってね。
唐突だね。
糸井 テレビのクイズ番組でやってたんだ。
沙悟浄は河童じゃないんだって。
考えてみたら、当然なんだよ。
だって、河童は日本の妖怪でしょ?
あ。
糸井 中国には、河童いないんだって。
ま、日本にもいないけどね。
糸井 ‥‥いや、そうじゃなくてさ。
いや、わかるけど。
糸井 日本には、いるかもしれないけど、
中国には絶対いないでしょ?
その、いないことは置いといてさ。
「いないことは置いといて」(笑)。
糸井 で、河童じゃないとすると、
もとの『西遊記』では、
沙悟浄はなんだったでしょう?
っていうのがクイズだったんだけどね。
うん。なに?
糸井 せっかくだから、考えたら?
なんだろうね。
糸井 なんだと思う?
なに?
糸井 せっかくだから、考えたら?
なんだろうね。
糸井 まぁ、河童じゃないにしても、
河童とかけ離れてるわけじゃないよね。
つまり、川とか水に関係する。
カワウソ。
糸井 あ、それ、オレも思ったね。違うね。
さすが、知ってるだけあって、余裕があるね。
糸井 余裕たっぷりだよ。
だって、答えを知ってるからね。
もう1個、ヒント、出す?
余裕があるねぇ。
糸井 じゃあ、ヒント。
「龍のモデルになった動物」
ともいわれております。
龍のモデル? へぇー、なんだろう。
糸井 答えを言っちゃうとね。
意外に、せっかちだね。
糸井 もう、言っちゃうけどね。‥‥ワニ。
ワニ。
糸井 揚子江にいるらしい。ワニ。
思えばさ、たしかに、龍の顔の前の方って、
ワニじゃない?
「龍の顔の前の方」(笑)。
たしかにね。あの鼻の感じとかね。
糸井 そうそうそう。
あれをさ、いままでトカゲ類っていうふうに
雑に決めてた自分が、ちょっとダメだったなぁと。
龍のことをトカゲ類だと思ってたの?
糸井 うん。
つまり、コモドドラゴンとかがいるからさ。
そういうのを間にはさんで。
「トカゲ<コモドドラゴン<龍」と。
糸井 そうそうそうそう。
だけど、ワニとつなぐほうが、
すごくしっくりくるんだよ、龍は。
そういわれてみるとそうかもしれない。
あの、鱗っぽい感じもね。
糸井 そうそうそう。
ワニにも逆鱗ありそうじゃん。
そうか。沙悟浄はワニだったか。
糸井 玄奘三蔵は
ワニを連れて天竺に行ったわけだよ。
しかし、ワニだとすると、
ずいぶんイメージが違うね。
糸井 ぜんぜん違うね。
たぶん、沙悟浄がワニだとしたら、
ドラマの『西遊記』の配役も変わるよ。
ウッチャンじゃないと思う。
そうだね。
(ワニだったのか。つづきます)

2009-10-07-WED

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