ほぼ日事件簿・こんなことでした |
連続ホームラン! 空から降ってきたようなふたりの夫。 このページでは、ごぶさたしてます、 darlingdarlingです。 いちばん結婚に遠いと思われていた男が、結婚した。 自分のことを語らせたら右に出るものはいないと言われる ROCK西本ことにしもっちゃんが、ある夜、 「社長、ちょっといいっすか」とやってきた。 こういうとき、一度くらいは「いやだ」と言ってみたいが、 反射的に「あ、いいですよ、西本さん」と答えるオレ。 「結婚することにしたんで。ご報告をと思って」 ん?? 誰が・・・だ? よく聞えなかったんだ、あんたじゃなくて、誰が? めでたいことじゃないか、誰と誰が結婚するって? 「ぼくです。 結婚してくれる人がいたんです」 「そうか!よかったじゃないか!しろ!しろ! これを逃したら、二度とこういうことはないぞ。 数々のアホぶりが知られないうちに、籍をいれてしまえ」 と、ほんとに言ったわけじゃないのだけれど、 気持ちとしてはそういう気持ちで、ぼくは祝福した。 その後、「じぶん話」の大御所は、 最初に出会ってから二ヶ月、 つき合いはじめてから3週間で決めたという 結婚物語を、一日1時間ずつ、 約1週間にわたってシエララザードのように語り続けた。 あまり聞き過ぎたせいで、ぼくらは 本人と同等の情報を持つことになってしまった。 これをこのままここで開陳すると、 「ほぼ日」の読者に迷惑がかかることになるので、 ごくごく短くかいつまんで記す。
最高にかいつまんだつもりだが、長くなりそうだった。 かくして、その報告から数日後、 沼澤さんとぼくの対談の終了後、 テーブルには結婚届が一枚置かれ、署名捺印。 ぼくと沼澤さんは、 「ほぼ日」の乗組員一同の見守るなか、 晴れて夫婦になった。 いや、ちょっと文章が乱れた、 ぼくと沼澤さんは署名捺印したけれど、それは 証人の欄なので、結婚したわけではない。 結婚したのは、西本さんたちだ。 独身であることの自由と、独身であることの放縦と、 独身であることのどんぶり勘定と、 独身であることの寂寥のすべてが、似合う男であった。 だいたい、自分の名前の前に「ROCK」って付ける馬鹿だぜ。 その男が、自分とパートナーとで、 HOMEを持とうと決めたのである。 自称家庭的な「ほぼ日」の独身女性たちの驚くまいことか。 まことに、 神は先の者をあとに、 後のものを先にするものである。 そうして、新人夫の「じぶん話」が、 すっかり「じぶんたち話」になってきた日々が過ぎ・・・。 「毎日、さらに好きになる」というような言葉が、 バスの車窓の向こうを流れる景色のように見えてきて、 西本の名前の前の「ROCK」がとれかかった頃。 ある週末。 正確には、3月22日土曜日の夜。 妻とあくび合戦をしているぼくの家の電話が鳴った。 「あ、あの、すいません。 ちょっと、忙しければ、またいつでもいいんですけれど、 大丈夫でしょうか。あの。 明日になるとダーリンコラムとか書く仕事があるし、 ご迷惑だと思って、今日にしたんですけれど、あの」 メリー木村だった。 「ぜんぜんだいじょぶよー」 「あ、そうですか、すいません、 ちょっとご報告しておいたほうがいいことがありまして。 あの、家族のことなんで、お忙しければ、 いつでもいいんですけど」 どういう話だ? まさか、お父さんが階段から転げて頭を打ったとか、 そういう話でなければいいが・・・。 緊急事態だったら、早く話したまえ。 「いまのほうがいい。なんだなんだ」 「実はですね、あの、ぼく結婚するんです。 っていうか、結婚してるんです。 もう、あの、結納とかぜんぶ済んでいて、 届けはまだ出してないんですけど、 もう、結婚してるんで、いつお話しすればいいか、 仕事の話のほうが大事なんで、 今日になっちゃったんですけど、そういう・・・」 独身のいろいろが似合う横綱は西本さんだけれど、 独身のまま全速力で悔いのない人生を送りそうな男は、 木村くんを措いて他にないと思っていた。 一日24時間のうちの23時間くらいは、 「おもしろいです」とか言って仕事してるやつだ。 引っ越しを、タクシー一台で一回で済ませる男だ。 人の恋愛ばなしなどは、 「いいですよねー」なんて聞いているけれど、 あいつ自身に、そういう時間がいつあったんだ?! 「おお、まだ信じられないけど、すごいなー。 おめでとう!」 「あ、はい。ありがとございます」 こちらのカップルについては、 知った情報は、下記ですべて。
「へーーえ。いつ会うひまがあったんだ」 「いえ、あります。けっこうあるんです」 そういうもんかー。 後に、この報告を聞いた結婚に夢を持つ女性Nは言った。 「結婚できない理由に、 仕事が忙しいとか言えなくなっちゃったね〜〜」 なるほど、そうだよねぇ。 ・・・・こういうことでした。 いわば社内の私事ではありますが、 身内のような気持ちで見ていてくださる読者の方々に、 いちおうはご報告しておこうと、 ワタクシ、「事件簿、書くよ」と言ったのであります。 思えば、部活のような会社ばかりを見てきて。 これからの時代、こんなへんなかたちでしか 仕事をやっていけないのだろうかと、 心配になったりもしていましたが、 家庭を持つことを決意した人が、 連続してふたりも現れると、 なんか、まっとうな会社としての安心感が、 少しでもでてきたのかもしれないななどと、 おとーさんのようなうれしさを感じる「社長」なのでした。 この「事件」主役の4名の男女の皆さん、 あらためて、おめでとう! |
2003-03-27-THU
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