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南 |
なんか、森に行ったんだって?
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糸井 |
そうそう、阿寒湖。原生林。
ちょっとすごい経験だったよ。
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南 |
清らかな人になって帰ってきた?
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糸井 |
清らかっていうんじゃないんだよね。
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南 |
ああ、そう。
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糸井 |
清らかっていうんじゃなくって、
なんだろうな、
とにかく、ようござんしたよ。
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南 |
気持ちがいいんでしょ。
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糸井 |
うん。すごく気持ちがいい。
植物がね、こう、傷めつけられたときに、
こう、なんとかしなきゃっていうので、
「はぁーーー」って、出す物質があってね、
フィトンチッドっていうものなんだけど。
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南 |
ほうほうほう。
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糸井 |
鳥とかが、木をついばむたびにね、
こう、発散されるわけ。
「はぁーーー」って出すんだ、木が。
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南 |
あ、ついばむと出るの。
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糸井 |
ついばむだけじゃないけどさ。
生き物が通って、こすれたり、
枝が折れたりすると、出るんだって。
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南 |
じゃ、いじめるといいんだ。
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糸井 |
そうじゃなくてさ(笑)。
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南 |
植物が生えてるっていうと、
それをコツンコツン叩いたりなんかして。
そうするとフィトンチッドが、こう、
「はぁーーー」と。
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糸井 |
いや、直接的にやるのは、
ちょっと暴力的だから。
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南 |
鳥にやらせる?
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糸井 |
じゃなくて、もっと精神的に。
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南 |
精神的に?
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糸井 |
木を、はずかしめたりしてさ。
「おまえ、丸裸だぞ、木」とか言うんだ。
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南 |
ははははは。
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糸井 |
「木の股、丸出しじゃねぇか」
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南 |
「オレなんか、ちゃんとスカートはいてるぞ」
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一同 |
(笑)
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糸井 |
そういうこと言うと、
木が「いやーん」って言って、
フィトンチッドを。
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南 |
出すわけだ(笑)。
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糸井 |
で、また「なんだ、このやろう」と。
オレたちがちょっと言うだけで
こんなに出しやがってと。
そうすると、ますます、
「いやん、いやん」と行って
フィトンチッドを出すわけです。
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南 |
なんだか、想像してたのと、
ずいぶん違うね、森での過ごし方が。
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糸井 |
ふはははは。
ま、とにかく、木をぶったりしたらダメだ。
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南 |
ぶったらいけないね。
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糸井 |
いきなり、ぶったらダメだ。
なんにもならない。
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南 |
あの、「いきなりはダメだ」っていうので、
ふと思い出したんだけどさ。
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糸井 |
「ふと」(笑)。
あいかわらず、ふと思い出す人だね。
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南 |
ははははは。
昨日ね、テレビを観てたら、
ブータンのことをやっててね。
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糸井 |
うん。 |
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(ブータンの話へ、つづきます) |