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ほぼ日事件簿・こんなことでした

<農業関係のプレゼンテーションで、
果たして100万円の賞金は獲れたのか!?>


長いです、今回の「事件簿」は。
でも、覚悟してください。
長くしただけの大きな「事件」だったのですから、
ちゃんと最後まで読んでくださいませ、べいべー!!!
ワタクシ、内田裕也です。ウソです、西本です。

では、本題に入る前に
昨年、12月15日掲載分の
「今日のダーリン」の一部を読んで頂きましょう。


12月15日の今日のダーリンより
「H2A」ロケットの
打ち上げ成功のニュースを、
飛行機のなかで見ました。
種子島に行きたいとまで言っていたのですが、
実際には大阪に行っていたわけです。
夜に羽田に戻って、
赤坂のプロダクションで打ちあわせ。
今日の日曜日は、テレビの仕事です。
今回は、ちょっと真剣モードで取り組むので、
事前の打ち合わせにも、熱が入ります。
まだ、内容については言えないのですが、
真剣に取り組むべき仕事なので、引き受けました。


とありました。
さらに翌日の今日のダーリンには

日曜日は、ぼくにとっては
「大仕事」のテレビ出演があって、
もうため息もでませんっていうくらい疲れて、
夜の10時から「あんこう鍋」など食いながら
「もう、なんにもしたくない〜〜〜」
と甘えていた。



とも書いてありました。
「大仕事」
気になりますよね?
この「大仕事」は
1月8日(水)
午後6時55分より
TBS系列でオンエアする

『ダウンタウン・セブン
 
2時間スペシャル』
ことだったのです。
番組そのものの詳しいことには
ホームページを見ていただくとして
大竹まことさんを筆頭とした
意地悪なツッコミを連発する
7人の「鉄の壁」を相手にプレゼンテーションをして、
観客である100人の陪審員からの賛成の支持を
51%以上得られれば100万円をもらえる
という番組なのです。
これがホント大変なことだったんです!
どれくらい大変だったのかわかっていただくために、
番組打ち合わせから出演までの
全てに同行していたROCK西本に
インタビューしてみましょう。

編集部
(以下、
 編)
何が大変なのか、
上の説明だけじゃわからないです。
要はテレビに出演しただけのことなんでしょう?
なんか、ゲーム性の高い
テレビ番組に真剣になった、と?
ROCK西本
(以下、
 69)
何言ってるんだよっ!
いや、これがホント大変だったんだって。
バラエティー番組とはいえ、
過去のVTRを見せてもらったら
これが各出場者全員がきっちり
プレゼンをしてたりするわけよ。
しかも、ちょっと笑いまでとってたりするし。
プレゼンするネタはともかく
どういう筋道でプレゼンをするか?
ってことも重要だし
辛口コメンテーターの厳しいツッコミにも
きっちり答えていかないといけないし、
そうなると想定問答集も必要だったりするんだよ。
なるほど、ほとんど
真剣な「仕事」みたいなものですね。
でも、話を聞く限り、
準備のほうが大変そうだなぁ。
69 そうっ!
それがまた、出演依頼のオファーが
番組出演の3日前なんだよ。
この間には、大阪で講演の仕事も入っていたから
実質、2日しかなかったんだよ。
しかも、一日は本番当日だし。
もう、ふつうに考えたら無理。
ぼくと、マネージャー役の通天閣あかりは、
ごくふつうにお断りする用意をしていたんだよ。
プレゼンボードや資料なんかも
用意しておかなくてはいけないんですよね。
当時の社長のスケジュールを見るかぎり、
そんな時間は全く無いはずですよね。
69 そうだよ。
これが、そのころのスケジュール表。ほら。
ああ、ひどい。目も当てられない。
・・・・馬鹿。
69 だろ?!
12月28日から休暇でビンタン島に
行くことになってたから、
それまでにできる仕事は全部やっておくために
12月は殺人的なスケジュールだったのよ。
でも、受けたんですよね?
69 オファー内容を見たときに
「これは、難しいよな。 社長、断るよな」
と、常識的に思っていたら、
本人が「やります」と強く一言。
強くですか。
69 ああ、力強かったね。
どうやら番組内容を
深く理解して無かったせいもあるだろうけど。
なるほど、あの人は
案外、そういう所がありますからねえ。
69 うん。昨年はそうやって気軽に出演して
痛い目にあったことが一度あったしね。
あ、あれですね(笑)。
今回もそうなりそうだったと。
69 いや、今回はそうなってはイカンと思って、
止めるべき所は止めた。
ほう。例えば、どんな事を?
69 最初の打ち合わせで。
っていうか打ち合わせは
その一回こっきりだったんだけど、
プレゼンテーションのネタ出しについては
厳しめにネ。
ほう。ちなみにどんなネタが。
69 「オナニー券」を日本全国の男子に配って、
新しい通貨のように流通させるとか、
やたらに他人にからんだり、
すごんだりする暴力的な人を、
お台場あたりの一個所に集めて
「暴力島」って独立国にして、
日本と貿易させるとか。
つまり、そういう人どうしで
集まって生きてもらう、と。
それはいいような気もするけどな。
そういう人にからまれやすい体質の
社長らしい発想ですね。
しかし、それは「タモリ倶楽部」あたりでは
有効ですけど
ゴールデンの時間帯では厳しいでしょうねぇ。
「オナニー券」については、もう論外ですね。
で、結局どんなテーマで
プレゼンテーションすることになったのですか?
69 これがなんと、「農業関係」の大まじめなテーマ。
ええっ!農業って
「SKIP」の仕事をやっていることを考えると
本業に近すぎて、直球すぎませんか?
69 いや、これが
「SKIP」の仕事をしてなかったとしても、
社長がやりたかったことらしいのよ。
100万を本気で獲りに行くには
本気のネタで勝負するしかないと。
【市民農園を背景にもつ
 シルバーマンションの建設】というプランで。
農業団地を作るという大きな構想なんですよ。
それはかなり骨太な企画!!
老人社会という問題と、農業問題と、余暇産業と、
ぜんぶ入ってる感じですね。
69 さっきまで「オナニー券」とか「暴力島」とか。
うっれしそうに言ってた人とは思えない。
マジメと不真面目の二重人格なんだよ。
打ち合わせをしている最中に、
急に真剣モードに入ってさ。
このアイデアが一気に
社長の頭の中で組み上がっていった。
アイデアというよりは
事業計画に近いものだと思うけど。
で、プレゼンの準備に入ったんですか?
69 社長はその後も夜中まで仕事が詰まっていたので
その日はそれでおしまい。
で、次の日は大阪で講演の仕事があったわけだよ。
飛行機で移動したんだけど
羽田の時点では、
まだラフな構想のままだったんだけど
飛行機の乗って降りたら
「にしもっちゃん、あれ、出来たよっ!」って。
「ええっ、もう、出来たんすか」
こっちもびっくりしてねえ。
そりゃ、びっくりしますよね。
フライトの1時間足らずですよね。
69 うん。それで講演会場への
移動中のタクシーの中で
説明してもらったんだけど
「ほぼ日メモ帳」に
なにやらびっしり書き込んであるのよ。
とにかく時間が無いわけだから
とりあえず、社長が講演している間に
東京の、その番組のスタッフに
「羽田に戻ったらそのまま
 スタッフルームに直行するから
 待機しておいてくれるように」連絡して、
そのメモ帳に書かれてあることと、
疑問点や準備するものを手配するメールを
各方面に送信したんだよ。
各方面って?
69 まずは番組スタッフに
内容のあらすじを伝えておいて、
深夜から始まる打ち合わせの時には
その内容を消化した状態にしておくこと。
あと、数字的な裏付けとか、
どういう野菜を作るかっていうことを
説明するために
野菜の現物も必要になるので
永田農業研究所の
吉川さんに連絡をとりながら手配。
写真資料も必要だということで、
「SKIP」の産地の写真を撮り続けている
カメラマンの阿部さんに写真の手配。
それはそれで結構、大変ですねえ。
69 いや、大変なのは
吉川さんと阿部さんだよ。
吉川さんは翌日、論文の発表があるとかで、
連日徹夜状態で、準備に追われていたし。
阿部さんのほうは、
その日、まだ長崎にいたんだからね。
大変ですねえ。
とにかくプレゼン資料の手配が大変だったと。
69 うん。それから深夜まで
資料を元にプレゼンの戦略を
darlingとディレクターが練り始めた。
その間、西本さんは何をしてたんですか?
69 会話の合間に、質のいい笑い声を挿入するとか。
嫌みのないツッコミを入れて、
精神のマッサージをするとか。
たまに検索エンジンで
「東京ドーム」の面積を調べたり。
なるほど、その時は
あまり役にはたって無かったわけですね。
69 いや、かなり有効な立ち位置だったと思う。
社長の、感謝のまなざしみたいなものを感じていた。
だって、起きてるだけでも
大変だったんだから。
あっ、そうそう。
スタッフルームにさぁ、
出演者を書いた紙が貼ってあるんだけど、
他の出演者はワープロで書かれているのに
うちの社長だけは、
なぜか手書きで「糸井重里」と。
孤独な「手書き」ですか。
69 そうなんだよ。
代役として出演ってことでも無いらしくて。
どうやらホントに
急なキャスティングされたみたいなんだ。
番組予算的には100万円を獲らせたくないけど
盛り上がりとしては、100万円獲得の絵が欲しい。
で、本気で100万円を獲りに行くような人を
急遽、キャスティングしたんではないか、と。
この回は特に「スペシャル」だしね。
そんな業界っぽい穿った見方をしてたりもしてたよ。
で、まぁ、深夜までかかって
社長直筆のプレゼンボートができ上がってね。
で、本番当日になるわけだ。
で、本番はどうだったんですか?
69 うん。朝、自宅マンションまで迎えに行ったんだけど
「これは普段のプレゼンとは違うわぁ」って
けっこう緊張してるようだった。
なにせ、睡眠時間がずっと足りないままの日々だし。
しかも行きのタクシーがさぁ、
道を間違えたりなんかしてね。
普段だったら、冗談言ったりする人なのに
不機嫌に黙りこくったりしてたわ。
そうなんですか。
でも、社長はプレゼンは得意なんですよね。
69 いや、これがちがうんだって。
本人は本気でそうは思っていないらしい。
どうやら、自分ではプレゼンがヘタだと
思っているらしいんだよ。
「ヘタだと思っているからこそ、全力を尽くす」
みたいなことを言ってたな。
あと、その場にいる人全てを
納得させようと思わないとダメだってことも。
ほう、プレゼンがヘタだって思っているのは
意外でした。
で、番組収録はどうだったんですか?
69 メーク室でツッコミ役である「鉄の壁」担当の
大竹まことさんから
「番組ですから厳しくいきますよ。
 失礼があったらすみません」的なことを
言われたらしいのよ。
「おいおい、やっぱりマジだよ!」
って楽屋で二人で騒いでいたんだけど
番組が始まってからは
ホント騒いではおれんかった。
それはどうして?
69 いや、このプレゼンがマジで難しいのよ。
他の芸能人の方もどんどん舞い上がってしまって
あのラサール石井さんだとか、
コワモテ代表みたいな加納典明さんですら
全く実力を出し切れていないんですよ!
コワモテも、ダメ、と。
さんまさんのコントでも
空気を読むことにかけては
天才的なバイプレイヤーである
ラサールさんがですか?
69 そう。7人の「鉄の壁」がホントに
いやな質問やツッコミを入れてくるのよ。
その相手だけにとらわれていると、
100人の陪審員の心を掴むことは
出来ないんです。
このあたりの空気は説明しづらいんですけどね。
その時、社長はどうしてたんですか?
69 「ほんとに怖いよ〜!」って言って、
かなり弱気になってた。
普段のプレゼンってのは、
いいアイディアを育てることが、
プレゼン受ける側にもあるわけでしょう。
でも、これはケタグリしてでも
落としたいっていう受け手が、
ひたすら痛いところをグリグリと責めてくる。
そういうの、うちの社長、
生理的にムッとする人だしさ。
農業関係での本気のプレゼンをするわけだから、
自分の説得力がなくて落ちたら、
農業関係者とか
永田先生とかにもうしわけないっていう、
かなりのプレッシャーがあったみたい。
番組が始まるちょっと前に、永田先生から
じきじきに激励の電話もいただいちゃったしさ。
そういう時は西本さんはどうしてるんですか?
69 ああ、「大丈夫っすよ!」とか
「何言ってるんすか!」って言いながら
社長の手を握ったり抱きしめたりして・・・・。
赤ん坊をあやすようなもんですからね。
・・・・手を握るんですか?!
69 ウソでした。
実は、オレも
けっこう緊張していたような気がする。
ま、自販機のお茶を買ってきたりはしていたね。
無駄なウソをつかないように!
で、プレゼンテーションをされたわけですよね。
見てていかがでしたか?
69 うん。これが涙が流れそうになった。
これは大げさにじゃなくて。
だって最初の説明の段階から
社長、涙目なんだもん。
そうなんですか。
69 ノッケから川島なお美さんが
厳しいこと言うわけよ。
それを慎重にかわしてから
会話をするように
プレゼンテーションをしていった。
決して大げさな事をするわけでもなく、
「このアイデアがいかにみんなを幸せにするか」
ってことを真摯に伝えていくだけだった。
プレゼンテーションって
こう、一方的に自分の考えを言いがちじゃない?
社長のはホント会話をしてるような感じでねえ。
こういう弁護士さんがいたら
いいよなぁって思ったりもした。
何を弁護されたいんですか?
69 いや、なんかこの人になら
オレの人生を預けるぜ的な感じだったんだよ。
それくらい心を打たれたってことが
言いたかったわけであるのだが・・・・。
そうですか。それはそれで、わかりました。
それで結果の方はどうだったんですか?
69 それは、いま言わないほうがいいでしょう。
実際に番組を観てくれ、と。
では、オンエアを楽しみにしてます。
どうもありがとうございました。

最後にもう一度確認、
1月8日(水)午後6時55分より
TBS系列でオンエアする
『ダウンタウン・セブン
 2時間スペシャル』
を、
どうぞおたのしみに!!!!!
darlingは、後半のほうで出場です。

2003-01-07-TUE

TORIGOOE
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